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ザ・ベンチャーズのオリジナルメンバー、ドン・ウィルソンが88歳で逝去。その功績を辿る
ロックの殿堂入りを果たした伝説的インストゥルメンタル・ロック・バンド、ザ・ベンチャーズ(The Ventures)の共同創設メンバーで、リズム・ギタリストのドン・ウィルソン(Don Wilson)が2022年1月22日、88歳で逝去した。家族によると、彼は地元ワシントン州のタコマで安らかに息を引き取ったという。彼の息子ティム・ウィルソンは声明で次のように述べている。
「私たちの父は、彼のバンドであるザ・ベンチャーズと共に世界中の人々に感動を与えた素晴らしいリズム・ギター奏者でした。非常に愛され、高く評価された彼の名は、永遠に歴史に残されることでしょう。彼がいなくなって寂しくなります」
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1933年2月10日に米ワシントン州のタコマで生まれたドン・ウィルソンは、1958年にワシントン州シアトルでリード・ギタリストのボブ・ボーグルとザ・ベンチャーズを結成。1960年に全米シングル・チャートで2位を記録した「Walk, Don’t Run」はグループを語る上で欠くことのできない代表曲として知られ、後にグラミー賞とロックの殿堂入りを果たしている。
一方で、このヒット曲は、彼らが、その多忙を極めたレコーディングとライヴ活動を通してヒット・チャートに送り出した14曲のヒット曲のひとつに過ぎず、ザ・ベンチャーズの全世界でのアルバム総セールスは1億枚以上とも推定され、特に日本では絶大な支持を獲得した。
1954年にジャズ・ギタリストのジョニー・スミスが作曲し、初めて録音した「Walk, Don’t Run」は、スタンダード・ナンバーとして浸透し、そのわずか4年後、1964年に新たにレコーディングされた彼らの“サーフィン”ヴァージョン「Walk, Don’t Run ’64」は再び全米TOP10ヒットを記録している。
また、彼らは1960年に発表した「Perfidia」でも全米TOP20入りを果たしている他、1969年の大ヒットTVドラマ『Hawaii Five-O』のためにレコーディングした同名のテーマ曲は、全米4位を獲得。その他の代表的なシングルには「Ram-Bunk-Shush」「Slaughter On Tenth Avenue」「Secret Agent Man」などがある。
1960年の『Walk Don’t Run』から1972年の『The Ventures Play The Classics』に至るまで、1年に4、5枚のペースで作品をリリースしていたザ・ベンチャーズは、通算38作のアルバムを全米チャートに送り出し、それら全てにドン・ウィルソンがフィーチャーされていた。また、彼らがインストゥルメンタル・グループやそれ以降の世代に与えた影響は評価され、2008年にジョン・フォガティがプレゼンテーターとなってロックの殿堂入りを果たしている。ドン・ウィルソンは、2015年にライヴ活動から引退するまで、ザ・ベンチャーズの後期ラインナップでツアーを続けた。
彼が家族と共同製作した2020年のドキュメンタリー映画『The Ventures: Stars On Guitars』公開時に、彼はピープル誌の取材にこう語っていた。
「サーフ・バンドを目指したことはありませんでした。正直、サーフ・ミュージックを演奏するのは大好きです。とても楽しいし、気分も良くなる。それでも自分たちをサーフ・バンドだと思ったことはありません。サーフ・カルチャー、エレクトリック・ギター、アメリカーナなど、私たちが音楽を始めた1960年代初頭に生まれたものすべてが一緒になっただけなんです。嬉しいハプニングと言えるかもしれませんね。ベンチャーズ流にアレンジしたクラシックからディスコまで、あらゆるジャンルの音楽を演奏しているんですから」
Written By Paul Sexton
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