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ローファイ・ミュージックの先駆者 ダニエル・ジョンストンが58歳で逝去。その半生を辿る
ローファイ系シンガーソングライターでアウトサイダー・アーティストのダニエル・ジョンストンが、2019年9月10日に心臓発作のため58歳で逝去したことが彼の親族、そして元マネージャーのジェフ・タルタコフによって伝えられた。
多作なDYIミュージシャン、そしてローファイ・ミュージックの先駆者として、ダニエル・ジョンストンの音楽とアート作品は、カート・コバーン、マイク・ワット、ソニック・ユース、トム・ウェイツ他、多くのアーティストたちに影響を与えてきた。
「我々ジョンストン一家は、深い悲しみと共に末っ子のダニエル・ジョンストンの死をご報告します。今朝彼はテキサス州ヒューストン郊外にある自宅で病死しました」と彼の親族は声明の中で述べている。
「ダニエルは歌手、ソングライター、アーティスト、そして私たちみんなの友でした。大人になってから大半人生においては、精神疾患に苦しんでいましたが、たくさんのアートや音楽制作に打ち込むことで自らの病気に打ち勝ってきました。彼は“どんなに暗い日でも、太陽は必ず僕を照らしてくれる。真実の愛がいつか僕を見つけ出してくれるだろう”、というメッセージと共に数えきれないファンやアーティスト、ソングライターたちをインスパイアしてきました」。
この公式声明は、彼と彼の親族が設立した、メンタル・ヘルス問題に関わる新しい対話づくりを、思いやりのあるメディア・コンテンツやプロジェクト、イベント事業によって経済的支援していくための非営利団体<Hi, How Are You Project>から公開されている。
1961年1月22日にカリフォルニア州サクラメントに生まれ、ウェスト・バージニア州で育ったダニエル・デイル・ジョンストンは、アンダーグラウンド・シーンで名声をあげ、カルト的人気を獲得していった80年代を経て、アーティスト活動の拠点をテキサス州オースティンにおいていた。
ダニエル・ジョンストンは、1981年の『 Songs Of Pain』に始まり、2001年の最後のアルバム『Beam Me Up!』まで、比類なき作品群をこの世に残していった。1988年にリリースされたアルバム『1990』にはソニック・ユースのリー・ラナルドとスティーブ・シェリーも参加している。
その生涯を通して身体的、精神的な病と闘い、統合失調症と双極性障害に苦しんでいた彼の生き様は、批評家たちに大絶賛された2005年のドキュメンタリー映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』の中でも描かれ、フォーク・シンガーとして活躍した彼の代表作には「Life in Vain」「True Love Will Find You in the End」「Walking the Cow」などがある。
最も熱心な彼の支持者のひとりとして知られていたカート・コバーンが1992年の“MTV Video Music Awards”授賞式に、有名なアルバム『Hi, How Are You』のジャケット写真がプリントされたTシャツで出席したのは有名なエピソードで、過去のインタビューの中では、ダニエル・ジョンストンを「最も偉大なソングライター」と呼んでいた。
オルタナティブ・ロックやカレッジ・ラジオ・シーンで大きな注目を集めたダニエル・ジョンストンは、1994年にアトランティック・レコードから、メジャー・レーベルからの唯一の作品となった『Fun』をリリースし、その後もアンダーグラウンドのアイコンであり続けた。
2004年には、ザ・フレーミング・リップス、ベック、イールズ、トム・ウェイツらによるダニエル・ジョンストンのカヴァー楽曲を1枚目に、ダニエルによるオリジナル・ヴァージョンを2枚目に収録したトリビュート・アルバム『The Late Great Daniel Johnston: Discovered Covered』が発売されている。(下記ビデオはベックによるカバー)
2015年に、ラナ・デル・レイは、自身が後援を務めたショート・ドキュメンタリー映画『Hi, How Are you Daniel Johnston?』のために、ダニエル・ジョンストンの「Some Things Last a Long Time」カヴァーをレコーディングしている。この映画の中で、ダニエル・ジョンストンは現代の自分役を演じ、監督を務めたガブリエル・サンデー演じる1983年の自分自身にアドバイスしていた。
ダニエル・ジョンストンは、2017年6月にキャリア最後のツアーを敢行し、翌年には、オースティン市が彼の誕生日である1月22日を「“Hi, How Are You” の日」に制定し、その功績を讃えている。
ダニエル・ジョンストンの訃報を受けて、兄であるディック・ジョンストンはこうコメントしている。「僕はずっとダニーに自分という人間を感じながら、しっかりと生きてもらいたかったんです。2003年くらいから彼と仕事をするようになってからは、ありがたいことに10年以上も一緒に世界中を旅をしながら、ファンの皆さんに会いにいくことができました。彼はどこへ行っても温かく迎え入れられ、皆さんが彼のことをとても愛してくれていることだけは本人もわかっていたと思います。彼の病気は長年私たちを悩ませていましたが、あの時間を彼と一緒に過ごせてよかったです」。
Written By Laura Stavropoulos
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