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ジョン・レノンの初のソロ作『ジョンの魂』発売50周年を記念し初のマルチ・フォーマットで発売決定

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ジョン・レノンの『ジョンの魂(John Lennon/Plastic Ono Band)』の発売50周年を記念して初のマルチ・フォーマットにて2021年4月23日に発売されることが決定した。

本作は1970年12月11日に発売。ビートルズ解散後、初となるソロ・アルバムで、リンゴ・スターやクラウス・フォアマンなどをバックに、ジョンが思いの丈をすべて曝し出した内省的な作品。「God / ゴッド(神)」での“ビートルズへの決別宣言”にファンは度肝を抜かれた。ロック名盤中の名盤。

発売50周年を記念した今回のアルティメイト・コレクションは、新たにリマスター、リミックスされたもので、ステレオ・ミックス、ロウ・スタジオ・レコーディング、アウトテイク、エキストラ、オーディオ・ドキュメンタリーなどが8枚のディスクに収録されたスーパー・デラックス・エディションをはじめ、2CD1CD2LP、デジタルのフォーマットで発売。(購入はこちら

プラスティック・オノ・バンドのアルバムでは、ジョンと私は、本当に生で、ベーシックで、正直な現実を、世界中に発信しているという事実が気に入っていました。私たちは、当時は社会的に受容されていなかった、人の脆弱性を尊重することで、他のアーティストたちに影響を与え、彼らに勇気をもたらしました。ザ・ビートルズの一人が“聞いてくれ、僕は人間なんだ。僕は現実に存在するんだ”ということは、革命的なことでした。彼がそうするのは、とても勇気がいることでした」 ― オノ・ヨーコ(ブックレット序文より)

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JOHN LENNON/PLASTIC ONO BAND – THE ULTIMATE COLLECTION. DELUXE BOX SET.

 

葬式を思わせる鐘の音と感傷的な嘆きが心に残るオープニング曲「Mother」を耳にするなり、ジョン・レノンの初めてのソロ・スタジオ・アルバムは、彼が今までに作ってきた楽曲とは一線を画するものであることがわかる。

1970年、ザ・ビートルズの解散直後にレコーディングされた『ジョンの魂(John Lennon/Plastic Ono Band)』で、ジョンは、ごまかしや飾りを捨て去り、ざんげのように生々しく、痛々しいほどに正直で、かつ啓示的なアーティストとしての素直な感情を、悪魔祓いをするように表現する方法を選択した。

アーサー・ヤノフ博士のプライマル・スクリームという心理療法を妻のヨーコ・オノと共に受けていたジョンは、その影響を受け、ドラムにリンゴ・スター、ベースにクラウス・フォアマン、そしてプロデューサーのフィル・スペクターだけで、ミニマリストのプラスティック・オノ・バンドを結成。そしてこのとてもパーソナルなアルバムで、彼は自らの内に宿る悪魔と対峙し、妻への愛を語り、偽りのアイドルを非難し、夢は終わったと宣言したのだ。現在、このアルバムは彼のソロとしてのキャリアの中でも影響力の大きな作品として位置づけられている。なにしろ、世界一のロックスターが、世界に向けて自分の心の内をさらけ出したのだから。正真正銘、革命的な出来事だった。

2021年4月23日、ジョン・レノンが大変容を遂げた影響力の高いこの名作アルバムの発売50周年を記念して、8枚組のスーパー・デラックス・ボックス・セット『ジョンの魂:アルティメイト・コレクション(John Lennon/Plastic Ono Band – The Ultimate Collection)』を発売する。

“僕の今までやった最高のこと” とジョン・レノンが語っていたこの作品にどっぷりと浸り、さらにディープなリスニング体験が可能なセットとなっている。この作品のプロデュースおよびクリエイティヴ面の監修をしたヨーコ・オノ・レノンの完全な許諾を得て作られたこのボックス・セットは、2018年に高評価を得た『Imagine – The Ultimate Collection』と同じ音響チームが今回も携わっている。

