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The 1975、過去のインタビューからの発言集:バンド名を語る初来日から2022年まで
ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第71回。今回は2023年4月24日からジャパンツアーを行うThe 1975について、今までに行ったインタビューを振り返って発言集としてまとめて頂きました。
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いよいよ4月24日から、《The 1975 At Their Very Best Japan 2023》をスタートさせるThe 1975。今回は、過去に行ったインタビューから、彼らの言葉をあらためてピックアップし、The 1975の歩みをあらためて振り返ります。
<2013初来日:初々しいインタビュー>
*バンド名について
マシュー・ヒーリー(Vo/Gt)「誰かからもらった日記帳のようなものに書き込みがあって、そこに“The 1975 6月1日”って書かれてあったんだ。なぜ、1975の前にTheがつくのかが理解できなかったんだけど、バンド名としてはパーフェクトだと思ったんだ。Theが重要なんだよね。それにあまりない名前だからね。もちろん、僕たちの生まれ年でもよかったんだけどね、The 1975ってクールな感じだからね」
*結成秘話
マシュー「僕たちは、同級生だった。10年ぐらい前から、一緒に育った仲間で音楽を始めたんだ。クラスは別々だったんだけどね。僕たちの学校はわりとスポーツが盛んな学校で、そんな中で音楽に興味を持つ子たちだけで集まって、スクール・バンドを組んで練習していた。それが僕たちの唯一の表現方法になっていったんだ」
*影響を受けたアーティスト
マシュ―「マイケル・ジャクソン、プリンス、フィル・コリンズ、ピーター・ガブリエルなんかが好きだった。バンドを始めてからは、大きな音を鳴らすロック・バンドでありたかったけどね。10代後半には、ブラック・アメリカン・ミュージックが大好きになっていった」
ジョージ・ダニエル(Dr) 「バンドをやり始めて、バンドと共に音楽的なことを探求していったんだ」
アダム・ハン(Gt)「あの頃は、ギターを弾くと言うことに集中していた。ギターの技術を磨くことに夢中だったんだ。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが好きだったね。ストレートなギターではなく、ギターをシンセっぽく聞かせる、実験的な要素があるギタリストが好きだった」
ロス・マクドナルド(Ba)「僕たちは、バンドとして成長することに必死だったよね」
*マイケルやプリンスのステージ・パフォーマンスについて
マシュ―「彼らのパフォーマンスにとても興味があった。特にマイケルを崇拝している。スーパーヒューマンだと思っているよ。彼は、音楽、パフォーマンス、そのすべてのアイデンディティを兼ね備えている」
*マシューはムーンウォークを披露するか?
ジョージ「ステージではやるなって禁止令を出しているよ。楽屋ではやっているのを見たことがある(笑)」
マシュ― 「まだステージでは披露していないけど、徐々に、ステージ上でムーンウォークに近い動きをしているよ(笑)」
*マンチェスター出身
マシュ―「僕たちはマンチェスター・シーンの一部になったことはない。僕たちは壁のないバンド、地域も曖昧な感じだ。シーンの一部でないことを誇りに思っているよ。マンチェ・バッジをつけているようなバンドではありたくないね」
*どんなバンドになりたいか
マシュ―「ずっと一緒にバンドを続けたい。なるべく変わらずにいられるように成長していきたい。ローリング・ストーンズを見ていると、彼らの瞳は今も悪戯っぽくて、長年やっていていも大人になることを避けてきたように見える。彼らのようになっていたい。僕たちは楽しむために音楽を始めた。だから、ずっと楽しんでいたい」
<2016年の来日インタビュー>
*日本について
マシュ―「僕たちは日本が大好きさ。デビューした頃から、僕たちを好きになってくれた国だからね」
*セカンド・アルバム『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful yet So Unaware of It』について
マシュ―「プレッシャーはあった。ファーストは自分達のために作ったような作品。だから、セカンドも同じような気持ちで作ろうと思った。変化はしていない。サウンド面でも僕たちのスタイルっていうのはないんだ。だからあえて、変化を求めずにいられる」
ジョージ「ファーストの成功で、音楽的な決断力がついた。自信もついた。もう妥協する必要もない。お金も入ってきたし、やりたいことが可能になっていったんだ」
*ブラック・ミュージックの影響がある?
