史上最高のギタリスト・ベスト75:伝説的なミュージシャンたち

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ギターはロックにおける大黒柱だ。ブルースやカントリー・ミュージックに関しては言うまでもないだろう。6本の弦を操る天才たちのおかげで、世界はより生きやすい場所になっているのである。歴史に残る名ギタリストたちの中には、ハードな音を鳴らすロック・ギタリストたちだけでなく、それらのミュージシャンたちに道を開いた先駆者たちも含まれる。それでは、私たちの考える史上最高のギタリストたちを紹介しよう。

リストから漏れているギタリストがいると思ったら、下のコメント欄でぜひ教えてほしい。

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75位: ガボール・ザボ

偉大なロック・ギタリストたち (「Gypsy Queen」をカヴァーしたことがよく知られるカルロス・サンタナは除く) の口から、ガボール・ザボの名前があまり聞かれないのは不思議なことだ。なぜなら彼は60年代中盤のジャズ界の名手の中で、おそらくもっともロックとの親和性が高いミュージシャンだからだ。

ザボは、ジャンルとして名前が付けられる前からフュージョンやワールドビートを演奏していたし、1966年の重要作『Jazz Raga』ではジョージ・ハリスンより先にインド音楽の領域に足を踏み入れた。彼はまた、「The Beat Goes On」をソニー・ボノが想像もしないようなアレンジで演奏したこともあった。

キャリアを代表するトラック: 「Gypsy Queen」

 

74位: ジョー・サトリアーニ

80年代後半、ド派手なギター・ソロは、エディ・ヴァン・ヘイレンのそれを例外として時代遅れになりつつあった。そんな中、そうしたプレイを再び楽しいものにしたのがジョー・サトリアーニだった。1987年のヒット・アルバムのタイトル・トラックである「Surfing With The Alien」は、常人には到底弾けないフレーズが4分間に亘って繰り出される濃密な一曲。

他方で同曲には、往年のサーフ・ロックのインストゥルメンタル・ナンバーを思わせる刺激的な魅力も備わっている。サトリアーニはお金になりそうなバンドへの加入オファーを幾度となく断り、フュージョン、メタル、プログレなどの要素が融合したソロ作を発表し続けてきた。

キャリアを代表するトラック: 「Surfing With The Alien」

 

73位: ニルス・ロフグレン (クレイジー・ホース、Eストリート・バンド)

クレイジー・ホースとEストリート・バンドの正式メンバーを現在進行形で兼任しているともなれば、偉大なソングライターのお抱えギタリストとしての地位は揺るぎないものになる。だが、そのニルス・ロフグレン自身も優れたソングライターとしての顔を持っている。彼はソロ作を通じて、ブルース・スプリングスティーンやニール・ヤングの作品以上に自らの個性を発揮してきたのである。

そんな彼は、とあるギタリストに捧げる楽曲の中で自身のキャリアを代表する素晴らしいソロを弾いた――「Keith Don’t Go」の数あるヴァージョンのいずれかをぜひ聴いてみてほしい。

キャリアを代表するトラック: 「Keith Don’t Go」

 

72位: スティーヴ・ヴァイ

驚くべき演奏技術を持つ名ギタリストであるスティーヴ・ヴァイは、ハード・ロックの世界で活躍しながら、シリアスな音楽の作曲活動にも力を入れてきた。彼はもともとフランク・ザッパのバンドで、誰もが憧れる”スタント・ギター”の担当を任せられてキャリアをスタート。ザッパのバンドにいたころには、私生活でのエピソードを「Stevie’s Spanking」という曲にされたこともあった。

そしてホワイトスネイクでの短い在籍期間や、それより長いデヴィッド・リー・ロスのバンドでの活動期間には、誰にも劣らぬ速弾きのソロを次々に披露した。だが、より技巧的な演奏を聴きたいのであれば、ソロ・トラックの「Weeping China Doll」を聴いてみてもらいたい。

キャリアを代表するトラック: 「Weeping China Doll」

 

71位: ドン・フェルダー (イーグルス)

ドン・フェルダーは最終的にバンドメイトたちと仲違いをしたが、イーグルスでの彼の功績の大きさは見過ごせない。3rdアルバム『On The Border』で彼が加入すると、それまで凝った作風のカントリー・ロックを鳴らしていたグループは強力なギター・バンドへと変貌したのである。そしてジョー・ウォルシュが加わったあとも、バンドの代表的な演奏を作り出したのはフェルダーだった。

「Hotel California」の長いイントロはその最たる例だが、彼による最高の名演といえばおそらく「One Of These Nights (呪われた夜)」における鋭いトーンのソロということになるだろう。

キャリアを代表するトラック: 「One Of These Nights (呪われた夜) 」

 

70位: クリスティン・ハーシュ (スローイング・ミュージズ)

いつまでも過小評価され続けているグループ、スローイング・ミュージズのリーダーであるクリスティン・ハーシュ。彼女はインディー・ロック界でも指折りの独創性を持つリード・ギタリストでもある。グループの初期の諸作で彼女は、無骨で型破りなリード・ギター・パートを考え出した。一方で近年のスローイング・ミュージズは、いっそうハードなロック・サウンドを志向している。

実際、2020年作『Sun Racket』は、ヴィブラートのエフェクトを多用した「Dark Blue」をはじめ、強烈なリフが次々に繰り出される一作となった。他方、マイケル・スタイプとのデュエット曲「Your Ghost」などの初期のソロ楽曲では、アコースティック・ギターによる品のあるリード・ギターも聴くことができる。

