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リチャード・ドブソン逝去。ジョニー・キャッシュらにカヴァーされたルーツ音楽を代表する人物
ルーツ音楽のソングライターかつパフォーマーで、彼が制作した楽曲は、ガイ・クラーク、カーリーン・カーター、ナンシー・グリフィスやビリー・ジョー・スピアーズがレコーディング。ジョニー＆ジューン・カーター・キャッシュもその楽曲を歌ったリチャード・ドブソンが12月16日に亡くなった。1990年代後半から住んでいたスイスのディッセンホーフェンで逝去。享年75歳だった。
1942年にテキサス州タイラーで生まれたリチャード・ドブソンは、広く知れ渡った名前ではないかもしれないが、1970年代の彼のキャリアはタウンズ・ヴァン・ザント、ロドニー・クロウェル、スティーヴ・アール、ガイ・クラークなど、才能あふれる人たちとともにしていた。非常に過小評価されているドキュメンタリー『Heartworn Highways』で、先に述べたアーティストが全て出演していた中で、リチャード・ドブソンもガイ・クラークの台所で演奏しているシーンに出演している。1975年から76年にかけて撮影された本作は、1981年までリリースされなかった。
1977年にリチャード・ドブソンはデビュー・アルバム『In Texas Last December』をリリース。のちにカーリーン・カーターとデイヴ・エドモンズがデュエットでカヴァーした「Baby Ride Easy」のオリジナルも含まれている。カーリーン・カーターとデイヴ・エドモンズのヴァージョンは、1980年に全米カントリー・チャートで76位を記録している。さらにこの曲は、ビリー・ジョー・スピアーズ、デル・リーヴスにもカヴァーされている。ここでは1984年のテレビの特別番組『Christmas On The Road』でジョニー＆ジューン・カーター・キャッシュがモントルーでパフォーマンスしている映像をご紹介しよう。
他に著名なカントリーとアメリカーナのアーティストがレコーディングしたリチャード・ドブソンの楽曲には、「Forever, For Always, For Certain」（ガイ・クラーク）、「Piece Of Wood and Steel」（デヴィッド・アラン・コー）、そしてナンシー・グリフィスの1984年のアルバム『Once In A Very Blue Moon』に収録された「The Ballad Of Robin Winter-Smith」があげられる。
タウンズ・ヴァン・ザントとの友情により、リチャード・ドブソンは1994年のトリビュート・アルバム『Amigos』をレコーディング、そして著書『Gulf Coast Boys』の執筆に至った。さらに2012年には新しい著書『High Rhine – A Texas Singer in Exile』も書き下ろした。スタジオでも多くの作品を生み出したリチャード・ドブソンは、前年にテキサス州ジョージタウンでレコーディングしたW.C.ジェイムソンとのコラボレーション・アルバム『Plenty Good People』を2016年にリリースした。
リチャード・ドブソンは、自身のウェブサイトで人生やキャリアについてこのように語っている。
「たまにこのビジネスで生計を立てられたかと聞かれることがあるんだ、いつも生計が立てられたとは言わないけど、この人生以外は考えられないと答えているよ。音楽は私の存在を計り知れないほど豊かにし、多くの喜びをもたらしてくれた、だから辛買った時の不満を言うなんて馬鹿げているよ。音楽で生きるのは特権であり、古くからある職業だ、そして音楽は人々の扉を開き、お金には換算出来ない報いがある場所に連れて行ってくれる。他には存在しない、世界への窓なんだ。振り返ってみると、後悔していることはほとんどない。ただ時々、ピアノのレッスンは続けておけばよかったなと思うぐらいさ」。
Written by Paul Sexton
