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ブライアンとロジャーが何パターンかあったクイーン最初期のMVを振り返る
クイーン(Queen)の1973年のデビュー・アルバム『Queen』改め『Queen I』の最新リミックス&リマスター盤の発売を記念して、新たに公開されたウェビソード「Queen: The Greatest」では、クイーンのブライアン・メイとロジャー・テイラーが、バンドの最初期のミュージック・ビデオについて振り返っている。
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新たにバンドの公式YouTubeで公開されたエピソード4では、セルフタイトルのデビュー・アルバムからのリード・シングル 「Keep Yourself Alive」をリリースしたばかりの頃に制作されたクイーン初の“ミュージック・ビデオ”について2人が回想している。
当時、急成長中のバンドとしてまだラジオでのエアプレイの獲得に苦労していた彼らは、BBCのプラットフォームを利用する機会を熱望していた。ブライアン・メイは、二台の列車が競争するアニメーション映像と共に制作された「Keep Yourself Alive」のビデオが、BBCの“The Old Grey Whistle Test”で放送された時のことを次のように振り返っている。
「実家に帰ってきた時だったかな、その映像が流れるというので家族でテレビに釘付けになっていた。すると突然、小さな列車が走り出したんだ。私たちは完全に魅了されてしまった」
このビデオには、バンド自体は出演していなかったが、彼らの音楽がテレビで初めて放映された瞬間だった。司会者のボブ・ハリスがこの新人バンドに興奮していた様子を見て、ブライアン・メイとロジャー・テイラーはバンドが成功への道を歩み始めたことを実感したという。
この初期の露出をきっかけに、当時のレコード会社トライデントは「Keep Yourself Alive」をステージで演奏する新たなビデオを制作するように彼らに提案した。しかし、ブライアン・メイとロジャー・テイラーは一度自分たちが気に入るビデオを経験したことで、さらに高い基準を持つようになっていた。ブライアン・メイはこう語っている。
「仕上がった映像を見た時、全く気に入らなかった。照明が明るすぎて、とても無機質な印象になってしまった。まるで舞台に立つダミー人形のようで、ロックンロールの雰囲気がまったくなかったんだ」
クイーンは自分たちのスタイルを守るために立ち上がった。「早熟の少年らしく、僕たちは少し騒ぎを起こしたんだ」とブライアン・メイは当時を振り返る。そして、照明や舞台演出を調整するよう要求し、ポップバンドではなくロックバンドらしさを打ち出した。この選択は功を奏し、このビデオはすぐにリスナーの間で公式ヴァージョンとして受け入れられるようになった。一方で、当時のバンドはまだミュージック・ビデオが自分たちの活動にどう適合するのか確信が持てずにいたという。ロジャー・テイラーはこう説明している。
「当時は視覚的なものが一役買うとは思っていたけれど、短いビデオが宣伝ツールとして持つ力を完全には理解していなかったんだ。でも、“Bohemian Rhapsody”のビデオを作った時、それは僕たち自身のアイデアだった」
この「Bohemian Rhapsody」は、世界初のミュージック・ビデオではなかったものの、アルバムのプロモーション活動の一環として積極的に活用された最初のプロモーション・ビデオとして広く見做されている。
Written By Sam Armstrong
クイーン『Queen I』
2024年10月25日発売
Box Set / 2CD
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