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ラヴェル名曲集:偉大な作曲家による重要な10作品
《ボレロ》《ダフニスとクロエ》《亡き王女のためのパヴァーヌ》などを含む、10曲の重要な作品を紹介する。
モーリス・ラヴェル(1875年3月7日-1937年12月28日)は、印象派の作曲家の重要な一人だが、ドビュッシーと同じく、彼はそう呼ばれることを拒否した。ラヴェルの最も有名な作品には、《ボレロ》《ダフニスとクロエ》《亡き王女のためのパヴァーヌ》などがある。
ラヴェルの創作は細心の注意を払い、精巧に行われていることで知られ、オーケストレーションの達人であった。ラヴェルの母親はバスクの血筋で、これがラヴェルの生涯にわたり持ち続けたスペイン音楽への興味の要因となっている。父親はスイスの発明家・エンジニアであり、これがラヴェルの創作における精度の高さと職人的な取り組みの源になっているのだろう。
彼は1889年に14歳でパリ音楽院に入学し、1897年に再びガブリエル・フォーレに作曲を師事した。この間に、《亡き王女のためのパヴァーヌ》、ピアノのためのソナチネ、弦楽四重奏曲といった彼の代表的な作品を作曲している。
ラヴェルがパリ音楽院で開催されていた、作曲家の登竜門「ローマ賞」を受賞できなかったことはスキャンダルを巻き起こした。1909年から1912年にかけて、ラヴェルはセルゲイ・ディアギレフと「バレエ・リュス」のために《ダフニスとクロエ》を作曲し、これは彼の代表作として広く知られている。
またラヴェルは他の作曲家の作品のオーケストラ編曲も行っており、その中でも1922年に行ったムソルグスキーの《展覧会の絵》の編曲がもっとも有名である。ラヴェルの作品には、モダニズム、バロック、新古典主義、ジャズの要素が取り入れられている。彼はかつて、「私の恋愛は、音楽とだけであった」と述べている。
ラヴェル名曲集:偉大な作曲家による重要な10作品
ボレロ
《ボレロ》はラヴェルの最も有名な作品であり、20世紀で最も頻繁に演奏された作品の一つである。ダドリー・ムーアとボー・デレク主演の映画『10(テン)』をはじめ、多くの映画で取り上げられ、1984年のサラエボ冬季オリンピックでは、イギリスのアイス・ダンサー、ジェーン・トーヴィルとクリストファー・ディーンが金メダルを獲得した際に、《ボレロ》にのせて特別なプログラムを披露している。
ダフニスとクロエ
1909年から1912年にかけて、ラヴェルはバレエ界の巨匠、セルゲイ・ディアギレフと「バレエ・リュス」のために《ダフニスとクロエ》を作曲した。このバレエはラヴェルの作品の中でも最も情熱的な音楽といえるもののいくつかを含んでおり、印象派ならではの絢爛豪華なハーモニーを特徴としている。ストラヴィンスキーは《ダフニスとクロエ》を「ラヴェルの最高傑作であるだけでなく、フランス音楽の中で最も美しい作品の一つ」と評した。
亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェルは、パリ音楽院でガブリエル・フォーレのもとで作曲を学んでいた1899年に、《亡き王女のためのパヴァーヌ》のピアノ独奏版を作曲した。このパヴァーヌはラヴェルの最高傑作の一つであり、1910年には管弦楽編曲が行われている。ラヴェルはこの作品を「昔、スペインの宮廷で小さなお姫様が踊っていたであろうパヴァーヌを想起させる」と述べている。
ラ・ヴァルス
ラヴェルのウィンナ・ワルツへの愛は、ヨハン・シュトラウス2世へのオマージュとして作られた《ラ・ヴァルス》に現れている。《ラ・ヴァルス》はノスタルジックでありながら不吉な雰囲気を醸し出しており、最初のエレガントなワルツが徐々に歪み、爆発的な結末を迎える。ラヴェルは、このスコアの冒頭に「舞踏詩……ウィンナ・ワルツへの賛歌……幻想的で運命的な、群衆たちの狂った渦」という標題を寄せている。
スペイン狂詩曲
《スペイン狂詩曲》は、ラヴェルがオーケストラのために作曲した最初の作品である。この作品は作曲家に流れるスペインの血や母の歌っていた民謡など、スペインの伝統に大きく影響を受けたもので、スペインを舞台に、あるいはスペインを反映した作品の一つである。
一見スペインの音楽と思ってしまうほどの作品を書いたラヴェルの卓越した能力は、スペインの作曲家、マヌエル・デ・ファリャから称賛を受けた。
夜のガスパール
ラヴェルの《夜のガスパール》は、悪夢のようであり、幻覚や幻想に満ちたアロイジウス・ベルトランの詩集に影響を受けて書かれた、ピアノのための超絶技巧作品である。3つの楽章は、ベルトランの詩を魅惑的に現わしている。第1曲〈オンディーヌ〉は滝のように流れる水、第2曲〈絞首台〉は吊るし首の縄の穏やかな揺れ、第3曲〈スカルボ〉では駆け回る幽霊のような小鬼が描写されている。
ピアノ協奏曲ト長調
「ピアノ協奏曲ト長調」は、陽気なジャズの影響を受けた第1、第3楽章と、モーツァルトの影響を受けた夢のようなアダージョの中間楽章から成る、抑えきれないほどの高揚感と楽観性を持った作品である。ラヴェルは、「ジャズの最も魅力的な部分は、その豊かで気をそそるリズムである。
ジャズは現代の作曲家にとって非常に豊かで活力に満ちたインスピレーションの源であり、私はアメリカ人の中でジャズの影響を受けている人が非常に少ないことに驚いている」と述べている。
鏡
《鏡》は、太陽の光が降り注ぐような華麗な技巧による〈道化師の朝の歌〉や、悲しげに泣く鳥たちや鐘の音が詳細に描写された〈悲しい鳥たち〉に〈鐘の谷〉などから成る、ピアノ独奏のために書かれた5楽章の組曲である。各楽章は、フランスの音楽家や詩人たちによる前衛芸術家グループ「アパッシュ(芸術的ごろつき)」の仲間に捧げられている。
クープランの墓
1914年から1917年にかけて作曲されたラヴェルの《クープランの墓》は、フランスのバロック時代の作曲家、フランソワ・クープランと、18世紀フランスに書かれていた鍵盤楽器のための組曲の豊かな伝統に敬意を表している。各楽章は、第一次世界大戦で戦死したラヴェルの友人たちの思い出に捧げられている。まずピアノ独奏のために6楽章の組曲が書かれ、1919年にはラヴェルがそのうち4楽章を管弦楽のために編曲している。
水の戯れ
《水の戯れ》は、ラヴェルにとっての英雄の一人であるフランツ・リストのヴィルトゥオーゾ・ピアニストとしてのスタイルに影響を受けた、ピアノ独奏のための作品である。タイトルは「噴水」、「水の遊び」、文字通り「水遊び」と訳されることが多い。噴水、滝、小川などの水の音は、ラヴェルに着想を与え、印象派の作品の中でも特に人気の作品となった。ラヴェルは、ガブリエル・フォーレに師事していた時に《水の戯れ》を作曲し、この曲を師に捧げている。
Written By uDiscover Team