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インディー・バンド、ロウのドラム兼ヴォーカル、ミミ・パーカーが55歳で逝去。その功績を辿る
ミネソタ州出身のインディー・バンド、ロウ(Low)のドラマー兼ヴォーカリストで、ソングライターでもあるミミ・パーカー(Mimi Parker)が2022年11月5日に55歳で逝去したことを、夫でバンドメイトのアラン・スパーホークが発表した。彼女は2020年12月に卵巣がんと診断されていた。バンドはこの訃報をSNSでこう伝えている。
「友人たちよ、宇宙を言語化し、短いメッセージにするのは難しいのですが、ミミは昨夜、家族と皆さんからの愛に囲まれて亡くなりました。彼女の存在を身近に、そして神聖に感じていただきたいです。この瞬間をあなたを必要としている誰かと分かち合ってください。愛は確かに最も大切なものです」
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ロウは、ミミ・パーカーの健康状態に関する懸念から、今年の夏以降に予定していた一連の公演の中止を発表。2020年末に卵巣がんの診断をされたミミ・パーカーは、2021年に治療を開始し、2022年の年明けにポッドキャストのインタビューで自身の健康状態について初めて公にしていた。
追悼の言葉
多くの関係者やミュージシャン仲間たちが、ネット上で彼女を追悼しており、1996年のEP『Transmission』や1999年の『Secret Name』、2001年の『Things We Lost in the Fire』などのアルバムでバンドと共作したプロデューサーのスティーヴ・アルビニはこう述べている。
「私は、人々が行き詰まり罵倒を飛び交わすいつものディアフィールドの会議室でこの訃報を知りました。その瞬間、途方に暮れてしまった私の記憶の中で共鳴した彼女の歌声が美しく、胸が張り裂けそうでした。 ミミ・パーカーのご冥福を心からお祈りいたします」
ポーティスヘッドのメンバーとしても知られるジェフ・バーロウ率いるブリストルのバンド、Beak>は次のようなコメントを発表。
「この訃報に言葉では言い表せないほどの悲しみを感じています。ミミとアランは、僕たちの時代の最も偉大な音楽の創造に貢献した人物であり、彼らと共に過ごした時間は、僕たちにとって非常に貴重な経験でした」
また、「なんとも悲しいニュースです」とコメントしているモグワイのスチュアート・ブレイスウェイトの他、コージー・ファニ・トゥッティやトレイシー・ソーンらも彼女へ哀悼の意を表している。
その生涯
1967年に生まれ、ミネソタ州ベミジーの郊外にある小さな町で育ったミミ・パーカーは、幼い頃から音楽で実験を始め、姉のギターとリードを補完するハーモニーを作り出していた。当時のミミ・パーカーにとって音楽が“癒しであり、逃避の場”だったと、彼女は後にStereogumのインタビューで語っている。
また、高校ではコンサート・バンドとマーチング・バンドでパーカッションを演奏していた。彼女は、後にバンドメイトとなる夫のアラン・スパーホークと小学校で出会い、1993年にベーシストのジョン・ニコルスと共にロウを結成。当初はスネア、シンバル、フロアタムだけの質素なドラムセットで、ドラムスティックの代わりにブラシを使用して演奏していた。
1994年にリリースされたロウのデビュー・アルバム『I Could Live in Hope』は、1999年にピッチフォークが発表した“90年代ベスト・アルバム”に選出されている。
他のメンバーが入れ替わる中、ミミ・パーカーとアラン・スパーホークは、ロウの30年近い歴史の中で中心メンバーとしてバンドの指揮を執り続けた。
スロウでミニマルなアレンジと静かな語り口で、90年代のヘヴィでグランジ指向のサウンドに代わるよりソフトなサウンドを創り出したロウは、インディー・ロック界で最も独創的で優れたバンドのひとつとして知られている。
彼らの音楽は、“スロウ・コア”というロックのサブジャンルに関連づけて語られることがあるが、メンバーはこの言葉を公には否定していた。
その29年のキャリアを通じて、ロウは13作のフル・スタジオ・アルバムを発表。バンドはそのディスコグラフィーの中で独自のアイデンティティを持ったサウンドと様々なスタイルを織り交ぜてきた。
1999年に発表したEP『Christmas』は、祝祭音楽をテーマにした最も愛されるインディー・ロック作品のひとつで、Gapの広告で起用されたことでバンドはさらに注目されるようになった。
2018年と2021年にそれぞれSub Popからリリースされた『Double Negative』と『Hey What』では、1999年の『Secret Name』で挑んだ電子音楽へとさらに踏み込み、見事なキャリアの再創造と評価された。2021年、12年間バンドに在籍し、4作のスタジオ・アルバムに参加したベーシストのスティーヴ・ギャリントンが脱退したことを受け、ロウは正式にデュオとなった。
Written by Tim Peacock
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