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「ハイスクール・ミュージカル」シリーズとは:大ブレークしたオリジナルと15年後の新作
ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第50回。今回は2000年代後半に大ヒットし、2019年から始まった新シリーズも好調な「ハイスクール・ミュージカル」シリーズについて。これまでの連載一覧はこちらから。
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2006年、ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービー『ハイスクール・ミュージカル』が世界中で大ヒットしました。この映画は、アメリカの高校が舞台。演劇部主催のミュージカル・オーディションをめぐって、さまざまなドラマが展開され、主役のトロイとガブリエラの恋の行方も絡んでの青春音楽映画です。主役は美男美女のザック・エフロンとヴァネッサ・ハジェンズ。そしてアシュレイ・ティスデイル、コービン・ブルーといった仲間たちもとても魅力的で、アメリカのハイスクールライフを垣間見れるこの映画は、その昔『パティ・デューク・ショー』や『ルーシー・ショー』(古い?)といったソープオペラを見て、アメリカの家庭の冷蔵庫の大きさや、靴のまま家に入っちゃっていいんだ、などの新鮮な驚きを覚えた日々と同じぐらい、まだまだアメリカン・ライフ・スタイルに憧れを抱き喜びを見つけられる自分発見がありました。高校のカフェテリアって素敵よね、などなど。その後も『キャンプ・ロック』や『ハンナ・モンタナ』で、もっと深くハマリました。
『ハイスクール・ミュージカル』は、ティーンエイジャーだけでなく、子供から、大人にまで愛されました。その理由は、ストーリーだけでなく、音楽の素晴らしさにあります。ミュージカルですから、音楽は不可欠ですが、若者の思春期の心の葛藤、恋、野心、夢などが表現され、トロイとガブリエラが歌う「Start of Something New(始まりの予感)」やキャストで歌う「Breaking Free(自由をつかめ)」は、映画のハイライト・シーンで流れ、今でも胸キュンなポップソングです。世界的なグループでアイルランド出身のクランベリーズのヴォーカル、ドロレス・オリオーダン(2018年に亡くなってしまいましたが)にインタビューした時に、「娘が朝から晩まで『ハイスクール・ミュージカル』を見続けていて、私もハマってしまった」と語っていたことをふと思い出しました。
このシリーズは、『ハイスクール・ミュージカル』『ハイスクール・ミュージカル2』とディズニーチャンネルで放映され、シリーズ3作目として、2008年に「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」が公開になっています。そのタイミングで、ザックとヴァネッサがプロモーションで来日しました。私はヴァネッサにインタビューをさせていただいたのですが、ガブリエラそのもののヴァネッサにドキドキしたものです。
そして、トロイとガブリエラの『ハイスクール・ミュージカル』から15年という設定で、2019年、『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のシーズン1が、ディズニープラスで全10話のドラマとして始まりました。主役はオリヴィア・ロドリゴ演じるニニとジョシュア・バセット演じるリッキー。そうです、今や世界の歌姫となったオリヴィア・ロドリゴが主演しています。
舞台は同じイースト校演劇部。15年前の『ハイスクール・ミュージカル』のリバイバル公演を目標に、青春ストーリーが展開されます。マニアに嬉しいのは「Breaking Free(自由をつかめ)」「Start of Something New(始まりの予感)」」など、15年前の楽曲が、新キャストによってドラマ版ならではのアレンジで歌われていること。そしてオリヴィアとジョシュアがともに書いた新曲「Just For A Moment」などが収録されています。さらにこの新シリーズは、2021年5月にシーズン2がスタートし、毎週1話ずつディズニープラスで配信されています。
実はあれだけのマニア振りで夢中になった『ハイスクール・ミュージカル』なのに、この新シリーズは見逃していて、オリヴィア・ロドリゴが、大ブレイクしたことをきっかけに見たという後手後手。しかし、根っからの『ハイスクール・ミュージカル』好きの私にはズドーンとハマりました。シーズン2でニニが歌う「The Rose Song」。配信した時は、さりげなく耳にしていた曲でしたが、ドラマを見て、ニニがどんな思いを背負って書いた曲であったかを知り、聴くたびに曲への想いが膨らんでいきました。「素直に自分の思いを歌にし、相手の考えから解放されたい」という歌詞にリッキーは傷つき、2人の関係が微妙になる、そんなキーソングです。
現在各エピソード回の曲が毎週配信されています。セブがカルロスの誕生日に歌うピアノの弾き語り「The Climb」(オリジナルはマイリー・サイラスが歌った『ハンナ・モンタナ ザ・ムービー』の曲)も感動ものです。またサウンド面では「The Mob Song(夜襲の歌)」(ディズニー・アニメーション『美女と野獣』より)のような、デジタルサウンドを取り入れた曲もあり、今の時代を反映している楽曲もあります。
