Classical Features
史上最高のクラシック作曲家トップ20:前半
史上最高のクラシック作曲家は誰か?常に上位3位にランクインしているのはバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの3人だが、それ以外については意見が分かれている。私たちは議論を重ね、最も偉大で影響力のあるクラシック作曲家のリストを作成した。歴代最高のクラシック作曲家トップ20を10人ずつ、2回に分けてご紹介する。
史上最高のクラシック作曲家トップ20:前半
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685 – 1750)
バッハが音楽を生み出したのは、偉大なる神の栄光のためであり、バッハの言葉を借りれば、”魂の浄化”のためだったのである。オルガン音楽、教会のカンタータ、雇い主のための付随音楽の作曲は彼の毎日の糧となっていた。バッハは、クラシック界で最も偉大な作曲家の一人であり、絶え間なく作曲を続けていた。最も仕事をした作曲家が完璧な音楽に最も近づいた一人でもあったことは興味深い。
多くの人にとって、バッハの永遠に続くかのような旋律線、精巧な対位法、流麗なハーモニーは、人間の生命の短さや偶発性を超え、すべての音楽の理想的な状態を表現している。鍵盤や独奏楽器でバッハの音楽を演奏することは、心のバランスを整える素晴らしいセラピーでもある。
一般的にクラシック音楽の歴史の中で最も重要な作品の一つとみなされている、バッハの長調と短調による24の前奏曲とフーガによる曲集、《平均律クラヴィーア曲集》の第1巻から「前奏曲ハ長調」を聴いてみよう。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756 – 1791)
彼の音楽を聴くと、神からの教えをすべて忘れてしまおうとすら思える。モーツァルトは常に仕事をし、より良い作曲家になるために学び続け、ただ音楽を作る者以上の存在になろうとしていた。モーツァルトは音楽を言語とする哲学者であり、世界は音楽の力によって癒されると信じる、純粋な啓蒙主義者であった。
彼は、万物をこれまでに考えられてきた中で最も純粋な響きで私たちの耳へと届けようとしたために、私たちは、最高のクラシック作曲家の一人であるモーツァルトの音楽が語る、知的で政治的な重みを過小評価してしまうことがある。
モーツァルトの偉大なオペラ《フィガロの結婚》から「序曲」をお聴き頂こう。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770 – 1827)
ベートーヴェンの音楽は、単なる曲ではなく、燃えるような勝利や雷鳴の情景、もしくは瞑想的な賛美歌や狂詩曲でもある。私たちがベートーヴェンを愛しているのは、彼が世界や彼自身の感情、そして聴覚障害との闘い続けたのにもかかわらず、決して理想主義や信仰を失うことがなかったからである。
ベートーヴェンは、偉大なクラシック作曲家の一人で、英雄的な作曲家である。さらにたったひとりで宇宙を音楽によって理解して表現し、さらに崇拝し、改善しようと努力を重ねた。この途方もない闘争は、彼が書いたほとんど全ての作品に見出され、叙情的な優しさと、音楽が新しい時代に引きずり込まれていくという圧倒的な感覚が共存している。
ナポレオンに敬意を表して書かれたベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》を聴いてみよう。
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840 – 1893)
ロマン派の作曲家であるチャイコフスキーの美の極致は、ロシアの音楽をヨーロッパに伝搬させることに成功した。モーツァルト、ベッリーニ、ドニゼッティの音楽の熱心な研究は、輝かしいオーケストラのセンスと結びついたチャイコフスキー自身の果てしないメロディ・メーカーとしての才能や非常に激しい感情に反映されている。
彼の音楽は、愛と死と運命に執拗に焦点を当てた、非常に内面的なものである。クラシック界を代表する偉大な作曲家の一人であるチャイコフスキーは、魅力的なバレエやピアノ協奏曲で知られているが、彼の交響曲にはそれ以上の情緒的な深みがある。彼のオペラ、特に《エフゲニー・オネーギン》は、レパートリーの中で最も愛すべきものの一つとなっている、深く感動的な個性を持っている。
チャイコフスキーの最も人気のあるバレエ《くるみ割り人形》から〈葦笛の踊り〉をお聴き頂こう。
リヒャルト・ワーグナー(1813 – 1883)
他の作曲家をもっと好きなのは構わないが、クラシックの偉大な作曲家の一人であるワーグナーが史上最も無限の音楽的想像力を持っていたことに異を唱えるのは難しいだろう。彼は言語表現の可能性を拡大することで、ベートーヴェン以来、あるいはそれ以前に存在していた形式や和声構造に極限の緊張感を与えて、オーケストラに全く新しい表現を創造し、驚くほどの深みのある感情や意欲を伝えたのである。
ワーグナーのオペラにおいて、オーケストラは、オペラの登場人物の言葉や経験を常に語っており、潜在意識へと印象的な方法で切り込んでいく。ワーグナーの音楽は、他では味わえないほど、あなたを虜にするだろう。そして物語も素晴らしいのだ。