グラミー賞を3回受賞しているエンジニアのポール・ヒックス、そしてミキサーおよびエンジニアのロブ・スティーヴンスとサム・ギャノンである。アルティメイト・コレクションでは、リスナーはスタジオのセンターに陣取り、EMIのアビイ・ロードの第2、第3スタジオで、1970年のこのアルバムのレコーディング・セッションや、レノンがザ・ビートルズ以降に作った「Give Peace a Chance(平和を我等に)」「Cold Turkey」「Instant Karma! (We All Shine On) 」などの曲が誕生する瞬間から、最後のマスタリングまで、未発表の音素材や、レアなデモ・テープ、リハーサルの様子、アウトテイク、ジャム・セッション、スタジオでの会話など様々な素材を通じて、今でも愛され続けているこれらの曲がどのようにして作られたのか、その過程を観察することができる。

この歴史的なリミックス&リマスター楽曲のコレクションには、6枚のCDと2枚のブルーレイ・オーディオ・ディスクが収録されており、心奪われる音楽を11時間分も堪能できる。加えて、セットには2枚のポストカード「“Who Are The Plastic Ono Band?”と“You Are The Plastic Ono Band”」と、「戦争は終わった!」のポスターと、歌詞、レアな写真、テープの箱のイメージ、メモラビア、そして長文の解説からなる132ページのハードカヴァー本も付属。アルティメイト・コレクション・シリーズの編集プロデューサーであり、プロダクション・マネージャーのサイモン・ヒルトンがデザインと編集を担当したこの本では、最新インタビューや、過去のインタビューを交えて、それぞれの曲の裏話や、アルバムの制作過程についての話が、ジョンとヨーコ、そして彼らと共に仕事をした人たちの言葉で語られている。

このとてもユニークな拡張版には、テイクの間にジョンとバンドが行なっていた、活気ある即興のジャム・セッションも含まれている。シビアな題材が居並ぶこのアルバムの雰囲気とは正反対だ。そして、このアルバムと対になっているヨーコのアルバム『ヨーコの心/プラスティック・オノ・バンド』のライヴでのレコーディングのセッションの様子も丸々収録されている。長さや速度などの調整前のこのヴァージョンでは、アルバムの全曲以外にも、3曲の未発表のインプロヴィゼーションも含まれている。

以前のアルティメイト・コレクションのように、本セットにも没頭かつ、音楽を身近に感じられるようなリスニング体験を可能にする様々な工夫が施されている。ジョンの声を中心に据えて、音質をアップグレードしたこの永遠のアルバムの最新アルティメイト・ミックスから、マルチ・トラック・レコーディングのある一要素だけを分離して前にもってきて、さらに詳細な面がクリアに聴こえるようにしたエレメンツ・ミックス、そして簡単にミキシングしただけの、エフェクツやテープ・ディレイやリヴァーブなどがかかっていないロウ・スタジオ・ミックスは、リスナーが、ジョンとプラスティック・オノ・バンドがそれぞれの曲をレコーディングした瞬間の音を体験することができる。

エヴォリューション・ドキュメンタリーは、ユニークな曲毎のオーディオ・モンタージュともいうべきもので、それぞれの曲がデモ・テープの段階からマスター・レコーディングとして仕上がるまでの過程を、楽曲への指示や、リハーサルの様子、レコーディングの様子、マルチ・トラックでのミキシング作業、そしてスタジオでのおしゃべりなどの音声で構成されている。ブルーレイには、HD、スタジオ品質の192kHz/24ビット・オーディオ・ステレオ、そして5.1サラウンドとドルビー・アトモス・ミックスなど、リスニングのための様々なオプションが用意されている。

今回の『ジョンの魂』は、デジタルを含む複数の形態での発売が予定されている。オリジナル・アルバムのアルティメイト・ミックスと、アルバムに収録されていないシングル曲3曲を収録した1CD、それに加えてそれぞれの曲のアウトテイクを収録した2CD、もしくは2LPも発売される。

Photo: Richard DiLello © Yoko Ono Lennon

 

収録されているそれぞれの魅力を解説しよう

アルティメイト・ミックス

オリジナルの『ジョンの魂』を、前述したポール・ヒックスがアビイ・ロード・スタジオで、ヨーコ・オノ・レノンの監修のもとに、一から忠実にミックスした。ヒックスは、オリジナルの第一世代のマルチ・トラック・レコーディングのテープからHD24ビット-192kHzでオーディオ・トランスファーして、可能な限りオリジナルを再現した。その結果がこの新たなアルティメイト・ミックスで、音的な深み、精細度、明瞭さがよりいっそう際立っている。特に5.1サラウンド・サウンドとドルビー・アトモスでは顕著だ。

