News
ジミー・バフェットが76歳で逝去。事業家としても成功したその功績を辿る
多くの人に愛されたシンガーソングライター、ジミー・バフェット(Jimmy Buffett)が2023年9月1日に76歳で亡くなった。この訃報は次のように発表された。
「ジミーは9月1日の夜、家族、友人、音楽、そして犬に囲まれ、静かに息を引き取りました。彼は最期まで歌のような人生を送り、多くの人に惜しまれることでしょう」
バフェットは今年春に一時入院していたが、退院後、大勢のファンにこう宣言していた。
「歳をとるってことは弱虫になるっていうことではないね。約束するよ」
<関連記事>
・2023年に亡くなったミュージシャン、音楽業界の関係者たち
・プロテスト・ソング特集:不正の告発や反戦のために歌われた歌の歴史とは?
追悼の言葉
「Come Monday」(1974)や「Margaritaville」(1977)といったヒット曲、アルバム『Cheeseburger In Paradise』(1978)や『Changes in Latitudes, Changes in Attitudes』(1977)まで、“パロットヘッド”と呼ばれる彼のファンに愛されたバフェットは、気楽で落ち着いたスタイルを体現し、それが彼の富を築いた。
その後、彼は「Jimmy Buffett’s Margaritaville」や「Cheeseburger in Paradise」といったレストラン・チェーン事業を行い、1996年にはフォーブスの「アメリカで最も裕福なセレブリティ」ランキングで13位にランクインし、純資産は5億5,000万ドル(約801億円)に達している。事業家として大成功した一方でツアーも続け、50年以上にわたってパフォーマーとしてのキャリアを積んだ。
カントリー界のスターであり、友人でもあるザ・オーク・リッジ・ボーイズは「ジミー、ゆっくり休んでくれ…楽しい時間をありがとう」と追悼メッセージを投稿。この訃報についてウォール・ストリート・ジャーナル紙は「数々の事業を指揮しながら、ビーチで暮らすこと、ハスラー、そして海賊を歌ったクルーナーだった」と、USA Today紙は次のように報じていた。
「しわくちゃの笑顔、さわやかな曲、裸足のステージングで、ジミー・バフェットはビーチで暮らすというペルソナを体現していた。しかし、レストラン、書籍、ビール、リゾート、ブロードウェイ・ショー、クルーズ・ラインなどのブランドだけでなく、その50年以上にわたる音楽キャリアは、ファンからの絶大な支持を生み出し、バフェットを正真正銘の大物として確立させたのだ」
その生涯
彼は1946年12月25日にミシシッピ州パスカグーラでジェームス・ウィリアム・バフェットとして生まれた。1969年に南ミシシッピ大学の歴史学科を卒業し、1970年にアンディ・ウィリアムスのバーナビー・レーベルからデビュー・アルバム『Down To Earth』をリリース。
1973年のサード・アルバム『A White Sport Coat and a Pink Crustacean』から、バフェットはABCと契約し、5枚目のアルバムである1974年の『A1A』で全米アルバム・チャートのトップ30に入るなど、ますます成功を収めた。1977年の7作目のアルバム『Changes in Latitudes, Changes in Attitudes』は、リード曲「Margaritaville」タイトル曲を含むプラチナム・セラーとなり、「Margaritaville」はアダルト・コンテンポラリー・チャートで1位を獲得した。
1978年の『Son Of A Son Of A Sailor』の後、彼はMCAに移籍し、アルバムでもステージでもリラックスした“ビーチバム(ビーチで暮らす人)”ぶりを発揮し、ますます人気を博した。その後発売したアルバム『Last Mango In Paris』『Floridays』『Off To See The Lizard』などは、彼の軽快なアプローチを反映した作品となっている。後年はカントリー・チャートでも成功を収め、アラン・ジャクソンの快楽主義的な「It’s Five O’Clock Somewhere」(2003)やザック・ブラウン・バンドの「Knee Deep」(2011)にゲスト参加している。
1996年、ローリング・ストーン誌に典型的な自身のファンである“パロットヘッド”について尋ねられたバフェットは、こう答えていた。
「年に数日だけ、楽しい時間を過ごしたい人たちがいるんだ。僕らが街にやってくると、お祭りや謝肉祭のように盛り上がる。みんなはコンサートでは鬱憤を晴らし、その後は法を守る市民に戻る。でも、この2日間の彼らを見れば、『なんてこった、こんな酔っ払った騒々しい群衆は見たことがない!』と思うだろうね」
Written By Paul Sexton
- フォークカントリーの名匠ジョン・プラインが73歳で逝去
- ハンク・ウィリアムズから始まるカントリー・ミュージックの反逆者たち
- ザ・バンド『Stage Fright』解説:「ダークなアルバムだ」とリヴォンが語る魅力とは
- ニック・ドレイク『Pink Moon』:うつ病の中、2日間のセッションで完成した傑作
- reDiscover:ボニー・レイットの大復活作『Nick Of Time』