平和を歌った名曲ベスト25:最も重要なことを思い出させてくれる楽曲たち【動画付】
ポップミュージックは、何が最も重要なのかをいつだって思い出させてくれる。忘れてはいけないことだが、いつまでも歌い継がれている最高に希望に満ちたプロテスト・ソングの中には、歴史の中でとりわけ緊迫した時期に生まれたものがいくつかある。
1960年代は平和の歌 (とプロテスト・ソング) が満ちあふれていたが、今回のリストにはあらゆる時代とジャンルの曲が選ばれている。これらの歌の中には、戦争を止めることに貢献した曲もあれば、人種間の平等を目指す戦いを煽り立てたものも、世界の人により高い意識を持つように訴える曲もある。特定の問題に関連した歌もあれば、より普遍的な歌もある。怒りを歌ったものもあれば、癒しを歌ったものもある。しかしどの曲のメッセージも、今の世界でまだまだ通用する内容だ。
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25位 : クイーン・ラティファ「U.N.I.T.Y」
クイーン・ラティファのグラミー賞受賞曲 (1995年”Best Rap Performance”) は、全体としてみれば団結をテーマとした曲だが、とりわけ具体的に描写されるのは女性が耐え忍んでいる日常的な嫌がらせ、ハラスメントである。この曲は女性と進歩的な男性の両方を応援している。とはいえ、この最高の団結の賛歌には
You put your hands on me again, I’ll put your ass in handcuffs
わたしにもう一度手を触れたら、あんたのケツに手錠をかけてやる
という歌詞も含まれている。
24位 : ケンドリック・ラマー「Alright」
ケンドリック・ラマーが2015年にシングルとしてリリースした画期的なナンバー「Alright」は、今回のリストに選ばれた公民権運動のアンセムの現代版と言っていい。歌詞は社会的・人種的な不正に深く踏み込んでいるが、プロデューサーのファレル・ウィリアムスが提供したこの曲の忘れられないフックは、果敢に戦っている人たちを奮い立たせるものになっている。そして実際、Black Lives Matter運動はこの曲を非公式のアンセムとして採用している。
23位 : ケニー・チェズニー「Get Along」
現代のカントリー・ミュージックはその保守的な姿勢のせいで叩かれることが多いが、ケニー・チェズニーは自らの快楽主義的なイメージを崩すことなく、この2018年のヒット曲に進歩的なメッセージを忍び込ませている。彼のここでの目標は、あからさまに政治的なことを言うのを避け、その代わりに分断された人たちがお互いの違いを乗り越えることを進言することにあった。
22位 : ブルース・スプリングスティーン「Land of Hope & Dreams」
ブルース・スプリングスティーンのこのアンセムは、2000年のEストリート・バンドの再結成ツアーで初めて演奏され、その後も聴き手から共感を呼び起こしている。部分的にはウディ・ガスリーの「This Train」の改作だが、もちろん違いはある。
ブルース・スプリングスティーンのこの「Land of Hope & Dreams」に出てくる列車には、ギャンブラーや迷える者が座る場所もある。そしてここでは、あらゆる人の信仰が報われると約束されている。このリストの次の3曲を聴いてもわかる通り、この”列車”という単語は今回のリストに選ばれたさまざまな平和の歌で度々取り上げられるテーマとなっている。
21位 : グラディス・ナイト&ザ・ピップス「Friendship Train」
モータウンのメッセージ・ソングといえば、エドウィン・スターの「War」のようにパワフルな曲もあれば、テンプテーションズの「Ball of Confusion」のようにダークな曲も、そしてグラディス・ナイト&ザ・ピップスの「Friendship Train」のように高揚感のある曲もある。