「ヨーコは、このアルティメイト・ミックスでは、3つのことを達成するべきだと熱心に語っていた。オリジナルに忠実で、オリジナル音源に敬意を表したものであること、全体的にクリアな音にすること、そして、ジョンのヴォーカルをより明瞭に聞かせること。『ジョンが肝心だから』と彼女は言っていた。そして彼女は正しかった。彼の声こそ、このアルバムに感情的なインパクトを与える最も大きな要素だった」

アウトテイク

本コレクションにはそれぞれの曲の未リリースのステレオ・アウトテイクが含まれている。これらはオリジナル・アルバムのミックスに近くなるようにバランスを取り、EQをかけている。また、当時アビイ・ロードでジョンとヨーコ、そしてフィル・スペクターが、そうやってプレイバックを聴いていたように、若干のエフェクトをかけて“ラフなリスニング用のミックス”に仕上げた。ハイライトとしてはオープニングの鐘の音がなく、ドラムがモノラルでミキシングされている「Mother」(テイク61)、ジョン・レノンがスペクターのピアノのヘルプなしにアコースティック・ギターを演奏している「Love」(テイク6)、そして最終的にはノリのいい曲になったが、最初はスローで、控えめだったことがわかる「Remember」の最初のリハーサル(「Remember」(リハーサル1)。最後はインストゥルメンタルのジャム・セッションとなった「Well Well Well」(テイク2)、代わりにクロウハンマー奏法で爪弾いている「Look At Me」(テイク2)、そして、とことんファンキーなジョンとエリック・クラプトンのギターの聴ける「Cold Turkey」(テイク1)などがある。

デモ

アウトテイクに加えて、自宅のカセット、自宅のテープ、もしくはスタジオでの一番最初のリハーサルか、最初の通しリハなどでのそれぞれの曲のオリジナルのレコーディングも収録した。多くの曲が、スタジオに持ち込まれる前にほとんど出来上がっていたことには驚きを覚える。そして、それらがどのように変化したのかも。これらのレコーディングのほとんどは、今までリリースされることはなかった。

エレメンツ・ミックス

ヒックスによってミキシングされたエレメンツ・ミックスは、今までに聴こえなかった、もしくはいくつかのケースでは使用されなかった要素(エレメンツ)を表面に出し、より明るく広がりのある音にすることによって、さらに深いレベルのディテールや、明瞭さを描き出そうとする試みである。この目的は、これらの音の素材を聞こえるようにすることで、リスナーに、以前はアルバムのミキシングによって隠れてしまっていたディテールをより完璧な状態で聴いてもらおうというものである。その内容は、「Mother」の独立したジョンのヴォーカル・トラック、「I Found Out(悟り)」のコンガ、「Hold On(しっかりジョン)」のエキストラのヴォーカル、「Isolation(孤独)」のオルガンの別テイク、「Well Well Well」で使用されなかったマラカス、そして「God」のオリジナルのガイド・ヴォーカルなどである。

ロウ・スタジオ・ミックス+アウトテイク

ロブ・スティーヴンスがミキシングを担当したロウ・スタジオ・ミックスでは、リスナーをアビイ・ロード・スタジオの真ん中にテレポートさせてくれる。そこで、レコーディング・セッションの様子を体験できるのだ。楽曲にはテープ・ディレイや、リヴァーブなどのエフェクトはかかっておらず、これらのパフォーマンスがライヴで行なわれたときの音にできるかぎり近づけている。このロウ・スタジオ・ミックスは、他とは著しく異なるリスニング体験を得ることができる。オリジナルの1970年のアルバムで、当時用いられていた音を形作る技術をすべて外した状態で聴く音は、これらのスタジオでのシンプルなパフォーマンスにさらなるニュアンスと深みを見いだせるに違いない。

エヴォリューション・ドキュメンタリー

エヴォリューション・ミックスは、ミニ・ドキュメンタリー的なもので、曲を構成する要素や、アレンジ、そしてそれを演奏するミュージシャンたちなどの角度から、それぞれの曲が進化していく過程を探るものとなっている。

