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シリーズ最新作『ディセンダント ライズ・オブ・レッド』サントラ全曲解説

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2024年7月12日にディズニープラスで独占配信となったディズニー・ヴィランたちの子どもを主人公にした大人気ミュージカル映画「ディセンダント」シリーズの5年ぶりとなる新作『ディセンダント ライズ・オブ・レッド』。これまでの3作品でも存分にファンを魅了してきた歌とダンスがさらに輝きを増しています。

同作公開に合わせてデジタル配信を開始したオリジナル・サウンドトラックは、7月31日に日本限定でCDも発売予定。今作で新たなストーリーを紡ぐ楽曲の数々を鳥山タラさんに解説いただきました。

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“もしディズニー・キャラに子孫がいて、10代だったら?”

誰もが知るディズニーのヴィランたちの“子ども”が主人公のミュージカル映画『ディセンダント』シリーズ。 “もしディズニー・キャラクターに子孫がいて、10代だったら?”というアイデアに着想を得て製作されたこのシリーズでは、3作品を通してヴィラン・キッズたちの成長を描き、ダヴ・キャメロンやソフィア・カーソンなど今を時めく人気スターも多数輩出、サウンドトラックも大ヒットした。

単なる”善と悪“の対立ではなく、物語の舞台であるオラドン合衆国とロスト島の人々が手を取りあい、ヴィランと善人が共存する道を示したあの感動のフィナーレから5年。シリーズ第4弾として『ディセンダント ライズ・オブ・レッド』がディズニープラスで独占配信がスタートした。

『ザ・ボーイズ(シーズン1)』などで知られるアジア系女性監督のジェニファー・ファンにメガホンが渡り、振り付けには『グレイテスト・ショーマン』のアシュレイ・ウォーレンが着任して、さらに歌もダンスもパワーアップ!

“ハートの女王”(『ふしぎの国のアリス』)と“シンデレラ”(『シンデレラ』)の娘がキーパーソンとして活躍する(演じるキャストもカイリー・キャントラルとマリア・ベイカーという新星を抜擢)全く新しい物語なので、シリーズをここから観るファンも安心して楽しめるし、これまでのシリーズに登場したキャラクターたちのその後にも言及されるのでなじみ深いファンにとってはさらに垂涎もの。誰もがフレッシュな気持ちで臨める新たな物語の幕開けとなった。

前作にも登場した“アースラ”(『リトル・マーメイド』)の娘・ウーマが、オラドン高校の新校長に就任。暴君として知られる恐ろしきヴィラン”ハートの女王”の娘・レッドを学校に迎えようと招待状を送るところから物語は始まる。珠玉のサウンドトラックをひとつずつ、紐解いていこう。

1. ハートの女王の娘が歌う「Red」

ハートの女王による恐ろしい支配が続くワンダーランドの中で、唯一圧政に対抗しているのが、女王の娘であるレッド。演じるカイリー・キャントラルは、ロサンゼルス出身の女優/歌手。

YouTubeなどSNSを通して芸能活動を開始した彼女は、『エイリアンシッター ギャビー・デュラン』(2019年~2021年)や『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』(2019年~2023年)など、ディズニー作品にも複数出演。2021年には、楽曲「Sad Boy」でR3HAB、ジョナス・ブルー、エイヴァ・マックスなどの人気アーティストと共同制作するなど音楽活動も好調な彼女が、満を持して本作の主役を務めることとなった。

その名の通り、破天荒に全てを“赤く”染めようとするレッドが、ワンダーランドを縦横無尽に駆け回りながら歌うオープニング・チューン。彼女を追うトランプの兵隊の行進の足踏みや呼応も迫力満点の1曲。

Kylie Cantrall, Alex Boniello – Red (From "Descendants: The Rise of Red")

 

2. ブランディも歌う「So This Is Love(これが恋かしら)」

一方、本作のもうひとりの主役は、シンデレラの娘であるクロエ(マリア・ベイカー)。そんな彼女の両親が仲睦まじく歌うのは、1950年に発表されたディズニーの名作アニメーション『シンデレラ』に登場した名ラブソング「これが恋かしら」。

ディズニー・マニアなら、このシーンは思わずニヤリとすること間違いなし。というのも、本作でシンデレラ役を務めるのは1997年に制作されたテレビ映画『ロジャース&ハマースタイン:シンデレラ』(ディズニープラスで配信中)で主役・シンデレラを務めた張本人である、グラミー賞®受賞のR&B歌手のブランディなのだ!さらに同作でチャーミング王子を演じた俳優のパオロ・モンタルバンが本作ではキング・チャーミングとして登場し、時を超えて夢の共演が楽しめる。

