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ショーン・メンデスが大人気な7つの理由:史上4番目の速さで4作連続全米1位を獲得したポップスター
2020年12月に発売した4枚目のアルバム『Wonder』がデビュー・アルバムから4作連続全米1位を記録したカナダ人シンガーソングライターのショーン・メンデス(Shawn Mendes)。
22歳4か月でのデビューから4作連続全米アルバム1位は、マイリー・サイラス(16歳5か月)、ジャスティン・ビーバー(18歳4か月)、ブリトニー・スピアーズ(22歳)に続く史上4番目の最速記録。スタジオ・アルバムに限るとブリトニーに続く史上2番目、男性アーティストとしては史上最速の記録となる。
そんなショーン・メンデスの人気の理由について。ライターの松永尚久さんに解説いただきました。
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1. 同郷のジャスティン・ビーバーを凌ぐ勢いで、時代のアイコンに!
2015年に初アルバム『Handwritten』をリリースし、いきなり全米チャート1位を獲得。日本でも2017年にシングル「Treat You Better」を収録したセカンド・アルバム『Illuminate』で本格進出するやいなや人気に火がつき、これまで世界中で合計2,000万枚以上のアルバム、1億7,500万枚のシングルのセールスを記録、310億回以上のストリーム数、YouTube総再生回数は95億回以上を記録している。
ソーシャルメディアにおいても、インスタグラムでは5,900万人に迫るフォロワーを誇り、米TIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選出されるなど、音楽という枠を超えて、現代を代表する存在になっている、ショーン・メンデス。
2020年12月に発表した最新アルバム『Wonder』においても、全米チャートにおいて史上4番目の若さで4作連続の首位を獲得という快挙を成し遂げ、その存在感や人気たるや、今や同郷のジャスティン・ビーバーをも凌ぐ勢いになっている。
2. 一瞬にして人々を惹きつける、天性の才能
ショーン・メンデスは、1998年8月8日にカナダ・トロントで生まれた。2013年頃より、動画投稿サイトにカバー動画を投稿し始め、ジャスティン・ビーバーの「As Long as You Love Me」のカバーをアップすると、翌日には1万におよぶ反響が届いたことで注目され、瞬く間にフォロワーを増やしていった。
すると、すぐにメジャー・レーベルの目に留まり、N.Y.で開催されたオーディションに参加すると、部屋を退出した直後に契約の連絡が入ったという。耳や目の肥えた人をも一瞬にして惹きつけてしまう、圧倒的なエネルギーや魅力を備え付けた、天性のミュージシャン、エンターテイナーと言えるのであろう。
3. 哀愁と官能を見事に使いこなす、メリハリのある歌声
多くの人々の心を一瞬にして掴んでしまうショーンの魅力。まずはその声にあると思う。ハスキーな声質の影響もあるのかもしれないが、実際の年齢(現在22才)に比べると落ち着きを感じさせるのだ。どこか人生を客観的に捉えているような視線が、ヴォーカルの所々にちりばめられている。特に『Illuminate』に収録された「Understand」は、紆余曲折を経験した大人のシンガーが生み出す哀愁を(制作当時)10代にしてにじみ出しているような印象だ。
だが、常に冷静さをキープさせているだけではなく、例えば「Treat You Better」のサビ導入部分では、ラテン的な情熱を感じさせるシャウトを披露(本人に聞くと、自分の中で直接的な影響はないけれど、もしかしたらDNAに情熱的な血が流れていて、この楽曲で騒ぎ出したのかもしれないと語っていた)。また最新作に収録の「Higher」においても、運命の人に出会った瞬間の高揚感を声で見事に表現していて、ショーンの本能の鋭さを感じさせるのだ。
また、こちらも最新作に収録され、グラミー獲得シンガーソングライターであるアンダーソン・パークがドラム/パーカッションに参加している「Teach Me How To Love」では、ディスコなビートにのせ、官能的な視線を感じさせる歌声を披露して、新境地を表現している。
楽曲ごとに表情を変化・進化し続けるショーンのヴォーカル。だからこそ、曲を聴くごとに驚きを与えるというか。常に新鮮な印象で耳に届くのだ。
4. 憧れのギタリストも認める演奏テクニック
ヴォーカル以外にもショーンの音楽的な魅力・個性と言えるのが、ギター・テクニックである。カバー動画を投稿していた頃から、アコースティック・ギターを抱えてパフォーマンスをし「分身のような存在」と語っていたこともあるほどの、大切な存在・楽器。ゆえに、その演奏テクニックはデビュー当初から熟練を感じさせるもの。喜びや悲しみなど、人間の感情を丁寧に伝えている。
その技術力は、ショーンが敬愛し「新世代世界3大ギタリスト」とも呼ばれるしンガーソングライターのジョン・メイヤーも認めるほど。彼からギターをプレゼントされたり(2017年当時にはこれが自分の最も大切な宝物と言っていた)、2018年発表の3rdアルバム『Shawn Mendes』に収録された「Like To Be You」はジョンがプロデュースを手がけるなど、現在も交流が続き、刺激を受けている様子だ。
