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ルドヴィコ・エイナウディとは?ストリーミング390億再生超えの巨匠を紐解く5つのポイント

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© Mary McCartney

イタリア出身の人気作曲家/ピアニスト、ルドヴィコ・エイナウディ。

『最強のふたり』(2011)や、アカデミー賞を受賞した『ノマドランド』(2020)をはじめ数々の映画音楽を手掛け、自身の作品でもSNSでのバイラル・ヒットを連発。そっと寄り添ってくれるようなサウンドとキャッチーで親しみやすいメロディで、ヨーロッパやアメリカで爆発的な人気を誇る、現在69歳の巨匠アーティストだ。

Einaudi: Seven Days Walking / Day 3: Low Mist (From ''Nomadland'')

そんな彼が、オリジナル・アルバムとしては3年振りとなるニュー・アルバム『The Summer Portraits』を1月31日にリリースする。さらに4月には、2018年以来7年振りとなる待望の来日公演も予定されている。世界的な人気とは裏腹に、日本ではなかなか拾える情報が多くはない彼。今回はそんなエイナウディについて、おさえておきたい5つのポイントをまとめた。


■祖父が大統領!トリノの名門一族出身

1955年、イタリア・トリノに生まれたルドヴィコ・エイナウディ。祖父のルイージは、なんとイタリア共和国の第2代大統領を務めた経済学者。そして父のジュリオは老舗出版社「ジュリオ・エイナウディ・エディトーレ」の創立者。さらに母方の祖父はシドニー・オペラ・カンパニーを創設した指揮者・ピアニストという名門一族の出身だ。

クラウディオ・アバドやリッカルド・シャイー、マウリツィオ・ポリーニなど錚々たる音楽家を輩出している名門中の名門、ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で作曲を学ぶなど、若くしてその才能を発揮していた彼が初めて自身の作品を発表したのは1988年。『Time Out』という作品で、ダンス・カンパニーのための実験的な音楽だった。

現在の彼の代名詞の一つとも言えるソロ・ピアノの作品が初めて登場したのは、1996年のアルバム『Le Onde』。短くキャッチーなメロディが繰り返されていくスタイルは、後の彼の人気を確立していく礎となった。

Ludovico Einaudi – Le Onde (Live at the Old Vic Tunnels / 2011)

■TikTokで150億再生超!世界的なバイラル・ヒットに

2013年には、アルバム『時の移ろいの中で』(原題:In A Time Lapse)をリリース。その中に収録されていた楽曲「経験を重ねて」(原題:Experience)が、「この曲を使った動画を投稿すると願いが叶う」とSNS上で話題となり、TikTokではなんと150億を超える再生数を記録。世界的なバイラル・ヒットとなり、彼の人気はさらに高まっていく。

SNSの動画などでこの曲を耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。

Ludovico Einaudi – Einaudi: Experience (Official Live Session)

■氷山の上で演奏!環境保全を訴えたインパクト満点の動画が大きな話題に

2016年6月には、環境保護団体グリーンピースによる環境保全活動の一環として、「北極のためのエレジー」(原題:Elegy for the Arctic)を作曲したエイナウディ。さらに、ノルウェーのスヴァールバル諸島にある氷河地帯に舞台を浮かべ、同曲を披露したパフォーマンス動画を公開した。氷河の間を漂い、時折氷山が崩れ落ちる様子も捉えたこの映像はYouTubeで2,200万を超える再生数を記録し、日本でも度々テレビ番組などで採り上げられるなど大きな話題を呼んだ。

Ludovico Einaudi – "Elegy for the Arctic" – Official Live (Greenpeace)

■映画音楽も手掛けるなど、日本とも深い関係

2008年に初めて来日公演を行ったエイナウディ。その後2011年の映画『最強のふたり』で、一躍日本でも注目を浴びるようになる。

2017年には、福山雅治が主演を務めた映画『三度目の殺人』で初めて日本映画の音楽を手掛け、第41回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。監督である是枝裕和は、自身からエイナウディへの熱烈なラヴコールによって実現したというこの作品について、「この半年、脚本を書きながら毎日エイナウディさんの音楽を聞いていました。自分が書いたストーリー、撮っている映画と、彼の音楽が自分の中では完全に一体化しています。エイナウディさんの音楽は凄く『映像の浮かぶ音楽』なんですよね。そこが今回選ばせていただいた一番の理由です」と当時語っている。