Brandy, Paolo Montalban – So This Is Love (From "Descendants: The Rise of Red")

 

3. リタ・オラが参加した「Love Ain’t It」

招待状を受け、レッドと母・ハートの女王はオラドン高校へ向かう。娘の個性や意思をひとつも尊重せず、 “愛なんて無用”と彼女を諭す非情な母親に対し、悲しみが募るレッド。その様子を見たシンデレラは、かつての親友であるハートの女王がオラドンを憎むようになったとある悲劇を思い返すのだった。

すぐに「首をはねろ!」と叫ぶ冷徹な女王を演じたのは、コソボ生まれ/ロンドン育ちのシンガー・ソングライター、リタ・オラ。2012年のデビュー以来、シングルが立て続けに全米チャート1位を獲得、音楽オーディション番組での審査員を務めるなど活躍の場を広げている彼女だが、今回は嬉々として悪役に臨む彼女の女優としての一面を楽しめる。

Love Ain't It (From "Descendants: The Rise of Red")

 

4. 第2作目から続く「What’s My Name (Red Version)」

これまでは主役マルの宿敵だったウーマ(演:チャイナ・アン・マクレーン)。前作でついに“戦友”となったマルやカルロス(演じたのは故キャメロン・ボイス)に想いを馳せ、改めて校長としての自分の役割を再認識する冒頭シーンには、古参ファンなら目頭が熱くなるはず。

そんな彼女の代表曲といえば「ディセンダント2」(2017年)で初登場した際に歌唱したこの「Whats My Name」だが、今作でも再び威厳と迫力、そしてカリスマ性に溢れたパフォーマンスが見どころ。サウンドトラックには、これにレッドも加わる特別なバージョンが収録されている。

What's My Name (Red Version) (From "Descendants: The Rise of Red")

 

5. 対照的なヒロインによる「Fight of Our Lives」

娘がオラドン高校に通うことになったのをきっかけに、積年の恨みを晴らすべくクーデターを起こしたハートの女王。そんな母の暴走を止めたいレッドと、窮地に陥った母シンデレラを救いたいクロエの2人は、育ってきた環境は異なるものの、共通の目的を持つと気づき、“過去の世界の若きハートの女王”を悪の道に引きずりこむきっかけとなった出来事を防ぐべく、“人生という戦い”を共闘することに。破天荒なレッドと完璧主義者のクロエという、対照的なヒロインによる掛け合いが印象的。

クロエを演じるのは、カナダ・バンクーバー出身の女優/歌手のマリア・ベイカー。2019年『ザ・フラッシュ』シリーズへの出演などを経て、キャリアを重ねているニュー・アイコンだ。

Kylie Cantrall, Malia Baker – Fight of Our Lives (From "Descendants: The Rise of Red")

 

6. ポップでピンクな「Life Is Sweeter」

レッドはクロエとともに過去にタイムスリップしてしまう。そんな2人の前に現れたのは“若き日のハートの女王”こと、ブリジットだったが…。今とはまるで別人のように誰にでも優しく振る舞うブリジットの、”物事の明るい部分を見れば、人生はもっと甘く楽しいものになる“というポジティブなメッセージが詰まった、最高にポップでピンク!な1曲。

コーラスにはアラジンとジャスミン(『アラジン』)、更に若き日のヴィランズ(『眠れる森の美女』のマレフィセント、『ヘラクレス』のハデス、『ピーター・パン』のフック船長)も参加した本作のハイライトのひとつ。

ブリジットを演じるルビー・ローズ・ターナーは、『アニー』(2014年)や『フラーハウス』(2016年~2020年)などで知られる女優/歌手で、ディズニー・チャンネルのシットコム『クープ & キャミ どっちがイイ?』(2018年~2020年)にも主演したディズニー・ファミリーのひとりであり、若干18歳にして既に芸歴は10年以上のベテランでもある。

Descendants – Cast – Life Is Sweeter (From "Descendants: The Rise of Red")

 

とあるハプニングをきっかけに恥をかいてしまったウリアナ(アースラの妹・ウーマのおば)が、たまり場のブラック・ラグーンで仲間のマレフィセントやハデスたちと計画を練る際に歌うのがこの曲。「リ・ベ・ン・ジ!」と団結するキャッチ―な歌詞と、海の魔女を彷彿とさせるほら貝の音がウリアナの邪悪さを際立たせる。