この「Friendship Train」は1960年代が終わる2ヶ月前にヒット・チャートのトップに立った。この曲の作者は、モータウンのエース・ライター、バレット・ストロングとノーマン・ウィットフィールドだった。この曲のピップスのアレンジはストレートに教会風だ。
20位 : オージェイズ「Love Train」
フィリーのソウル・マエストロであるケニー・ギャンブル&レオン・ハフは、スムーズで親しみやすい列車についての歌を届けてくれた。そしてオージェイズの滑らかなハーモニーのおかげで、この「Love Train」は、集会で必ず合唱になる永遠の平和の歌になった。このグループは確かに問題の核心を突いている。とはいえこのヒット曲の前にオージェイズが出したのは、後ろから人を刺すというような物騒な曲「Back Stabbers」だったのだが。
19位 : ユスフ/キャット・スティーヴンス「Peace Train」
ここまでの”列車の歌”三部作の最後を飾るのは、幾世代にも渡って平和の歌を作り続けているシンガーソングライター、ユスフ (キャット・スティーヴンス) の名曲「Peace Train」だ。
ギリシャ風のリフに乗せて歌われるこのアンセムは、1971年にスティーブンスがアメリカのヒット・チャートトップ10圏内に送り込んだ最初のヒット曲になった。この曲が持つの癒しのパワーは今もなお健在である。
18位 : パティ・スミス「People Have the Power」
おそらくパティ・スミスは、彼女がこれまでに作った曲の中で最も重要なもののひとつとしてこの心を奮い立たせる曲を挙げるだろう。今は亡き夫フレッド・ソニック・スミスと共作したこの「People Have the Power」は、アルバム『Dream of Life』で初めて発表された。それ以来、この曲は多くの社会派アーティストたちによってカヴァーされてきた。カヴァーしたアーティストの中には、ブルース・スプリングスティーン、U2、ジョーン・バエズといった面々も含まれる。
17位 : ザ・ローリング・スローンズ「Gimme Shelter」
これまでの歴史を見ると「Gimme Shelter」は黙示録的な警告として解釈されがちのように思える。そうした解釈も決して間違ってはいない。しかし忘れられがちなことだが、この曲は選択肢も提供している。5分間にわたって「War, children, it’s just a shot away / 戦争はすぐそこまで来ている」と警告したあと、ミック・ジャガーは「Love, sister, it’s just a kiss away / 愛もすぐそこにある」と教えてくれる。そう、ザ・ローリング・ストーンズは常に闇の王様だったわけではないのである。
16位 : U2「One」
『Achtung Baby』の時期は、U2がそれまでのイメージを打ち砕いたコンセプチュアルな時代として記憶されている。しかしこの時代は、彼らにとって最も誇らしいアンセムが生まれた時代でもある。
「One」は表面的にはラヴ・ソングだが、つながりと理解を求めるこの曲はやがて世界中に広がっていった。その後のグループのライヴでは、冒頭でネルソン・マンデラの曲紹介がテープで流れ、この曲に込められた平和のメッセージがさらに強調されていた。
15位 : ウォー「Why Can’t We Be Friends? (邦題:仲間よ目をさませ! )」
時には怒りに満ちた抗議の歌よりも、陽気な歌声のほうが多くの人の心を掴む場合がある。1975年のウォーは、そういう曲を作り上げた。それは、実に素直な平和の歌だった。
「Why Can’t We Be Friends?」では、グループのメンバーひとりひとりがヴァース歌い継いでいくが、その内容は深遠なものからおどけた馬鹿馬鹿しいものまでさまざまだった。
I know you’re workin’ for the CIA/ They wouldn’t have you in the Maf-eye-ay!
