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A&Mレコードの共同創設者、ジェリー・モスが88歳で逝去。その功績を辿る

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Photo: Theo Wargo/Getty Images for Songwriters Hall Of Fame

A&Mレコードの共同創設者、ジェリー・モス(Jerry Moss)が米ロサンゼルス、ベル・エアの自宅で 2023年8月16日に88歳で逝去した。

彼はハーブ・アルパート(Herb Alpert)と共に30年以上にわたり、業界で最も成功したインディペンデント・レーベルのひとつ、A&Mレコードを率い、ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスの『Whipped Cream & Other Delights』、ピーター・フランプトンの『Frampton Comes Alive!』からカーペンターズやジャネット・ジャクソン、キャット・スティーヴンスの作品まで、数え切れないほどのアイコニックなアルバムをリリースし、2006年にはハーブ・アルパートと共にロックの殿堂入りを果たしている。

彼の遺族は次のような声明を発表している。

「彼のような人は本当にもういませんし、太陽の下であらゆることについて語り合った彼との会話が恋しくなるでしょう。彼の目は、次なる冒険のための準備に向けていかなる時も輝きを放っていました」

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その生涯

ハーブ・アルパートとジェリー・モスのパートナーシップは、1962年半ば、ウェスト・ハリウッドにあったハーブの自宅ガレージでのささやかな自主制作から始まった。当時のハーブは、サム・クックのヒット曲(「Wonderful World」など)を同じロサンゼルス出身のルー・アドラーと共作するなど、すでに音楽的実績を持っていた。

A&Mレコードとして成功を収める以前、2人はチャーリー・ロビンソンらの作品をリリースした短命のベンチャー・レーベル、カーニバル・レコードを設立(のちに同レーベル名がすでに使われていることを知り、2人の苗字の頭文字をとってA&Mレコードへ改名する)。

もともと2人がそれぞれプロデュースを手掛けた2枚のシングルをリリースするためだけに立ち上げられたという同レーベルについて、ハーブはRock’s Backpagesのインタビューの中で、「ジェリーと私は、レーベルを立ち上げるという大それた計画を持っていたわけではなく、成り行きでそうなったんだ」と明かしており、別のインタビューでジェリー・モスもまた、次のように語っている。

「私たちは2人ともレコードを制作中で、それぞれの制作に私たち以外は誰も関わっていなかったんだ。1枚はハーブがヴォーカリストとして参加したレコードで、彼がプロデュースしたものだった。もう1枚は、当時TV番組に出ていた私の友達と作っていたレコードで、途中からハーブにトランペットで参加してもらった。どちらのレコードも制作費は同じぐらいだったので、“プロモーションをして、その結果を見てみようか”ということになり、文字通り初期費用として100ドルずつ小切手口座に入れて、私は最初に彼のレコードを、それから僕が作ったレコードを持ってラジオ局を宣伝して回ったんだ」

Baby, I Love Your Way (Live In The United States/1976)

2005年のRock’s Backpagesとの別のインタビューで、ジェリー・モスはA&Mレコードの長寿についてもこう振り返っている。

「私たちは本当に時間をかけて、実験のために時間を注ぎ込んだんだ。最初の2、3年は、本当にハーブと私、そして機転の利く秘書みたいな人だけでやっていた。私たちはレコードを作り、自分たちの思うがままにアルバムを展開していった。私たちは、商業的に通用するのと同時に自分たちが好きなレコードを作ろうとしていたんだ。そうして私たちは、ザ・ティファナ・ブラスとの作品が大きなチャンスになりそうだと思うようになった。最初のシングルとアルバムを出した後も、ずっと興味を持たれ続けていたからだ。それに、無駄な予算を注ぎ込んでいなかったことも大きかった。ハーブと私は会社からあまり大きな予算を出さなかった。数年間は、週に125ドルを引き出していた。会社は私たちの生活そのものだったから、資産は残すようにしていたんだ。それから、1964年末に“South of the Border”をリリースしてヒットした時には、少なくとも10万枚は売れるアルバムができたと確信することができて、ようやく成功に繋がる何か築いていく真のチャンスを手にしたと思うようになったんだ」

[They Long To Be] Close To You

他の多くのインディペンデント・レーベルが60年代を生き残れなかった中、A&Mの永続的な成功の鍵のひとつは、その折衷主義だった。ジョー・コッカー、セルジオ・メンデス、ザ・フライング・ブリトー・ブラザーズといったアーティストの成功に続き、A&Mは70年代から80年代にかけて、ポリス、スクイーズ、ゴーゴーズといったニュー・ウェーブのアーティストからバリー・ホワイトやジャネット・ジャクソンといったR&Bミュージシャンまで、幅広いジャンルのアーティストを契約していった。

ジェリー・モスのレガシーは、今年1月にロサンゼルス・ミュージックセンターで開催され、ハーブ・アルパート、ピーター・フランプトン、スティング、リタ・クーリッジ、エイミー・グラントらが出演したトリビュート・コンサート“Live at the Music Center: Concert Celebrating A&M Records Co-Founder Jerry Moss”で讃えられている。

Written By Sam Armstrong


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