マシュ―「前作でも、僕たちのサウンドは、ブラックに影響を受けている。僕たちの根底にあるのは、ファンクであり、ソウルである、ディスコ、ジャズなんだ」
*ゴスペル調の「If I Believe You」
ジョージ「この曲に関しては、少し心配があった。ファーストだったら、そんなに理解されなかったかもしれない。今回は、そういう領域も乗り越えていこうということで作った」
*アルバム・タイトル『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful yet So Unaware of It』について
マシュー「自分達の自信の表れなんだ。実はアルバム制作に取り掛かる前からこのタイトルで呼んでいた。とても大胆な決断だったし、自信に満ちた決断でもあった。このタイトルに決めたことで、その後僕たちが下す決断は、すべて自信に満ちていてい恐れを知らないものである必要があったんだ。だからそういうタイトルにした」
*オープニングの「The 1975」について
マシュー「前作からの“The 1975”とは同名だけど、繋がりがあるわけではない。でも、これからもまったく違うアレンジで、アルバムの世界観を伝えていく楽曲になる。次のアルバムでは、ドラムンベースかもしれないし、ジャズ・ヴァージョンかもしれない」
<2019年 Summer Sonicの会場で>
*全米、全英1位に輝いた前作に続く、3作目のアルバム『A Brief Inquiry into Online Relationships』について
マシュー「自分達の世界観を広げていきたいと常に思っているんだけど、毎回、前作の作品後に起きた出来事を凝縮したアルバムになっている。自分達が何であるか、前作をさらに追求して、強調し、自分達を飽きさせないような、そんなアルバム作りを目指している」
*オーケストラとコラボしたことについて
マシュー「自分達もこういうことが出来るんだって、実感させてくれた。これまでにもクラシックの楽器は取り入れたことはあるけれど、オーケストラとの共演は、なるほど、って手応えがあった」
*サウンドについて
マシュー「僕たちは子供の頃、UKのナイトタイム・ダンス・ミュージックで育った。前作はアメリカのブラック・ミュージックに影響を受けた作品だったけど、UKの音楽の影響を出したいと思った。イギリスへの愛をね。だから、すごくブリティッシュなアルバムになったよ」
*2部作になることについて
マシュ―「僕たちは、それぞれの作品を○○の時代って呼んでいる。今回は2枚分の音楽が完成した。でも2枚組では出したくなかったんだ。プログレっぽくはしたくないからね。この2枚分の音楽をファンには、ひとつの時代として受け取ってもらいたい。決して、作品が繋がっているものではないってこと。2枚分の作品が生まれたから、来年もリリースするんだ」
<コロナを経てついに新作『Being Funny in a Foreign Language』をリリースした2022年、サマーソニックでの来日時>
*パンデミックによって、リリースに影響があったか
マシュー「もちろんあったよね。SNSでは、日々考えていることを表現するものだけど、そうじゃないところで声明を発することが大切。たくさん語るのではなく、落ち着いて、適切な言葉で伝えたいという結果がこのアルバムなんだ」
*「Part Of The Band」について
マシュー「言われているような苦悩に関する曲ではないんだ。不具合を感じる、心地よくないことに対することを書いていて、これは面白いなと思った。常に、居心地の悪さを探り当ててる感じなんだ」
*ダンサブルな「Happiness」「Looking For Somebody To Love」について
マシュー「最もThe1975っぽい曲だと思う。自分達の曲を模倣するとしたら、どんな曲ができるかなと思って作った。この曲を聴いたときに、誰もが僕たちであることがわかる、そんな曲だと思う」
*ヴォーカリストとしての新たな魅力を感じる「Human Too」「About You」
マシュー「ありがとう。もう少し、自分のもろさとか、傷つきやすさとかを表現しようと思っていた。ちょっとリスクを負って、ヴォーカル面で、いろいろチャレンジしたんだ。そしてファルセットで歌ってみた。こういうのは初めてのことだったんで、気づいてくれて嬉しいよ」
*レコーディング・スタジオ「Real World Studio」について(BathにあるPeter Gabrielのスタジオ。一つのヴィレッジになっている)
マシュー「あそこでレコーディングすることが、僕の夢だった。君も行ったことあるんだよね。どんなに凄いかわかるだろう。3ヶ月間いたんだ。」
*2013年はデビュー・アルバム・リリース10周年
マシュー「忙しかった(笑)。The 1975の人生がどこから始まって、どこで終わるかなんて見えないけれど、人生についての映画のような、本のような美しい10年だった」
*次の10年は?
マシュー「そんな先を考えたことはないんだ。でも、飽きてしまうような活動にはしたくないね。この10年間楽しかったので、この先も楽しんでいきたい」
2022年のインタビューが、FMヨコハマ「Radio HITS Radio」のPodcastで聞くことができます。
Written By 今泉 圭姫子
The 1975『Being Funny in a Foreign Language』[来日記念盤]
2023年4月14日発売
CD+Goods
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
「The 1975 POP-UP SHOP in TOKYO」
来日公演を記念して2023年4月25日より
東京・原宿で期間限定開催決定
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今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー
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- 第2回 :バグルス『ラジオ・スターの悲劇』
- 第3回 :ジャパン『Tin Drum』(邦題:錻力の太鼓)
- 第4回 :クイーンとの出会い…
- 第5回:クイーン『世界に捧ぐ』
- 第6回:フレディ・マーキュリーの命日に…
- 第7回:”18 til I Die” ブライアン・アダムスのと想い出
- 第8回:ロキシー・ミュージックとブライアン・フェリー
- 第9回:ヴァレンシアとマイケル・モンロー
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今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)
ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。
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