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女性の地位向上を訴えた全米1位曲「I Am Woman」で知られるヘレン・レディ逝去。その功績を辿る
オーストラリア出身の歌手で、70年代に女性の地位向上を訴えた「I Am Woman(私は女)」の大ヒットで一躍フェミニストのアイコンとなったヘレン・レディ(Helen Reddy)が2020年9月29日にロサンゼルスで逝去した。78歳だった。
ヘレン・レディは2015年に認知症と診断され、ロサンゼルスの老人ホームで生活していたことをガーディアン紙が報じている。彼女の遺族である娘のトレイシーとジョーダンは、彼女が亡くなったことを受けて、彼女の公式ファンページに次のような声明を発表している。
「深い悲しみとともに、最愛の母ヘレン・レディが、2020年9月29日午後、ロサンゼルスで亡くなったことをお知らせします。彼女は素晴らしい母親、祖母であり、真の意味で優れた女性でした。胸が張り裂ける思いですが、彼女の声が永遠に生き続けていくであろうと知ることに慰めを見出しています」
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メルボルン生まれのヘレン・レディは、彼女の人生とシンガーソングライターとしての先駆的なキャリアを描き本国で今年9月に公開された伝記映画『I Am Woman』の題材にもなっている。数十年に及ぶキャリアを通して彼女が成し遂げてきた多くの功績の中でも、1972年のアンセム「I Am Woman(私は女)」は、「私は女、叫びを聞いて/数が多すぎて無視はできないはず」という女性たちに力を与える歌詞のお陰もあり、いまだに世代を越えた女性たちの心に共鳴している。
4歳で舞台デビュー
1941年10月25日、ショウビズ一家に生まれたヘレン・レディは、4歳で舞台デビューを果たし、1960年代初頭には地元のテレビ・シリーズに出演するようになる。1966年に24歳のシングルマザーとして渡米した彼女は、伝記映画の中でも描かれている通り、男性優位の芸能界で成功しようとしていた多くの若い女性たちが苦しんでいた息が詰まるような女性差別を経験することになる。
ヘレン・レディのアメリカでのキャリアは、1971年のミュージカル舞台『ジーザス・クライスト・スーパースター』からの2作目のシングル「I Don’t Know How To Love Him」のB面曲が13位を記録したことで幕を開ける。しかし彼女にとって真のブレイクは、1972年の「I Am Woman(私は女)」が全米シングル・チャートで1位を獲得し、グラミー賞の“最優秀女性ポップ・ヴォーカル”を受賞した時だった。オペラ歌手のジョーン・サザーランドに次いで、オーストラリア人女性として初めてグラミー賞を手にした彼女は、「全てを可能にしてくれた神に感謝します」と授賞式のスピーチで述べた。
ヘレン・レディの不朽のヒット曲「I Am Woman」が、女性の地位向上を訴える権利運動の非公式アンセムとなった後も、彼女はアメリカでブレイクを果たし、最も成功したオーストラリア人スターの一人として、1970年代半ばの全米ポップ・チャートやアダルト・コンテンポラリー・チャートにおいて強い存在感を放っていた。
また、グラミー賞を受賞したことがきっかけとなり、毎週ゴールデンタイムに放送されていたTVバラエティ番組の司会に抜擢され、1974年には俳優として出演した映画『エアポート’75』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされるなど、活動の幅を広げていった。
とてつもなくスケールの大きい、輝かしい人生
これまでに全米シングル・チャート入りした全21曲の中には、「Leave Me Alone (Ruby Red Dress)」「You and Me Against The World」(娘トレイシーとの対話をフィーチャー)、「Ain’t No Way To Treat A Lady」 などのTOP10シングルの他、カントリー歌手タニヤ・タッカーによるデビュー曲を彼女がカヴァーした「Delta Dawn(デルタの夜明け)」や、イギリスで5位を記録し国際的な成功を収めたシングルの一つで不気味な雰囲気を漂わせる「Angie Baby」といった全米ポップ・チャートで1位に輝いた2曲が含まれている。2005年には回顧録『I Am Woman』を出版していた。
同じくオーストラリア出身の女優で、彼女の伝記映画でヘレン・レディ役を演じたティルダ・コバム=ハーヴェイは、「彼女の人生はとてつもなくスケールの大きく輝かしいものでした。あんな風に世界に挑戦していた人に刺激を受けずはいられません」とシドニー・モーニング・ヘラルド紙に語った。
Written By Laura Stavropoulos
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