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ジャマイカ出身のレゲエ・レジェンド、マックス・ロメオが80歳で逝去。その功績を辿る
「Chase the Devil」などの革命的な楽曲で知られる。ジャマイカ出身のレゲエ・アーティスト、マックス・ロメオ(Max Romeo)が2025年4月11日に逝去した。享年80。英ガーディアン紙によれば、死因は心臓疾患に関連する合併症だったという。
この訃報を受けて、彼の弁護士であるエロール・マイケル・ヘンリーは次のような声明を発表している。
「彼の訃報に接し、大きなショックを受けています。彼はまさに完璧なジェントルマンであり、穏やかで思いやりに満ちた魂の持ち主でした。深い家族愛にあふれた、まさに真のレジェンド。彼のような人は他にいません。だからこそ、この喪失感は大きいのです」
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その生涯
本名マクスウェル・リヴィングストン・スミス(Maxwell Livingston Smith)として生まれたマックス・ロメオは、若くしてキングストンへ移り住んだ。
1960年代にハーモニートリオ、エモーションズのフロントマンとして活動し、1968年に発表したソロ曲「Wet Dreams」は、BBCによって放送禁止されたものの、彼にとって初の国際的ヒットとなった。
バニー・リーのプロデュースによる同曲は、全英シングル・チャートでトップ10入りを果たし、25週間にわたりランクイン。その後ロンドンへと渡ったマックス・ロメオは、バックバンドにルーディーズ(The Rudies)を迎えてデビュー・アルバム『A Dream』を録音した。
ジャマイカに戻った彼は、当時急成長中だったルーツ・レゲエ・シーンに深く関わるようになる。彼の音楽は次第に政治色を帯び、「Let the Power Fall on I」といった革命的なアンセムを生み出していった。同曲は、1972年にジャマイカでの選挙で勝利した人民国家党(People’s National Party)のテーマソングとしても使用された。
1976年にアイランド・レコードからリリースされた名作『War Ina Babylon』のタイトルは、ジャマイカの政治的腐敗を風刺したもので、レコーディングには、リー・“スクラッチ”・ペリーとの継続的なコラボレーションの一環として、彼のハウスバンドであるアップセッターズが参加している。本作に収録の「Chase the Devil」は、後にカニエ・ウェストやプロディジーなど、ジャンルを超えて多くのアーティストにサンプリングされたことで世に広く知られるきっかけとなった。
1978年、マックス・ロメオはニューヨークに移住し、『ヘアー』などで知られるマイケル・バトラーと共同執筆を手掛けたミュージカル『Reggae』で主演も務めた。また、ローリング・ストーンズの1980年のアルバム『Emotional Rescue』に収録されている「Dance」にバック・ボーカルとして参加。晩年もレコーディングやワールドツアーを精力的に行い、2019年にキャリア最後のオリジナル・アルバム『Words from the Brave』をリリースした。
Written By Sam Armstrong
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