最新作では本編ラストの「Can’t Imagine」でアコースティック・ギターの弾き語りを披露。「君なしの人生なんて想像できない」というストレートな思いを包み込むような美しく、情緒豊かな音色を響かせている。
5. 自分の日常をありのままさらけだす歌詞
楽曲を発表するごとに、変化していくショーンの音楽。歌詞に関しても、年齢や経験とともに移り変わる心境を感じさせるものが多い。初期にリリースされた楽曲は「Treat You Better」を筆頭に、叶わぬ思いや、まだ見ぬ未来に対する思いを綴ったものが多かったが、その後世界をツアーで廻るようになり、さまざまな人々の感情に触れることによって生まれたミュージシャンとしての運命、役割について思いを巡らせた内容に進化。人間味のある言葉が増えていった。
そして最新作『Wonder』では、さらに自身の内面を深くえぐり出した内容に。「運命の人」と巡りあったことで生まれた幸福、また自由に会うことができない葛藤など、ありのままの心境を描いている(さらにドキュメンタリー『ショーン・メンデス: ありのままの魅力』も製作して、これでもかというくらいに自身の人間像をさらけ出しているが)。
特にタイトル・トラック「Wonder」は、愛する人との出会いによってそれまでのモヤモヤした視界が晴れていくまでの心境が、目に浮かぶように伝わってくる。感情をクリアに表現する言語、人間力に磨きがかかったナンバーになっていると思う。
6. 柔軟に時代を取り入れ進化するサウンド
デビュー当初はアコースティック・ギターをメインにしたシンプルな音色が特徴であったショーンのサウンド。しかし、楽曲を発表するごとにその音色にこだわることなく、柔軟にいろんなタイプの音色を取り入れているようになっている。そのきっかけを作ったのが、セカンド・アルバムに収録された「There’s Nothing Holding Me Back」であろう。ギターをベースにしながらも、当時世界を石鹸していたエレクトロニックなビートを取り入れたダンス・トラック。幅広いリスナーに高揚感を与え、世界中で息の長いヒットを記録したのだった。
また、2019年に発表した女性ポップ・グループ「フィフス・ハーモニー」の元メンバーであるカミラ・カベロとのデュエット曲「Señorita」では、肌に絡みつくような官能的なラテンのビートに乗せてふたりが視線を交わらせる雰囲気を表現。ショーンとしては初となる全米シングル・チャート首位を獲得し、2020年10月に発表された「2020 ビルボード・ミュージック・アワード」ではトップ・コラボレーションを獲得するなど、さまざまな名誉にも輝き、ミュージシャンとしてさらに成長を遂げた。さまざまな音楽やミュージシャンと交流するごとに、新境地を開拓している印象だ。
最新作においては、アコースティックの弾き語り曲のボリュームを少なくし、よりモダンなビートを駆使。また、ジャスティン・ビーバーとのデュエット曲「Monster」も収録。グルーミーなビートにのせて、ローティーンの頃から多くの人々の注目の中で生活してきた同郷のふたりだからこそわかりあえる、表現できる空気をここで感じることができるはずだ。
7. モデルをこなすほどの端正なルックス
これまで多数のヒット曲を作り、センセーションを巻き起こしているショーンであるが、影響力は他の分野でも発揮されている。その端正(かつクリーン)なルックスを生かして、デビュー当初からモデル・エージェンシーと契約し、さまざまな人気ブランドの広告キャラクターに起用されているのだ。さらに2019年12月には、ファスト・ファッション・ブランドであるH&Mとタッグを組み<ショーン・メンデス「The Tour」マーチ・コレクション>を展開。自身の写真がプリントされたTシャツやフーディーなどを発表し、どのアイテムも即時完売したほどだという。
ファッションの分野だけでなく、ショーンはその知名度を生かして「ショーン・メンデス財団」を設立。環境保全のため中古の楽器や機材の売り買いを仲介する非営利環境組織などとタッグを組み、さまざまな社会活動に取り組んでいる。その真摯さも、サウンドには表現されているのではないかと思う。
おまけ. かなりの日本好き!?
2017年の日本デビューを果たしてから、翌年にはサマーソニック2018への出演、2019年には横浜アリーナでの一夜限りの公演など、何度も来日をしてくれているショーン。当初から、日本のあらゆるカルチャーに興味津々だった様子であったが、何よりもファンの彼に対する温かい対応に感激していた様子で、事あるごとに「日本愛」を伝えているし、いつでも「戻ってきたい場所」として名前を挙げてくれている。
それゆえなのか?アルバム『Shawn Mendes』には「Lost In Japan」という楽曲も収録。自分の見ず知らずな場所にいて、思いを寄せる人に自由に会うことのできない寂しさを綴った内容であるものの、どんな場所にいても自分のことを思ってくれる人がいることの感謝を感じさせる楽曲に仕上がっているのではないだろうか。
他にもさまざまな魅力がショーンには存在しているはず。だが、根底には自分の好きな音楽、人生を追求しようとするピュアな姿勢が宿っている気がする。その真っ直ぐな眼差しが、多くの人を惹きつける大きな要因なのではないだろうか。
Written by 松永尚久
ショーン・メンデス『Wonder』
2020年12月4日発売
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