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米オルタナティヴ・ロック・バンド、モーフィンのビリー・コンウェイが65歳で逝去。その功績を辿る
2021年12月19日、ジャズ、ブルース、ロックを融合させた音楽性で高い評価を得てきたマサチューセッツ出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、モーフィン(Morphine)のドラマー、ビリー・コンウェイ(Billy Conway)が65歳で逝去した。
ビリー・コンウェイの友人でバンドメイトでもあったジェフリー・フーコーは、ローリングストーン誌の取材に彼の死因は癌だったことを明かしている。
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ビリー・コンウェイとモーフィンの元メンバーとで2009年に結成されたヴェイパーズ・オブ・モーフィン(Vapors of Morphine)の公式フェイスブックは、次のように追悼を捧げている。
「我々の兄弟であるモーフィンのドラマー、ビリー・コンウェイが癌との長い闘病生活の末、亡くなったと知り、悲しみに打ちのめされています。彼のご家族と友人に深い哀悼の意を捧げます」
モーフィンの創設メンバーで、初代ドラマーのジェローム・デュプリーと共に、バンドの最初の2作のアルバム、1992年の『Good』と1993年の『Cure for Pain』に参加したビリー・コンウェイは、その後脱退したジェローム・デュプリーに代わり正式メンバーとなった(後者のアルバムでビリー・コンウェイがドラムを担当したタイトル曲は、今でもバンド史上最も高い評価を得ている曲の一つとして知られている)。
ジェローム・デュプリーとビリー・コンウェイはライヴでも度々共演を果たし、ジャズから影響を受け、無駄なものが削ぎ落とされたビリーのドラムは、地味ながらバンドのユニークなサウンドを構成する重要な要素となっていった。
ギターを排除し、ドラムとデイナ・コーリーのサックス、マーク・サンドマンの2弦ベース(もしくは2本のベース弦と1本のギター弦を組み合わせた“tri-tar”)というユニークな編成のモーフィンは、自主制作した最初の3作のアルバムで高い評価を獲得し、その後契約を交わしたDreamWorks Recordsからリリースした1997年のアルバム『Like Swimming』でメインストリームでの成功に近づきつつあったが、彼らのファンが期待するようなブレイクには至らなかった。
デイナ・コーリーは、2020年のインタビューで当時をこう振り返っている。
「DreamWorks(との契約)は幸運であり、災いでもありました。彼らは僕らに経済的な自由を与えてくれた一方で、僕らの制作プロセスに大きなストレスがかかってしまったんです。ドリームワークスとの契約前は、レーベルからの批評めいたものを受けることなく、自分たちが望むものを作れていました。マークは、僕たちが次の契約を獲れるようなレコードを作らなければならないという大きなストレスを感じていました。彼ら(レーベル)のために大ヒット曲を生む責任があると感じていたんです。それが原因で、マーク、ビリー、僕の間に対立感情が生まれることも多くなっていた。ただ、マークは最終的に満足のいくトラックを制作することに成功し、ビリー・コンウェイとジェローム・デュプリーの2人をドラムで共演させることも実現しました」
1999年、ローマ郊外でのライヴのステージ上で心臓発作に倒れたマーク・サンドマンの急死を受けて、モーフィンは事実上の解散に至ったが、2000年には遺作となるアルバムを発表。その後ビリー・コンウェイは、マーク・サンドマンがマサチューセッツ州ケンブリッジに設立したHi-N-Dryスタジオでプロデューサーを務め、さまざまなミュージシャンと共演した。
モーフィンでの活動以前にも、ビリー・コンウェイとマーク・サンドマンはボストンのロック・グループ、トリート・ハー・ライト(Treat Her Right)で一緒に演奏しており、その“少ないほど豊かである (less is more)”という哲学が後のバンドに影響を与えた。ビリー・コンウェイは2006年のインタビューで次のように語っている。
「私たちは “less is more”の理論にならって、自分たちがやっていることすべてを簡素化することにフォーカスしたんです。曲中のコードが多過ぎた時は、その部分を削除したり、飛ばしたりしていました。僕たちはワン・コードの曲を高く評価し、僕たちのヒーローであるマディ(・ウォーターズ)、(ハウリン・)ウルフ、ジミ・ヘンドリックスのようにシンプル且つエモーショナルな音楽を作ろうと努力していました」
2018年10月、腸ガンと診断されたビリー・コンウェイは、緊急手術を受け、その後6ヶ月にわたって化学療法と放射線治療に専念した。
ミュージシャンで、彼のパートナーでもあるローリー・サージェントと彼が共同設立したCrazy View Recordsからの文書には次のように記されている。
「活動休止を強いられていた冬の間、友人たちの愛と寛大さによって、(彼は)自宅スタジオを完成させ、世界中の楽屋や移動車の中、ホテルで何年にもわたって書き続けてきた楽曲を数ヶ月うちに完成させました」
ビリー・コンウェイの初のソロ・アルバム『Outside Inside』は、奇しくも、肝臓へのがんの転移が発覚した2020年にリリースされた。
2013年からビリー・コンウェイと共演していたジェフリー・フーコーは、彼の病状悪化が発覚した2020年に、彼の医療費を補填するために設立された募金活動への寄付を呼びかけ、次のような請願書を発表している。
「彼とのツアー日々は、いかにして優雅さと謙虚さと単純な優しさを持って世界を移動すればいいのかを教わる毎日でした。人々はビリーと一緒にいる時の自分自身をより好きになる傾向があります。私はそんなこと言われたこともありませんが、人々はビリーと一緒にいるとき、本能的に愛し尊敬している人が自分の一番良いところだけを見てくれているように感じるんです」
さらに彼は、ビリー・コンウェイの「寛大な精神、深い知識、そして自分自身にとって最高のものを音楽に捧げようとする強い意志、楽器の熟練度、そして演奏という行為によってもたらす素朴な威厳」にも言及している。
Written By Tim Peacock
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