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UB40の創設メンバーでサックス奏者のブライアン・トラヴァースが62歳で逝去。その功績を辿る
イギリスのレゲエ・ポップ・バンド、UB40の創設メンバーで、サックス奏者、アレンジャー、作詞家としてバンドを支えたブライアン・トラヴァース(Brian Travers)が長く患っていた癌のため、62歳で逝去した。
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バンドは、次のような声明を発表している。
「深い悲しみと共に、我々の同志であり、兄弟であり、UB40の創設メンバーであり、音楽界のレジェンドであるブライアン・デヴィッド・トラヴァースが亡くなったことをお知らせ致します。ブライアンは、癌との長く壮絶な闘いの末、昨日の夕方、ご家族に見守られながら亡くなりました」
2019年にバンドの地元である英バーミンガムのアリーナで開催されたコンサートが、ブライアン・トラヴァースにとって生前最後のパフォーマンスとなった。同年3月、彼は自宅で発作を起こし、脳に2つの腫瘍があることが判明したため、バンドのアニバーサリー・ツアーに参加することはできなかった。その年に腫瘍の摘出手術を受け、今年初めにも再び手術を受けたことが報じられていた。
It is with great sadness that we announce the passing of our comrade, brother, founding UB40 member and musical legend, Brian David Travers. Brian passed away yesterday evening with his family by his side, after a long and heroic battle with cancer. pic.twitter.com/V3EguMJCYY
— UB40 (@UB40OFFICIAL) August 23, 2021
1980年にシングル「Food For Thought」で初の全英TOP10入りを果たしたUB40は、その後も「I Think It’s Going to Rain Today」、「Red Red Wine」や「I Got You Babe」などのカヴァー曲をヒットさせ、成功を収めていく。バンドは、これまでに39曲の全英TOP40シングル、28作の全英TOP40アルバムをリリースし、全世界で推定1億枚のアルバム・セールスを記録している。
ブライアン・トラヴァースは、1970年代後半に学校の友人たちとバンドを結成。バンド名は、街には仕事がなかったことから、失業手当に申し込むための公式申請書“Unemployment Benefit Form 40”から付けられたもので、バンドのデビュー・アルバム『Signing Off』のタイトルもそれに由来している。
彼は2010年の英テレグラフ紙の取材に次のように語っていた。
「契約したばかりの頃、誰かが “UB40”を思いついて、僕らはすぐにそれをバンド名にしようと決めました。給料に感謝ですね。食べることもできて、家賃も払えて、自分たちのキャリアアップに集中することができた。僕たちは地下室を借りて、毎日朝9時から夕方5時までリハーサルを始めました。みんな一緒に楽器を学び始めたので、お互いに失敗してはけなし合ったものです。でも、僕たちは音楽に対してとても真剣でした」
そうして1980年に発表したバンドのレゲエへの愛と、当時の世界的な不正への怒りを表現したデビュー・アルバム『Signing Off』は全英チャートで2位を記録している。
ブライアン・トラヴァースは、2010年のインタビューの中で、今作に込めたメッセージについてこう説明している。
「今の世の中にも通じるものもあります。でもその考えは甘くもあって、あの頃の僕たちはポップソングですべてを変えられると思っていましたが、何も変わらないんだいうことを学びました」
その後もバンドは、シングル「Red Red Wine」で全米1位を獲得し、1993年にはエルヴィス・プレスリーのカヴァー曲「(I Can’t Help) Falling in Love with You」が全米で7週連続1位を記録するなど、世界的成功を収めていく。また、彼らはこれまで4度のグラミー賞にノミネートされ、1984年にはブリット・アワードの“優秀ブリティッシュ・グループ賞”にもノミネートされている。
バンドのラインナップは、アリ・キャンベルが脱退する2008年1月まで、30年近く変わらなかったが、今年6月、UB40のフロントマンだったダンカン・キャンベルが体調不良を理由に音楽活動からの引退を発表し、代わりに英レゲエ・バンド、Kioko(キオコ)のマット・ドイルがバンドのリード・シンガーに就任。ロビン・キャンベル、ジミー・ブラウン、アール・ファルコナー、ノーマン・ハッサン、ローレンス・パリー、トニー・マリングス、マーティン・メレディス、ブライアン・トラヴァースという直近のラインナップに加わった。
Written By Tim Peacock
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