すべての曲はオリジナルの8トラックのマルチ・トラックや、1/4インチのライヴ・レコーディングやミックス、そしてデモ用に使用したカセットなどの音源からサム・ギャノンが編集した。一般的にエヴォリューション・ミックスは、それぞれの曲のセッションの様子が時系列に従って並んでいて、最初はデモや初期のテイクとなっていて、最後はファイナル・ミックスになっている。そこにはインスピレーションから最終形態までのクリエイティヴな旅路が描かれていて、曲の進化の過程では、マルチ・トラックの別の、時には隠されたパーツが露わになっていたり、そこに存在した最高のやり方や、マジック、技術、話し合いなどが捉えられている。

このアルバムは、重く、時に強烈なテーマのものが多い印象だが、セッション全体としての雰囲気は、それに反して明るく楽しいものとなっている。このミックスは、スタジオから世界に向けて開かれた窓のようなもので、リスナーはジョン、ヨーコ、フィルとプラスティック・オノ・バンドのメンバーと共にスタジオの真ん中にいるような気持ちで聴くことができる。

ジャム

シリアスな雰囲気のアルバムに反して、ジョンと、時にはヨーコ、ビリー・プレストンやフィル・スペクターなどといったメンバーが参加しているプラスティック・オノ・バンドのメンバーたちと共に、テイクの合間に、ロックンロールの名曲や、インプロ、そしてときにはジョンの他の曲などを即興でジャム・セッションをして楽しんでいた。そこで演奏された22のジャム・セッションの演奏が、今回初めて、それらがレコーディングされた順番通りに収録されることになった。数多くの珠玉の作品の中には、チャック・ベリーの「Johnny B. Goode」、ファッツ・ドミノの「Ain’t That A Shame」、リトル・リチャードの「Send Me Some Lovin’」などの即興、そしてジョンが初期のロックンロールが大好きだとわかる、エルヴィス・プレスリーの爆笑ものまねなどが含まれる。他のハイライト曲には、「Hold On(しっかりジョン)」をルーズに1回さらっと演奏しているものや、結局は次のアルバム『Imagine』に収録されることになった「I don’t Want To Be A Soldier Mama I Don’t Want To Die(兵隊にはなりたくない)」の初期のトライなどがある。

ヨーコ・オノ/プラスティック・オノ・バンド(ヨーコの心)― ライヴ・セッション

10月10日、レノンの30歳の誕生日の翌日、ヨーコ、ジョン、クラウスとリンゴは自由形態で実験的なジャム・セッションを行なった。それをのちに編集して作られたのが対になるヨーコのアルバム、『ヨーコの心/プラスティック・オノ・バンド』である。今回初めて、オリジナル・アルバムの3倍の長さになる当時のフル・セッションの模様をすべてブルーレイに収録した。サム・ギャノンが新たにミックスしたこのヴァージョンは、編集なしで、オリジナルの速度での演奏をハイレゾ・オーディオで聴くことができる。「Why」などのトラックは18分あり、「Why Not」は21分もある。このライヴ・セッションには「Life」「Omae No Okaa Wa」、そして「I Lost Myself Somewhere In The Sky」の3曲の未発表インプロヴィゼーションも収録されている。

 

ジョンの魂

1970年12月11日にリリースされた『ジョンの魂』は、ザ・ビートルズ解散後の1969年にジョンがリリースした3枚のヒット・シングル「Give Peace a Chance(平和を我等に)」「Cold Turkey」そして「Instant Karma! (We All Shine On)」、ヨーコと共にリリースした3枚の前衛的なレコーディング、そしてエリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、アラン・ホワイトらをフィーチャーした常に進化するプラスティック・オノ・バンドの『Live Peace in Toronto 1969(平和の祈りをこめて〜ライヴ・イン・トロント)』に続く作品だった。

この『ジョンの魂』は、ザ・ビートルズ以降でジョンが初めてリリースするソロ・アルバムだったことから、クリエイティヴ面で新たな自由を得たジョンが何をするのかと、世間の関心は高かった。対して彼の答えに世界はショックを受けた。『Sgt. Pepper’s』のようなサイケデリックな雰囲気や、多くの楽器を使用したにぎやかな音作り、もしくはバンドの最後のアルバム『Let It Be』のような抽象的な詩や、軽快なロックなどはすっかり鳴りを潜め、その代わりに、母や父に捨てられたことや、スターダムの孤独、愛するヨーコへの気持ち、そして文化革命の終焉などを歌った感情的に深く掘り下げた自伝的な楽曲が並んでいたからだ。シンプルで音数の少ない楽器編成、そして最低限でありながらも荘厳なプロダクションにより、本心を露わにしたジョン・レノンの歌声は、今までになくリスナーの心に刺さった。このアルバムは彼がソロ・アーティストとして本当の意味で誕生したことを示すものとなった。このアルバムからは大ヒット・シングルが出なかったにも関わらず、『ジョンの魂』はアメリカとイギリスのチャートで10位以内に入った。