BBC音楽誌で「史上最高の録音」と評されたワーグナーの叙事詩《ニーベルングの指環》のゲオルグ・ショルティの録音をお聴きいただこう。
ヨハネス・ブラームス(1833 – 1897)
一世代前に全盛期を迎えたような形式や書法を用いたため、ブラームスは(誤って)アカデミックで退屈な存在と思われてきた。また、厳格で髭を生やした老人を想像するかもしれないが、若き日のブラームスは、師であるロベルト・シューマンの妻への愛に悩まされた、情熱的なロマン派の美青年である。
ブラームスは交響曲と協奏曲において、対位法と動機の発展を非常に知的に扱い、純粋な音楽の思想に基づく、叙情的で精神的な側面と組み合わせる理想的な手段を見出した。これは、通常の主観的で激しいロマン派の作曲家には珍しい方法であった。
ブラームスは、偉大な交響曲第1番を書いた頃からすでに音楽人生における地位を確実なものとしていた。
フランツ・シューベルト(1797 – 1828)
シューベルトは偉大なクラシック作曲家の一人であり、彼の作品の多くには平安がある。しかしあなたがシューベルトのことをよく知らなければ、それらの全てがもしかしたら簡単に書かれたものだと思うかもしれない。
だが、彼の音楽には特別な内面性があり、イタリアの音楽のように豊かな旋律と、ドイツ音楽の厳格な和声と動機の発展のアイデアが組み合わさって表現されている。シューベルトの管弦楽作品の多くは、瞑想的な雰囲気を漂わせ、ゆっくりとした動きのある美しさが魅力的だ。
しかし、彼が最も正確に自分自身を表現しているのは、彼の何百もの歌と室内楽作品の中である。喜びから最も虚ろな悲しみまで、すべての人間の経験の源と表現を間違いなく見つけ出している。シューベルトの名曲《アヴェ・マリア》をお聴き頂こう。
ロベルト・シューマン(1810 – 1856)
シューマンはロマン派時代の偉大な作曲家の一人として広く評価されている。特にピアノ音楽、歌曲(リート)、管弦楽曲で有名だ。彼の作品の独創性は、感情的、構造的、哲学的な境界線を押し広げた。シューマンの音楽は主に標題的なものであり、(具体的な言葉ではなく、音楽を通して)物語を語る。
彼の音楽的な影響力は数十年先まで続き、ブラームス、リスト、ワーグナー、エルガー、そしてフォーレと、さらにそれ以上に計り知れない影響を与えている。そして、彼は19世紀の作曲家の中で最も愛されている作曲家の一人であり続けているのだ。
謝肉祭で仮面を被って酔っぱらっている人々を表現した、シューマンのピアノ小品集《謝肉祭》をお聴き頂こう。
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813 – 1901)
19世紀半ばのイタリアのオペラは、偉大な作曲家を生み出すにはあまりにも繊細さに欠けているように思える。しかし、ヴェルディは50年の歳月をかけて、その率直すぎる表現を、信じられないほど強力な方法で涙の感情を伝えるための手段に変えていったのである。
イタリアの音楽は、特に声を通して伝わる旋律の力に常に依存していたが、クラシックの偉大な作曲家の一人であるヴェルディは、和声と管弦楽の書法を洗練させていったのである。彼は深い慈悲の心に、人間の孤独と偽善という通常は黒く見えるものを組み合わせ、人々の強烈な愛と死のドラマを創り出し、大きな悲しみの力を、メロディづくりにおける天賦の才によって伝えている。
ヴェルディの《レクイエム》を聴いてみてほしい。この曲はレクイエムの中でも最も有名で心を奪われるものの一つだ。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685 – 1759)
彼はバッハと全く同時代を生きた作曲家だったかもしれないが、ヘンデルとバッハの違いほど大きいものはない。ヘンデルの関心は、非常に人間的なもの-本当に痛む心-に満ちており、彼は一見シンプルな音楽の言語を使って大規模な効果を生み出す達人であった。
しかし、壮大で儀式的な舞台と、迫力のある合唱に惑わされないでほしい。それらは刺激的で喜びに溢れているかもしれないが、この作曲家の本質は、オペラやオラトリオの中で傷心と道徳的な選択を扱う愛の歌やアリアの中に見出すことができる。
それはまさしく強烈な感情や孤独な瞬間とその感情の正確な音楽表現を見つける正確さを示しており、そのことがヘンデルを最も偉大なクラシック作曲家の一人にし、唯一無二の存在にしている。さらに、誰も彼のように休符を扱うことはできなかった。
ヘンデルの《メサイア》に耳を傾けてみよう。これはイエス・キリストの物語を辿るオラトリオで、史上最高の合唱作品の一つに挙げられる。
Written By uDiscover Team
- ベスト・クラシック・ピアニスト:史上最高の25人 Vol.1
- ベスト・クラシック・ピアニスト:史上最高の25人 Vol.2
- ベスト・クラシック・ピアニスト:史上最高の25人 Vol.3
- ピアノ協奏曲ベスト15:ベートーヴェン、ショパン、モーツァルトなどの偉大なる傑作選
- ヴァイオリン協奏曲トップ10:ブラームス、ブルッフ、パガニーニなど最高のヴァイオリン協奏曲10選