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クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:器楽曲編
クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第1回器楽曲編が本日、6月23日に発売された。
クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。今日発売となった器楽曲編の人気曲TOP10をご紹介する。
1位 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ BWV1001~1006
全てのヴァイオリニストにとっての試金石
J.S.バッハが遺した無伴奏作品は、《無伴奏チェロ組曲》《無伴奏フルートのためのパルティータ》、そしてこの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》の3種のみ。そのいずれも、それぞれの楽器を象徴する名曲であるところがJ.S.バッハの偉大さだ。
単独で演奏されることも多い〈シャコンヌ〉を含むこの作品は、ヴァイオリンに可能なあらゆる技巧が盛り込まれ、すべてのヴァイオリニストにとっての試金石であり指標とも言える存在だ。
2位 J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
不眠解消用に書かれた目が覚める程の人気曲
不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために作曲し、弟子のヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルクに演奏させたことから《ゴルトベルク変奏曲》と呼ばれるようになったこの作品は、美しいアリアと30の変奏曲で構成される人気曲。
カナダの天才ピアニスト、グレン・グールド(1932-1982)がデビュー・アルバムに収録したことでも有名で、その録音は映画『ハンニバル』にも使われた。近年は鍵盤奏者にとって重要なレパートリーとなっている。
3位 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 BWV1007~1012
カザルスが発掘したチェロのためのバイブル
J.S.バッハがケーテン時代(1717-23)に作曲したとされるこの作品は、「プレリュードと舞曲」のスタイルで書かれた無伴奏チェロのための6つの組曲だ。当時は合奏の際の通奏低音を担う楽器とみなされていたチェロのために6曲の無伴奏組曲が書かれたことはまさに画期的。
その後、忘れ去られていたこの名曲をスペインの伝説的チェリスト、パブロ・カザルス(1876-1973)が再発見。以来、チェリストにとって最重要のレパートリーとなった。
4位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》
ベートーヴェン自らその名を付けた初期の傑作
ベートーヴェンはその生涯に32曲のピアノ・ソナタを遺しているが、自ら名前をつけた作品は、第8番《悲愴》と第26番《告別》の2曲のみ。初期の頂点をなす傑作《悲愴》は、若きベートーヴェンの名を世に知らしめる原動力となり、第14番《月光》、第23番《熱情》とともに「3大ソナタ」の一角を担う人気曲としても有名だ。
美しく印象的な第2楽章は、ビリー・ジョエルの「This Night」に流用される他、さまざまなシーンに使われている。
5位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 《月光》
“ロマンティスト”ベートーヴェンを知る名曲
1801年、ベートーヴェン31歳の年に作曲されたこの作品の愛称《月光》は、ベートーヴェンと同時代の音楽評論家で詩人ルートヴィヒ・レルシュタープの「スイス・ルツェルン湖の月光に揺らぐ小舟のようだ」というコメントに由来する。
日本に於いては月光の下で散歩していたベートーヴェンが、盲目の少女の弾くピアノのメロディをもとに作曲したという『月光の曲』という物語もあり。優雅な第1楽章から疾風怒涛の第3楽章に至る印象は強烈だ。
6位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 《熱情》
ベートーヴェンの熱き思いが吹き荒れる傑作
「3大ピアノ・ソナタ」の一つにして、ベートーヴェン中期の最高傑作と呼ばれる《熱情》は、同時期に作曲された交響曲第5番《運命》同様、ベートーヴェン作品の中でも最も激しい音楽の一つだ。
第1楽章には《運命》冒頭と同じ強烈な4つの音が執拗に刻まれ、闘争的な情熱が吹き荒れる音楽は、ハンブルクの出版社クランツが出版時に付けたことによって定着した《熱情》の愛称そのもの。古今東西の腕利きピアニストが挙ってこぞって演奏する人気曲。
7位 ドビュッシー:ベルガマスク組曲
音楽による情景描写の最高傑作〈月の光〉を聴く
ドビュッシーの全てのピアノ曲の中でも、最も有名な作品の一つ〈月の光〉を含む全4曲からなるピアノ曲集《ベルガマスク組曲》が出版されたのは1905年。
若きドビュッシーの傑作だ。「ベルガマスク」と言うタイトルは、イタリア滞在中に受けたベルガモ地方の印象によるもので、当時ドビュッシーが好んでいたヴェルレーヌの詩にも触発された作品だと言われている。冨田勲のシンセサイザーによる編曲盤(1974年)もチェックしておきたい。
8位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111
第2楽章で閉じる生涯最後のピアノ・ソナタ
ベートーヴェンが遺した32曲のピアノ・ソナタの最後を飾るこの曲が出版されたのは1822年。ベートーヴェン52歳の年だ。2楽章までで終わることについては、ベートーヴェン自身が「時間がなかったから」と語ったというシントラ−の怪しい証言を始め、作曲当時から様々な憶測が飛び交った。
しかし、これ以上なにも付け加える余地のない境地にまで達したというのが正解だろう。ベートーヴェン最晩年の枯淡の境地を心ゆくまで味わいたい。
9位 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960
シューベルトが死の直前に遺した音楽とは
「遺作」として知られるこの曲は、シューベルトがこの世を去る1828年に相次いで書かれた3曲のピアノ・ソナタ(第19~21番)の最後を飾る作品だ。これらの作品は、シューベルトの死から10年後に「フランツ・シューベルト最後の作品(3つの大ソナタ)」としてディアベリ社から出版されている。
わずか31歳の生涯の最後に、全く演奏される希望も無しに書かれた音楽がいかなるものか。胸が締め付けられるような音楽がここにある。
10位 ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23
羽生結弦選手を金メダルに導いた勝負曲
ショパンは、21歳の1831年から1842年までの11年間に4曲の「バラード」を書いている。傑作の誉れ高い4曲の中でも最初に手掛けた第1番についてシューマンは「ショパンの全作品の中で最も好きだ」と語っている。
その印象的なメロディは、映画『戦場のピアニスト』の中で効果的に使われた他、近年は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が、2018年の平昌オリンピックのショートプログラムで使用し、金メダルに輝いたことも懐かしい。
「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。
世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。
Written by uDiscover Team
■リリース情報
発売日:
6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル
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