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ブッチ・トラックスよ、安らかに
1969年にオールマン・ブラザーズ・バンドを結成したブッチ・トラックスが、69歳で死去した。
「オールマン・ブラザーズ・バンドを結成したブッチ・トラックスは、2017年1月24日夜、フロリダ州ウェスト・パーム・ビーチで悲しいことに亡くなりました。彼の妻、4人の子供、4人の孫、そしてオールマン・ブラザーズ・バンドのみなさん、その家族とロード・クルーが遺されることになりました。トラックスのご家族とオールマン・ブラザーズ・バンドのご家族が彼を失い悲しみに暮れている時に、どうかプライバシーを尊重して頂けるよう、ブッチの友人及びファンの皆さまにお願いします。ブッチは私達の心の中で永遠にプレイし続けることでしょう」とスポークスマンからのコメントがあった。
トラックスは、オールマン・ブラザーズ・バンドにも長年在籍し、現在ヴォーカリスト兼ギタリストのスーザン・テデスキと共に、テデスキ・トラックス・バンドを率いるギタリスト、デレク・トラックスの叔父に当たる。
寄付とトラックスへの追悼は、ジョージア州メイコンのザ・ビッグ・ハウス・ミュージアム(TheBigHouseMuseum.com)まで。
オールマン・ブラザーズ・バンドはティーンエイジャー・バンドのエスコーツとオールマン・ジョイと、サイケデリックなアワー・グラスと31stオブ・フェブラリーのメンバーによって結成される。デュアン・オールマンは引っ張りだこのセッション・ギタリストで、弟のグレッグはロサンゼルスでバンドのレコード契約先を探す任務を受けていた。当時バンドに在籍していた他メンバーは、ギタリストのディッキー・ベッツ、ドラマーのブッチ・トラックス、そしてベースマンのベリー・オークリー。
その他にドラマーがもうひとり、それにコンゴ・プレイヤーのジェイ・ジョニー・ジョハンソン(その後シンプルにジェイモーとして知られるようになる)が参加、熱心なファンを獲得し、口コミで高い評価を受け、その結果プロデューサーのトム・ダウドとのレコーディングに漕ぎつく。グループのデビュー作は2週間ちょうどで完成、収録曲はライヴ・セットでプレイし慣れていた為、臨場感があり磨きが掛かっていて、グループの野心にマッチしていた。
「In Memory of Elizabeth Reed(邦題:エリザベス・リードの追憶)」が収録されている『Idlewild South』(1970)で、オールマンズは再びダウドとタッグを組み、メイコンのカプリコーン・ サウンド・スタジオ、マイアミのクライテリア・スタジオ、そしてニューヨーク・シティのレジェンド・サウンドでレコーディングを行なった。『At Fillmore East』のリリースにより、彼等は初めて日の当たる場所へと躍り出た。本作は史上最高のライヴ・アルバムと広く評価されており、2004年、米国議会図書館に文化、歴史、芸術的に重要な収録物として選ばれる。1972年の『Eat A Peach』もまた忘れてはならない2枚組であり、デュアンのプレイは大部分のトラックに遺され後世に伝えられることになるが、ミキシングが彼の死後に行われたこともあり、聴いていて最も心が痛む作品だ。
『Brothers and Sisters』(1973)では更なる悲劇が待っていた。オークリーが制作期間中に事故で亡くなったのだ、だが、「Ramblin’Man」(セカンド・リード・ギタリストのレス・デューデックをフィーチャーしている)と「Wasted Words」中の彼のパートは存命中にレコーディングされていた。オールマン・ブラザーズの6枚目アルバム『Win, Lose or Draw』(1975)は、彼等のジャム・スタイルの重大な転機となる。パンクとニュー・ウェイヴ到来で仲間達の間で不安が広がる中、全盛期の70年代半ば、カリフォルニア、ニューヨーク、そしてルイジアナのツアーから集められた、この2枚組ライヴ・アルバム『Wipe the Window, Check the Oil, Dollar Gas(邦題:熱風)』(1976)がリリースされた。『Enlightened Rogues』(1979)では、グループが内外摩擦を経験していた事実を否定せず、告解の様相を呈する作品に仕上がっている。ギタリストのダン・トーラーが新たな刺激となり、バンドは輝きを取り戻している。
全盛期のようにチャートを賑わすことはなかったオールマン・ブラザーズ・バンドだが、ブッチとその他欠くことの出来ないメンバー達は、最終的に解散する2014年まで演奏を続けた。
『At Fillmore East』を耳にした方はみんな、このバンドのパワーに圧倒されるだろう。ディッキー・ベッツは「ブッチがやって来た時、あの凄い疾走感と昔ながらのやり方がジェイモーと見事に合った。彼は俺達が求めていたパワーを持っていた」と語った。
ブッチ・トラックス どうか安らかに。