50年経って『ジョンの魂』は、アルバムとして最高傑作のひとつと考えられている。今まで1967年から1987年に発売されたベスト・アルバムのチャートでこのアルバムを4位に入れていたローリング・ストーン誌は、最近、史上最高のアルバム500枚の2020年度の結果を発表し、このアルバムを85位に位置付け、 “純粋で生々しい告白をやまびこのように繰り返すガレージ・ロックのような荒削りさは、パンクの何年も先を行くものだった”と、このアルバムは時代の先を見据えていたと絶賛した。

ピッチフォークはこのアルバムを1970年代のトップ100アルバムで60位に入れ、タイム誌でも史上最高の100枚の中の1枚に選び、“レノンのソング・ライティングはこれまでで最も鋭く、彼の歌は現在でも過小評価されているが、ロック界で最高の歌声に匹敵する”とコメントしている。ローリング・ストーン誌は現在のレヴューで“一人で広場に取り残され、自分を守ってくれるハーモニーも、にぎやかな音もない中で、レノンの歌声は表現力と特異性がある。この100年で最高のヴォーカル・パフォーマンスを探し求める人たちは、この声を無視するような愚かな真似はできないはずだ”とコメントしている。

BBCの2010年の評価がこのアルバムを最もうまく要約しているようだ。“『ジョンの魂』の現実は、この11曲の中にもっともジョン・レノンらしいゴージャスなメロディとリフが詰まっているということだ。これは純粋なザ・ビートルズだが、スタジオでの詭弁を取り去り、告白的な難問の核心を露わにしている。「Mother」では、それが胸を打つような喪失感の嘆きとなっている。そしてこの曲の鏡像となっている「My Mummy’s Dead(母の死)」では、すべてをローファイにすることを考案した。その間に挟まれた、「Working Class Hero(労働者階級の英雄)」では、辛い状況下で大志を抱き、「I Found Out」と「Well Well Well」では、切羽詰まった状態での怒りをパンクの原型ような方法で表現し、「Remember」と「Isolation」では自己嫌悪と恐怖を、「Love」と「Hold On」では癒しを求める様子が感動的である。そして比類なき「God」では、神や、怪物、ザ・ビートルズ、そして1960年代の偽りのアイドルなどすべてを徹底的に叩き潰している。この曲は現在においてもテーマ的に、今までにレコーディングされた曲の中で最も野心的で勇気あるロック曲と言えるのではないだろうか”

2020年10月、存命であればジョンが80歳になる誕生日に『John & Yoko / Plastic Ono Band: In Their Own Words & With Contributions From The People Who Were There』という本が出版されたことから始まったこの象徴的なアルバムの50周年記念プロジェクトは、『ジョンの魂 ― アルティメイト・コレクション』に繋がっている。

この本ではジョンとヨーコはもとより、プラスティック・オノ・バンドのメンバー、そして、ジョージ・ハリスン、クラウス・フォアマン、ローリング・ストーン誌の創業者で編集者のヤン・S・ウェナー、そしてセラピストのアーサー・ヤノフなど、彼らの人生で重要な人たちからの直接のコメントや、手紙、イラスト、そしてアニー・リーボヴィッツ、リチャード・ディレロ、イーサン・ラッセル、イアン・マクミラン、ジョン・リーダーそしてデイヴィッド・ナッターたちの撮ったほとんど未発表の写真が満載で、とても興味深い内容となっている。この鋭い視点の本からは、ザ・ビートルズ解散後、オノと結婚後のレノンの素顔や心の持ちようが見て取れる。この美しい装丁のハードカヴァーの画期的な本では、黒く塗られた小口部分に1970年のアルバムのキャンペーンで使用した“Who Are The Plastic Ono Band?”というコピーが、ステンシルで描かれている。

Written by uDiscover Team



ジョン・レノンの『ジョンの魂(John Lennon/Plastic Ono Band)』
2021年4月23日発売
スーパー・デラックス・エディション2CD1CD2LP



 

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