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ビートルズ『Sgt Pepper』の裏ジャケットになるはずだった絵が競売に
ザ・ビートルズの名盤『Sgt Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のジャケット写真は音楽そのものと同じくらいアイコニックな存在となっているが、当初裏ジャケットに採用されるはずだったサイケデリックな絵画が12月10日までサザビーズで競売にかけられている。
バンドがこのアルバムを見開きジャケット仕様でリリースすることを決めたことで、元来のアナログ・レコードと同様に、アートワークに2倍のスペースを使えることになった。そこで彼らはオランダの実験的アート集団‘The Fool’に裏面のアートワークを依頼することにした。
‘The Fool’の創始メンバーの一人であるマーレイケ・コーガーは当時をこう振り返っている。「ザ・ビートルズのローディーだったマル・エヴァンズがセント・スティーブンス・ガーデンにあった僕たちのスタジオにジョンとポールを連れて来たんです。彼らは僕が描いたジミ・ヘンドリックスとザ・フーのサヴィル・シアター公演のプログラムの表紙絵を見て、興味を持ってくれたとのことでした。その時に、1966年にサイモン・ポストヒュマと僕が衣裳だんすに描いたカラフルでサイゲデリックな作品『Wonderwall』はじめ、他の絵画やアート作品もすごく気に入ってくれたんです」。
そうして完成した作品が、熱帯の鳥たちやゆったりと流れる川、そして眩い太陽を青々と茂った風景の中に描いたこの美しい絵画である。この絵は、アルバムそのものがサイケデリアに傾倒していることを映し出している。しかしながら、ポール・マッカートニーのコンセプト・スケッチを元に、アーティストのピーター・ブレイクと彼の妻のジャン・ハワースが共作したあの有名な著名人のコラージュからなるアートワークを採用したジャケット写真とイマイチ調和しなかった。
結果、バンドはこの絵を却下し、代わりにジャケット写真用にマイケル・クーパーが撮影していた4人のグループ写真を使用することを決めた。未使用に終わったこのアート作品は、2018年11月30日から競売にかけられ、“Billy Shears” (リンゴ・スターのニック・ネーム)が5.5万ポンドで最初の入札をしているが、推定売買価格は6万〜9万ポンドとされている。
元々は1980年代半ばにリンゴ・スターがこの絵画を入手し、1987年に彼のマネジャーであるヒラリー・ジェラードに、“To Hill | We Love you | Billy S”というサイン入りでプレゼントしていた。
この絵を採用しなかったが、ザ・ビートルズはその後もThe Foolと近しく付き合い、1967年の「All You Need Is Love」TVパフォーマンス時や、映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の「I Am the Walrus」のシーンで着ていた衣装のデザインを依頼した。
The Foolはそれ以外にも、ロンドンのベイカー・ストリートにある3階建てのアップル・ブティックの壁画や、ザ・ビートルズの車、ジョージ・ハリスンのギターやジョン・レノンのピアノといったメンバーの楽器のペイントも手掛けている。
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