今作で新登場のウリアナを演じるのは、『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』のコートニー役でおなじみの女優/歌手のダラ・レネー。悪役でありながら、どこか憎めない魅力があるウリアナだが、明るくコミカルなダラのパフォーマンスがあってこそ。

Perfect Revenge (From "Descendants: The Rise of Red")

 

8. “シャッフル”する「Shuffle of Love」

ブリジットたちが通うマーリン高校で開かれるイベント「キャッスル・カミング」に向けて、ブリジットは自分の部屋でダンスの練習に余念がない。本作のキーアイテムとなるのが、ハートの女王が持っているトランプのカードにかけた“シャッフル”のキーワードが印象的なポップソング。

Ruby Rose Turner – Shuffle of Love (From "Descendants: The Rise of Red"/Audio Only)

 

9. Get Your Hands Dirty」:時に自分の手を汚すことも必要だ

タイムスリップした先で、クロエは若い頃の母シンデレラ=エラに出会う。友達思いのエラは、自分の家では意地悪な義理の母にこき使われる辛い生活を送っていた。普段はエレガントな印象の母が、過去においては逆境にもめげず家事や庭仕事にいそしんでいる姿を見て、正しい選択をする際には時に自分の手を汚すことも必要だと学ぶ。

エラ役のモーガン・ダドリーは、『ザ・プロム』(2020年)などで知られる23歳。Digital Journalのインタビューでこう語っている。

「エラを演じることは夢のようです。『ディセンダント』シリーズは大好きなフランチャイズのひとつだし、ブランディが演じたシンデレラに憧れて育ったから、この経験はまるで一周したような気分。毎日、感謝の気持ちでいっぱいです」

Malia Baker, Morgan Dudley – Get Your Hands Dirty (From "Descendants: The Rise of Red")

 

10. 「Life Is Sweeter (Reprise)」 11.「Life Is Sweeter (Remix)」

リプライズ・バージョンは、リタ・オラとカイリー・キャントラルによるデュエットで、しっとりバラードに変身。さらにクライマックスを盛り上げるリミックス・バージョンには、キャスト全員が参加している。

Life Is Sweeter (Reprise) (From "Descendants: The Rise of Red"/Audio Only)
Life Is Sweeter (Remix) (From "Descendants: The Rise of Red"/Audio Only)

 

12. ジョーン・ジェットのカバー「Bad Reputation」

本編に使用されていないボーナス・トラックであるこちらの曲は、レッド役カイリー・キャントラルによる、1981年にロック歌手のジョーン・ジェットが発表した「Bad Reputation」のカバー。2008年にアヴリル・ラヴィーンがカバーしたことでも知られ、定番ロック・チューンとしても日本でもおなじみ。

本作でロック、ラップ、ポップなどあらゆるジャンルを歌いこなすキャントラルの音楽のルーツは、TLC、ブリトニー・スピアーズ、ジャネット・ジャクソン、アリーヤといった90年代のアーティストに加え、本作で共演したブランディ、マライア・キャリー、ビヨンセ、ロザリア、ベッキーGにも影響を受けたという。

Kylie Cantrall – Bad Reputation (From "Descendants: The Rise of Red"/Audio Only)

 

13. スコア楽曲「Descendants: The Rise of Red Score Suite」

本作のスコアは、映画・テレビ・ゲームなど多岐にわたるジャンルを手がける作曲家トリン・ボロウデール(『search/サーチ』(2018年)によるもの。

Descendants: The Rise of Red Score Suite (From "Descendants: The Rise of Red"/Audio Only)

7曲もの新曲に加え、「So This Is Love」や「Bad Reputation」など過去の名曲を新たに解釈したトラックもあったりと、キャッチーでダンサブルなアレンジが目白押しの本サウンドトラック。演じるキャストはいずれもフレッシュな顔ぶれである一方で、それぞれディズニー作品を問わずキャリアを積んできたメンバーばかりなので、その魅力と実力は折り紙付き。これまでの作品と合わせて、ぜひ「ディセンダント」シリーズの醍醐味である音楽を存分に楽しんでほしい。

Written by 烏山タラ


『ディセンダント ライズ・オブ・レッド オリジナル・サウンドトラック』
2024年7月12日: デジタル配信
7月31日: 国内盤CD発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Amazon Music /Spotify / LINE MUSIC / YouTube Music



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