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「ロックの殿堂」とはいったい何か?誰が受賞できるのか?「ロック」だけなのか?
洋楽を聴いているとよく耳にする単語「ロックの殿堂」。その「ロックの殿堂」について簡単に紹介してみよう。
「ロックの殿堂」とは?
英語名は「Rock and Roll Hall of Fame」。野球やフットボールといったスポーツでもよくあるような長年の功績をたたえて贈られる「殿堂入り / Hall of Fame」の「ロック」版が「ロックの殿堂」。ちなみにハリウッド通りにある、スターの手形があるストリートは、その上を人が歩けるので「Walk of Fame」と名付けられている。
「ロックの殿堂」を管理する財団は、1983年4月20日に、アトランティック・レコード創設者であり会長であったアーメット・アーティガンによって設立。受賞については1986年から毎年開催されており、第1回の受賞者は、チャック・ベリー、ジャームス・ブラウン、レイ・チャールズ、サム・クックなどが名を連ねている。それから毎年授賞式は行われ、今やアメリカではグラミー賞、ビルボード・ミュージック・アワード、アメリカン・ミュージック・アワードと並んで「4大音楽賞」と呼ばれる名誉ある賞となっている。
誰が受賞できるのか?「ロック」だけなのか?
最初の音源が発売されてから25年たったアーティスト/グループが受賞の対象に選ばれる資格を得る。授賞式には、受賞者らのライブの他にプレゼンターや受賞アーティスト(故人のアーティストの場合はその関係者)がスピーチすることも有名で、グラミー賞や他の賞に比べてスピーチの時間が長いのも特徴の一つ。ロックの殿堂には現在4部門の賞があり対象となる人は以下の通り。
・Performers:アーティスト
・Ahmet Ertegun Award:プロデューサーや作曲家、DJなどの非アーティストが対象
・Early influences:ロックの初期に影響を与えたミュージシャン
・Rock and Roll Hall of Fame Award for Musical Excellence:音楽史に多大な影響を与えた人物(功労賞)
ロックの殿堂のという名前から、ジャンルとして「ロック」のアーティストが選ばれることが多いが、ジャンルに制限はなく、過去の受賞者には、マーヴィン・ゲイ、ボブ・マーリー、RUN DMCなどがいる。「ロック」以外のジャンルが受賞することで批判されることもあるが2016年にHIP HOPグループのN.W.A.が受賞した際に、メンバーのアイス・キューブがスピーチで語ったことが、その精神を表しているので、引用してみよう(全文はこちらに掲載)。
ここで質問だ。俺達はロックン・ロールなのか?俺はそれにこう答えよう。俺達はロックン・ロールだ、間違いない。ロックン・ロールは楽器のことでもなければ、音楽のジャンルでさえもない。ロックン・ロールはスピリットだ。スピリットなんだ。ブルーズ、ジャズ、ビバップ、ソウル、R&B、ロック、へヴィ・メタル、パンク、そしてHIP HOPと、そのスピリットはずっと続いてきた。そして、俺たち全てを結びつけているのが、スピリットだ。ロックン・ロールとは先達に従うことじゃない。音楽、そして人生で、自分達の道を作り上げること。それこそがロックン・ロールであり、それが俺たちなんだ。
ロックン・ロールは同調しない。ロックン・ロールは独創性だ。そして、N.W.A.はロックン・ロールだ。ロックの殿堂入りに寄与してくれた全ての人に感謝を。そして世界中にこう言いたい「Damn that shit was dope!(クソッ、ガチでヤヴァかったな)」 – アイス・キューブ
*Damn that shit was dope!はN.W.A.の楽曲「Straight Outta Compton」のに登場するフレーズ
また、1995年には、オハイオ州クリーブランドに「ロックの殿堂」のミュージアムもオープン。ミュージシャンやプロデューサーなどが実際に使用していた衣装や機材など合計で10万点以上が総面積1万 4000 平方メートルの広さに展示/保存されている世界最大級の音楽の博物館。常設展・特別展やコンサートなど様々なイベントも行われている観光名所の一つになっている。
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