お前がCIAのために働いていることは知っている 彼らは君をマフィアに行かせないだろうね
14位 : XTC「Melt the Guns」
怒りに満ちたプロテスト・ソングがズバリ的を射ていることもある。XTCが「Melt the Guns」をアルバム『English Settlement』のためにレコーディングした頃、彼らは絶頂期にあった。そしてこの曲は、歌詞もリズムもすべてが切迫感に満ちていた。アンディ・パートリッジの義憤に満ちた歌詞から、削ぎ落とされたリズムまで、この曲のすべてが緊急性を帯びているのだ
彼らはこの曲を作ったときにジョン・レノンが射殺された事件を思い浮かべていた。とはいえ「Melt the Guns」は、銃の問題が深刻化している近年になって、より実感を伴って受け止められるようになってきている。
13位 : オールマン・ブラザーズ・バンド「Revival」
オールマン・ブラザーズは平和と愛の歌をいつも作っていたわけではない。彼らは、そういう”軟弱”な作品を披露するタイプではなく、もっとタフなバンドだった。しかしながら、ディッキー・ベッツが作ったアルバム『Idlewild South』収録曲では、少しゴスペル風の陽気な「Love is Everywhere」のシンガロングを披露している。「Revival」はシングル・カットされ、ささやかなヒットになった。とはいえ1990年代以前の彼らは、この曲をステージで演奏することはほとんどなかった。
12位 : スティーヴィー・ワンダー「Heaven Help Us All」
スティーヴィー・ワンダーは、世界を変えることをテーマにした曲を一般的なアーティストよりもたくさん作っている。「Heaven Help Us All」は彼が自分で作った曲ではない (モータウンのスタッフ・ライター、ロン・ミラーが作曲) 。とはいえこれは、スティーヴィーの代表的なシングルのひとつになった。ゴスペル・ナンバーのようなスタイルで、祈りの曲のように歌われているが、人種差別について触れた部分は実に力強く、説得力がある。
Heaven help the black man if he struggles one more day
Heaven help the white man if he turns his back away
一日でも多く苦労する黒人がいれば 天は彼を救う
背を向ける白人がいれば 天は彼を救う
*関連記事:スティーヴィー・ワンダーが社会に向けたメッセージソング5選
11位 : サム・クック「A Change is Gonna Come」
ポップ・ミュージックにおける公民権運動の偉大なアンセムのひとつである「A Change is Gonna Come」は、サム・クックが白人専用のモーテルへの入場を拒否されたときの気が滅入るような状況から生まれた。クックはこの曲を一度だけ公の場で歌い、ヒットするかどうか疑問に思っていた。しかしながら、この曲は非常に多くの歌い手にカヴァーされる画期的な作品となり、歴史に残る平和の歌のひとつに数えられるまでになったのである。
10位 : フレンド&ラヴァー「Reach Out of the Darkness」
1960年代に流行したサンシャイン・ポップの典型的な作品のひとつに挙げられる「Reach Out of the Darkness」は、ヒット・チャートのトップ10入りを果たしている。あまりに開けっぴろげいて心が広い曲なので、とても抵抗することができないくらいだ。
フレンド&ラヴァーの正体はジム・ポストとキャシー・ポストの夫婦コンビだったが、このすばらしいシングルを出したあとまもなく、ふたりの結婚生活は終わり、音楽上のパートナーシップも終焉を迎えている。
9位 : ヤングブラッズ「Get Together」
今では「Get Together」は1960年代の連帯感を歌い上げる曲の決定版として認識されている。たとえば、いくつかの映画 (最近ではケン・バーンズの『Vietnam』に使用されている) でも使われているし、あのルイ・アームストロングさえもがカヴァー・ヴァージョンを吹き込んでいる。
歌詞は間違いなく歴史に残るだろうが、ジェシー・コリン・ヤングのシルキーで滑らかなヴォーカル・パフォーマンスも聴き逃してはいけない。ジェファーソン・エアプレインのヴァージョンや、この曲の作曲者であるディーノ・ヴァレンテのヴァージョンはチャート入りすらできなかったが、ヤングブラッズのこのヴァージョンはジェシーのヴォーカルのおかげでヒットした。
8位 : エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ「(What’s So Funny About) Peace, Love & Understanding」
ニック・ロウが作曲し、ブリンスリー・シュウォーツがレコーディングしたこの曲のオリジナル・ヴァージョンは、気楽なカントリー・ロック・ソングだった。しかしエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズの手によって (さらにプロデューサーを務めたロウの協力もあって) タフでエッジの効いたヴァージョンが生まれ、時代を超えたアンセムとなったのだった。コステロもロウも、この「(What’s So Funny About) Peace, Love & Understanding」をライヴの定番として演奏し続けている。