また、エイナウディも「このプロジェクトに関わることができて大変うれしいです。是枝監督の事を尊敬しておりますし、是枝監督の過去の映画も、とても素敵だと思っておりましたので非常に光栄です。日本映画の音楽を手掛けるのも、日本の監督さんとのコラボレーションも私の人生で今回が初めてですが、日本の事が大好きですし、本当に嬉しいです。」とコメントしている。

Ludovico Einaudi, Marco Decimo – Einaudi: Main Theme Of “The Third Murder” (Visualiser)

■若い世代からも大きな支持を集める「寄り添う音楽」

名門一家に生まれ、アカデミックな知識や技術を身に着けてきたにもかかわらず、作り出すサウンドにはどこか親しみやすさや優しさを感じるエイナウディ。特にここ数年はSNSを中心に若い世代からも大きな支持を集め続け、累計ストリーミング再生数は390億超。世界で最もストリーミング再生されているクラシック・アーティストとして活躍を続けている。

シンプルなメロディで聴く人を包み込んでくれるような楽曲たちはまさに「寄り添う音楽」とも呼べるもので、SNS上の投稿では旅行などの動画に彼の音楽がそっと彩りを添えてくれていることが多い。日常に溶け込むそんなさりげなさも、彼の作品の大きな魅力のひとつだ。

ニュー・アルバム『The Summer Portraits』と4月の来日公演は、そんなエイナウディによる最新のサウンドを体験できるまたとないチャンス。世界中でチャート1位やソールドアウトを記録し続けている世界的な巨匠の作品とコンサートを、ぜひその目と耳で目撃しよう。

Ludovico Einaudi – Pathos

 

■プロフィール

©Ray Tarantino

現在、イタリア政府音楽大使を務めるルドヴィコ・エイナウディは1955年11月23日、トリノの名門に生まれた。

祖父ルイージ・エイナウディはイタリア共和国第2代大統領を務めた経済学者、父ジュリオ・エイナウディは老舗出版社「ジュリオ・エイナウディ・エディトーレ」(現在はベルルスコーニ一族が率いる大手出版社モンダドーリ傘下)の創立者。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院でアツィオ・コルギに作曲を師事。

1982年に卒業後、同音楽院大学院生として20世紀現代音楽を代表する作曲家のひとりルチアーノ・ベリオに師事した。このまま行けばクラシックの作曲家として大成するところだが、エイナウディはそうした道を進まなかった。1960年代に多感な少年時代を過ごした彼は、当然のことながらビートルズの洗礼を受け、かなり早い時期からギターを弾き始めていたのである。彼が最初に買ったアルバムがビートルズの『リボルバー』だったというのは、非常に象徴的だ。というのも、『リボルバー』には弦楽八重奏をバックに用いた《エリナー・リグビー》があり、シタールやタブラといったインドの民俗楽器を使った《ラブ・ユー・トゥ》があり、要するに「ロック」の一言では収まりきらないアルバムに仕上がっている。そうした特徴は、後年のエイナウディにもそのまま受け継がれていく。

クラシックをベースにあらゆるジャンルを取り入れ映像的で美しいミニマルミュージックを作り上げるエイナウディは、今もっともお洒落なインストゥルメンタルとして若者を中心にヨーロッパでは大反響。数々のCM音楽やサウンドトラックを手掛け、これまでにリリースした楽曲は累計390億再生超を記録。ストリーミングで最も聴かれているクラシック・アーティストとして活躍を続けている。

日本では2011年映画『最強のふたり』の音楽制作を手掛けた作曲家ピアニストとして多くの人に知られるようになり、2017年には映画『三度目の殺人』(監督:是枝裕和)の音楽を手掛けたことでも大きな話題を呼んだ。


■来日公演情報

Ludovico Einaudi Concert in Osaka 2025
2025年4月15日(火)  会場:The Symphony Hall
Open 18:00 / Start 19:00
詳細はこちら

Ludovico Einaudi Concert in Tokyo 2025
2025年4月17日(木)  会場: LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
Open18:00 / Start19:00
詳細はこちら


■リリース情報

ルドヴィコ・エイナウディ『The Summer Portraits』
2025年1月31日リリース
 Apple Music /Amazon MusicSpotify / iTunes


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