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80歳を迎えたロッド・スチュワートの想い出と来日時のインタビュー

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Photo: Ron Howard/Redferns

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第94回。

今回は、今年1月10日に80歳の誕生日を迎えたロッド・スチュワート(Rod Stewart)について。

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ジェフ・ベックとの2曲

今年1月10日、80歳の誕生日を迎えたロッド・スチュワート。この日は、同じ時代を切磋琢磨しながら生きたジェフ・ベック、デヴィッド・ボウイの命日というのも不思議な運命を感じます。昨年3月は、最後の来日公演と言われた有明アリーナでのコンサートを成功させ、日本のファンに変わらぬハスキーな歌声とセクシーなステージを披露したと聞いています。あ〜見逃してしまった、と後悔。

私が“元祖ロック少女がむしゃら突撃中”だった高校生の頃、ロック仲間とピンク・フロイド、イエス、レッド・ツェッペリンをヘッドフォンで聴き、ジェフ・ベック・グループにも夢中になりました。当時ジェフ・ベックのギター・テクニックは語れなかったけど、すべてかっこいい、という言葉で許された時代ですから(笑)。

ニッキーホプキンスのピアノから始まり、ジェフ・ベックの印象的なギターリフにハスキーな歌声が続く「Plynth (Water Down the Drain)」をレコードが擦り切れるほど聴き、ソウルフルな歌声に新しさを感じた「I’ve Been Drinking」の歌声に惹かれました。その2曲こそ、ロッド・スチュワートの歌声でした。

Plynth (Water Down the Drain) (2004 Remaster)

その頃は、60年代の音に憧れた1975年に青春を過ごすロック少女ビギナーにとってはロッドがどういう経歴の人なのかなどはあまり問題ではありませんでした。なので、ジェフ・ベック・グループと、フェイセズを飛ばして、ソロの『Atlantic Crossing』を同時に聴いていたわけです。音楽シーンの流れから逆行したり、同時に歩んだり、自分の感性に触れたものだけを聴く、ある意味青春時代は音楽に対して純粋だったかもしれません。

 

カーマイン・アピスとのインタビュー

先日、まもなく発売になるジェフ・ベックのベスト・アルバムのソングリストを見ていたのですが、ベック・ボガート&アピスの貴重なライヴ音源が収録されていることにワクワクしながらも、「Plynth」はオリジナル・アルバム『Beck-Ola』からのロッドの歌ヴァージョンを入れて欲しかったな、と欲張りな自分がいました。制作の方々の苦労は十分想像できましたが…。

そういえば、ロッドの日本ツアーだったか、ジェフ・ベックだったかは忘れてしまったのですが、カーマイン・アピスにインタビューしたことがありました。ホテルでのインタビューでしたが、武道館でサウンドチェックをやるから見に来たら、と言われノコノコついて行き、ステージにセットされたドラムキッドの前に座ってしまい、素直に大喜びしてしまったというロック少女スピリット丸出しの若気の至りを思い出しました。コージー・パウエル、カーマイン・アピス、サイモン・フィリップスは大好きなドラマーなので。

Carmine Appice – "Black Dog" – Bonzo's Birthday Bash 2012' 5-31-12'

 

ロッドとのインタビュー

話が横道に逸れてしまいました(汗)。ロッドの世界的ヒット・アルバム『Blondes Have More Fun』がリリースされた1978年は、湯川れい子さんの「全米トップ40」のアシスタントDJを始めた年。音楽業界に入り、かっこいいという言葉だけでは、リスナーのみなさんに伝えることができない難しさを覚え、アーティストそれぞれの音楽キャリアを調べることを覚えました(遅い?)。ロッドのキャリアもその時に知ったのだと記憶します。「Plynth (Water Down the Drain)」で完結してしまっていましたから。

そして1984年、名実共に世界のトップスターとなったロッドがツアーのために来日しました。アルバム『Camouflage』のツアーです。アンコールの「Maggie May」「Sailing」には興奮しました。セットリストを振り返ると、この時代が一番キラキラ感満載のロッドのステージだったのではないでしょうか? 私が大好きになったロッドの作品は、もちろんソロ公演なので披露はしませんが、トップ・スターとしてのオーラが出まくっていたコンサートを十分楽しむことができました。

Rod Stewart – Sailing (The Prince's Trust Rock Gala 1986)

そしてこの来日時に、私は雑誌の取材でインタビューをさせていただきました。今でも鮮明に覚えているのは、外での写真撮影の時、ロッドがお尻を出そうとしたので(出しちゃうぞ、という彼なりのポーズだったと思います)、「やめて〜」と叫んでしまったこと(笑)。でもその日は、とてもご機嫌が良くて、ニコニコ笑顔での取材だったのを覚えています。その記事が手元になく、いろいろ探したのですが見つからず。ところが先日ファンの方のサイトに少々アップされているのを発見しました。

紅茶を飲みながらのインタビュー。「オーティス・レディングの「(Sittin’ on) The Dock of the Bay」のカバーは、大好きなシンガーだから彼に捧げたかった」「カバーしたい歌は200曲ぐらいある」「次はカバーアルバムになるかも」「30年代のソウルナンバーを歌いたい」「いつもスマートでいる秘訣は、特に何もない。太る体質じゃないのがラッキーだけど、なるべくスポーツはするようにしている」とのこと。絶対これだけのインタビューではないと信じていますが、記載していただいたファンの方には感謝です。

ロッド・スチュワートさま、80歳のお誕生日おめでとうございます。私の中でのロッドは、1984年にお会いした頃の悪戯好きなロック・スターのままです。来日公演を見逃しましたが、私はいつまでも「Plynth」「I’ve Been Drinking」を聴き続けます。

I've Been Drinking

Written By 今泉 圭姫子



今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー

 

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