7位 : ジャッキー・デシャノン「What the World Needs Now Is Love (邦題:世界は愛を求めている) 」
バート・バカラックほど説得力に満ちた平和の歌を作ることができる人間はいないだろう。その最高に理想的な歌を完璧な歌声で歌い上げたのは、自らもソングライターとして活躍していたジャッキー・デシャノンだった。彼女がこの曲を手に入れたのは、最初に曲をオファーされたディオンヌ・ワーウィックがレコーディングを断ったあとのことだ。とはいえこの曲に必要だったのは、彼女のカリフォルニア風の軽やかな歌声だった。
ジャッキーはこの4年後に「Put a Little Love in Your Heart (恋をあなたに) 」で再び大ヒットを飛ばした。そちらは彼女にとってシンガーとしての最大のヒット曲となった。
6位 : プラスティック・オノ・バンド「Give Peace a Chance(邦題:平和を我等に)」
この1969年のプロテスト・ソングの名曲は、騒乱に満ちたストリートから姿を現したのではなく、ジョン・レノンとオノ・ヨーコがモントリオールのホテルの一室で行った”ベッド・イン”の平和キャンペーンから生まれた。「Give Peace A Chance」のメッセージは明確だ、ジョン・レノンは大衆に説教するのではなく、むしろ野心的な代替案を世に問うていたのだ。
*関連記事:ジョンとヨーコの結婚式、ハネムーンと7日間のベッド・イン
5位 : マーヴィン・ゲイ「What’s Going On」
これは愛と相互理解の大切さを訴える永遠の名曲だ。モータウン・サウンドに革命をもたらしたマーヴィン・ゲイのアルバムの冒頭に収められていったこのタイトル曲は、ジャズや長大な組曲といった要素をポップスに持ち込んでいる。
あまり知られていない事実だが、この曲のメイン・ソングライターはフォー・トップスのひとりであるオビー・ベンソンだった。彼は、平和行進で目撃した警察のひどい暴力行為に反応してこの曲を書いたのである。
*関連記事:マーヴィン・ゲイの『What’s Going On』アルバム解説
4位 : インプレッションズ「People Get Ready」
「People Get Ready」は誰もが知る名曲になった。あまりに馴染み深い曲になっているため、これをたくさんの人が伝統的なゴスペルだと思っているほどだ。しかし実のところ、この曲はカーティス・メイフィールドが1965年に作った曲である。
公民権運動をサポートした最初のヒット曲のひとつとして、この曲は人々の印象に残ることになった。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアも集会でこの曲を流しているし、ボブ・マーリーやボブ・ディランといったさまざまな偉大なアーティストも後にこの曲をカヴァーしているのだ。
3位 : ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「One Love / People Get Ready」
ボブ・マーリーは既に完成されているカーティス・メイフィールドの作品に手を加え、歌詞の一部を修正し、新しいコーラスを作り出した。そのコーラスのおかげで、これはレゲエの究極の楽しげなピース・ソングのひとつになったが、歌詞はより厳しい現実を歌っている。オリジナルは1969年にレコーディングされたウェイラーズのヴァージョンだが、決定版は1977年の『Exodus』に収められたヴァージョンだろう。
2位 : ルイ・アームストロング「What a Wonderful World(この素晴らしき世界)」
「What a Wonderful World」のオリジナル・ヴァージョンは今でもルイ・アームストロングの最も親しまれている曲だ。とはいえ、アルバム『Louis Armstrong And His Friends』に収録されている彼自身の1970年のリメイク・ヴァージョンも必聴である。こちらに付け加えられたイントロでは、公害や飢餓、そして「いろいろな戦争」が続いている今の状況で、世界がすばらしいものになるのだろうかとサッチモは問いかけている。
続いて彼は「Listen to old Pops for a minute /ちょっとだけ親父さんの言葉に耳を傾けてごらん」とアドバイスし、こんな風に言う。「Love, baby, love – that’s the secret / 愛だよ、ベイビー。それが秘訣」と。
1位 : ビートルズ「All You Need is Love (邦題:愛こそはすべて) 」
ビートルズの1965年のアルバム『Rubber Soul』に収められていた「The Word」は、ごく普通の人間関係における愛をはるかに超えた普遍的な概念としての「愛」について触れた、最初期の名曲のひとつだった。とはいえ、それ以上に壮大な規模で愛を歌い上げたのは、この傑作シングルである。
『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のリリースからわずか1ヶ月後、1967年の”サマー・オブ・ラブ”の真っ只中にリリースされた「All You Need is Love」は、いつまでも古びることのないメッセージを世界に残してくれた。
Written By Brett Milano
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