新シリーズの『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』で、まずますオリヴィアの魅力にハマりそうです。
Written By 今泉圭姫子
『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル(オリジナル・サウンドトラック)』
2020年1月10日発売
国内盤CD2021年6月02日発売
国内盤CD / iTunes / Apple Music / Spotify
今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー
- 第1回 :U2『The Joshua Tree』
- 第2回 :バグルス『ラジオ・スターの悲劇』
- 第3回 :ジャパン『Tin Drum』(邦題:錻力の太鼓)
- 第4回 :クイーンとの出会い…
- 第5回:クイーン『世界に捧ぐ』
- 第6回:フレディ・マーキュリーの命日に…
- 第7回:”18 til I Die” ブライアン・アダムスのと想い出
- 第8回:ロキシー・ミュージックとブライアン・フェリー
- 第9回:ヴァレンシアとマイケル・モンロー
- 第10回:ディスコのミュージシャン達
- 第11回:「レディ・プレイヤー1」出演俳優、森崎ウィンさんインタビュー
- 第12回:ガンズ、伝説のマーキーとモンスターズ・オブ・ロックでのライブ
- 第13回:デフ・レパード、当時のロンドン音楽事情やガールとの想い出
- 第14回:ショーン・メンデス、音楽に純粋なトップスターのこれまで
- 第15回:カルチャー・クラブとボーイ・ジョージの時を超えた人気
- 第16回:映画「ボヘミアン・ラプソディ」公開前に…
- 第17回:映画「ボヘミアン・ラプソディ」サントラ解説
- 第18回:映画「ボヘミアン・ラプソディ」解説
- 第19回:クイーンのメンバーに直接尋ねたバンド解散説
- 第20回:映画とは違ったクイーン4人のソロ活動
- 第21回:モトリー・クルーの伝記映画『The Dirt』
- 第22回:7月に来日が決定したコリー・ハートとの思い出
- 第23回:スティング新作『My Songs』と初来日時のインタビュー
- 第24回:再結成10年ぶりの新作を発売するジョナス・ブラザーズとの想い出
- 第25回:テイラー・スウィフトの今までとこれから:過去発言と新作『Lover』
- 第26回:“クイーンの再来”と称されるザ・ストラッツとのインタビュー
- 第27回:新作を控えたMIKA(ミーカ)とのインタビューを振り返って
- 第28回:新曲「Stack It Up」を発売したリアム・ペインとのインタビューを振り返って
- 第29回:オーストラリアから世界へ羽ばたいたINXS(インエクセス)の軌跡
- 第30回:デビュー20周年の復活作『Spectrum』を発売したウエストライフの軌跡を辿る
- 第31回:「The Gift」が結婚式場で流れる曲2年連続2位を記録したBlueとの思い出
- 第32回:アダム・ランバートの歌声がクイーンの音楽を新しい世代に伝えていく
- 第33回:ジャスティン・ビーバーの新作『Changes』発売と初来日時の想い出
- 第34回:ナイル・ホーランが過去のインタビューで語ったことと新作について
- 第35回:ボン・ジョヴィのジョンとリッチー、二人が同じステージに立つことを夢見て
- 第36回:テイク・ザット&ロビー・ウィリアムズによるリモートコンサート
- 第37回:ポール・ウェラー、初来日や英国でのインタビューなどを振り返って
- 第38回:ザ・ヴァンプスが過去のインタビューで語ったことと新作について
- 第39回:セレーナ・ゴメス、BLACKPINKとの新曲と過去に語ったこと
- 第40回:シン・リジィの想い出:フィル、ゲイリーらとのインタビューを振り返って
- 第41回:クイーン+アダム・ランバート『Live Around The World』
- 第42回:【インタビュー】ゲイリー・バーロウ、7年ぶりのソロ作品
- 第43回:コロナ禍にステイホームで聴きたい新旧クリスマス・ソング
- 第44回:ジャスティン・ビーバー、成長が垣間見えた約3年ぶりのライヴ
- 第45回:アルバムが控えるポール・スタンレーとKISSの想い出を振り返って
- 第46回:コナン・グレイ、孤独の世界に閉じこもって生まれた音楽と希望の新曲
- 第47回:グレタ・ヴァン・フリート、“ツェッペリンらしい”と言われることを語る
- 第48回:クイーンの隠れた名曲:映画で彼らを知った人に聴いて欲しい楽曲
- 第49回:ブルー(Blue)「The Gift」の魅力:今も日本で愛される名曲の想い出
今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)
ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。
HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」