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大ヒットドラマ「THIS IS US 36歳、これから」サントラで知るより深い楽しみ方

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2017年10月から日本でも放送が始まったアメリカのドラマ「THIS IS US 36歳、これから」。2017エミー賞では主演男優賞とゲスト男優賞の2部門を受賞、先日行われた第75回ゴールデングローブ賞のテレビドラマ部門(ドラマ部門)最優秀男優賞をスターリング・K・ブラウンが受賞するなどまだまだ話題が続くこの大注目作品。この作品をより楽むために、ハリウッド在住のABC振興会のD姐が執筆された国内盤CDのライナーノーツを抜粋して掲載します。


-2017年11月発売『THIS IS US 36歳、これから オリジナル・サウンドトラック』国内盤ライナーノーツより抜粋

2016年、米テレビ界に一つの時代を作る名作ドラマが誕生した。放送開始から爆発的な人気となり、国民的ドラマとなった「THIS IS US 36歳、これから(以下 THIS IS US)」が、2017年10月ついに日本上陸を果たした。

同じ日に産まれ、同じ両親に育てられながら、エリートビジネスマンのランドール(スターリング・K・ブラウン)、テレビスターのイケメン俳優ケヴィン(ジャスティン・ハートレー)、肥満に悩む独身女性ケイト(クリッシー・メッツ)という「今」を送っている30代の3人の男女、そして両親(マンディ・ムーア、マイロ・ヴェンティミグリア)の若き日の「過去」を2元進行的に見せるストーリーテリングは、今までにありそうでなかった手法で「THIS IS US」の真骨頂にもなっている演出だが、新旧の世代の匂いを違和感なく画面に絶妙に滲ませる効果を起こしているのが、紛れもなくサウンドトラックだ。

今作「THIS IS US」サウンドトラックに収録されたのは、リンゴ・スター、スティーヴィー・ワンダー、ポール・サイモンらのベテラン勢からウィルコといったインディー・フォークロック勢などヴァラエティに富んだアーティストによる、いずれもノスタルジーを感じさせる全20曲。特に1曲目のスーフヤン・スティーヴンス「Death With Dignity」は番組オープニングや予告CMなどにも多用されサントラを代表する曲だが、2015年にこの曲にハマったとカニエ・ウェストがツイートして話題にもなった。また9曲目、15曲目のアーティストであるゴールドスポットは「THIS IS US」の音楽監督をしている作曲家/シンガーソングライターのシッダールタ・コスラのバンドで、彼は自分の名義で20曲目の「THIS IS US Score Suite」も提供しているが、ブライアン・タイリー・ヘンリーによる「We Can Always Come Back to This」も彼のソングライティングによる書き下ろし。視聴者が大号泣したランドールにまつわるエピソードの重要なシーンで使われたことで、OA翌日にこの曲はiTunesのシングルチャートでなんと12位にランクインした。テレビや映画で数多くの音楽監督を手がけるコスラは「アデルやブルーノ・マーズと一緒にヒットチャートを争ったんだ。超現実的な感じがしたよ。このドラマの音楽に携われたことは、僕の音楽人生のハイライトだと思っている」と語っている。

また最近ミュージシャンのテイラー・ゴールドスミスと婚約を発表して話題で、母レベッカを演じるマンディ・ムーアが、ブリトニー・スピアーズらと同世代で元々アイドルシンガーとしてデビューしていた歌手だったことを思い出させてくれるのが、3曲目の「Willin’」だ。この曲は1971年リリースのリトル・フィートのデビューアルバムに収録された同曲のカヴァー。アメリカを代表する音楽界の巨匠フランク・ザッパのバックバンド/ザ・マザーズ・オブ・インベンションにいたローウェル・ジョージがこの曲をザッパに聞かせると、彼の計り知れない才能を悟ったザッパがジョージをクビにし、ジョージはやむなくリトル・フィートを結成したという逸話もある。ブルース・サザンロック調の原曲とは全く違うアレンジで、マンディの美しく切ない歌声が生かされている。

レベッカの夫であるジャックを演じるマイロ・ヴェンティミグリアが再注目をされている点も書いておきたい。マイロはNBCの大ヒットドラマ「ヒーローズ」でブレイク、ドラマ「ギルモア・ガールズ」や歌姫ファーギーの恋人役で大ヒット曲「Big Girls Don’t Cry」のミュージック・ビデオにも出演し、いかにもな「ボーイフレンドにしたいタイプ」の役柄が多く、その後役に恵まれていなかったが、妻と子供を心から愛すジャックがハマり役となって「THIS IS US」は演技の幅を飛躍させ再び脚光を浴びている。今年はエミー賞を”息子”のスターリング・K・ブラウンに譲ってしまったが、次シーズンではさらに父ジャックの動向に焦点が当たると噂されているので、来年度のエミー賞にも今から十分期待できる。

Written By D姐(ABC振興会)


ヴァリアス・アーティスト『THIS IS US 36歳、これから オリジナル・サウンドトラック』

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・放送情報

『THIS IS US 36歳、これから』

NHK総合  毎週日曜 午後11時~

公式サイト

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