キャリアを代表するトラック: 「Dark Blue」

 

69位: ジョー・ウォルシュ (イーグルス、ジェイムス・ギャング)

現在ではイーグルスの一員として華々しいギター・プレイを披露しているジョー・ウォルシュだが、彼はもともと、米国初の優れたスリー・ピース・バンドであるジェイムス・ギャングの一員として後進にとっての手本を示した。同グループでは強力なリフを数多く作り出しただけでなく、ソロ・パートでも前例のないほど独創的な演奏を披露したのである。

まずは、ジェイムス・ギャングの大曲「The Bomber」を聴いてみてほしい。この曲は驚くほどヘヴィなリフで幕を開けるが、ソロでは強いエコーがかかった広がりのあるサウンドが展開されるのである。なお、同曲を聴く際は、ウォルシュがワウのエフェクトを駆使しながら「Bolero」を弾く未編集ヴァージョン (その発表後、モーリス・ラヴェルの遺族からの抗議を受けた) を選ぶことをお忘れなく。

キャリアを代表するトラック: 「The Bomber」

 

68位: デレク・トラックス (オールマン・ブラザーズ・バンド、テデスキ・トラックス・バンド)

オールマン兄弟の関係者の家に生まれ (彼はブッチ・トラックスの甥である) 、エリック・クラプトンの愛称に因んでその名をつけられたデレク・トラックスは、音楽をやるために生まれてきた人物と言っていい。そんな彼は、二度に亘ってデュアン・オールマンの後任を務めた実績を持つ。彼はオールマン・ブラザーズ・バンドに加わったほか、『Layla (いとしのレイラ)』をテーマにしたエリック・クラプトンのツアーでも主役を引き立てる役割を果たしたのだ (このときの「Bell Bottom Blues」は史上最高の名演となった)。

しかしトラックスは、十分に自立した一人前のアーティストでもある。彼は公私にわたるパートナーであるスーザン・テデスキ (彼女もまた優れたギタリストだ) とともに、ソウルフルな演奏が特徴のユニークなジャム・バンドを率いているのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Bell Bottom Blues」

 

67位: アンガス・ヤング (AC/DC)

AC/DCはその存在自体が、ロックのすべてを賛美するためにあると言っていい。何でもありのその精神は、時代を超越したギター・ソロにもよく表れている。凄まじいスピードの速弾き、パワー・コード、そして猛烈にかき鳴らされるクライマックスの演奏など、分かりやすい魅力を持ったフレーズをこれでもかというほど盛り込んだ「Let There Be Rock」のソロはその最たる例である。

キャリアを代表するトラック: 「Let There Be Rock」

 

66位: カーク・ハメット (メタリカ)

80年代のメタル界随一のリード・ギタリストといえるカーク・ハメットは、スラッシュ・メタルの凶暴性を、ヘヴィで目がくらむような技巧と組み合わせてみせた。だが彼は断末魔の叫びさながらの「One」のソロのように、豊かな表現力を発揮することもある。

また、短いながらも構成の見事な「Sad But True」のソロも、荒々しさでは劣るが同じくらい印象深い演奏である。

キャリアを代表するトラック: 「Sad But True」

 

65位: トニー・アイオミ (ブラック・サバス)

ブラック・サバスのギタリストは、速弾きのギタリストたちと対極を成す存在である。彼の強みは、この上なくヘヴィなリフにあるのだ。ヘヴィ・メタル好きの少年たちなら誰でも「Paranoid」や「Sweet Leaf」のリフを弾けるだろうが、それらを考え出すにはそれ相応の才気が必要になる。

長尺のソロを弾くときも (1stアルバムにおける「Warning (警告) 」のメドレーなど) 、アイオミは魅力溢れるリフを繋ぎ合わせる形でソロの大部分を作り上げてしまうのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Paranoid」

 

64位: ウォーレン・ヘインズ (ガヴァメント・ミュール)

ウォーレン・ヘインズがオールマン・ブラザーズ・バンドや、グレイトフル・デッドのいくつかの派生グループなどの由緒あるバンドを渡り歩き、それでいて自立したミュージシャンであり続けているということは、それ自体が多くのことを物語っている。あらゆる伝統を吸収し、それを自分なりに咀嚼した彼は、ジャム・バンド界の王様と呼ぶに相応しい。

そして彼が普段率いているガヴァメント・ミュールは、楽曲によって広がりのあるスペイシーなサウンドから、パワフルなサウンドまでを自在に使い分けることができる。素朴ながら表現力豊かな彼の演奏を堪能したいなら、彼がほとんどの所属バンドで取り上げてきた代表曲「Soulshine」のいずれかのヴァージョンを聞いてみてほしい。

キャリアを代表するトラック: 「Soulshine」

 

63位: スティーヴ・ハケット (ジェネシス)

プログレッシヴ・ロック界でも、もっとも一貫して創造性を発揮し続けるギタリストであるスティーヴ・ハケット。偉大なミュージシャンである彼は1977年、さらに多様なサウンドを探求すべくジェネシスを脱退。

以降はブラジル音楽 (1984年作『Till We Have Faces』) や、いくつものインストゥルメンタル・アルバムで弾いたナイロン弦のクラシック・ギター、少々無骨なブルース・サウンド (1994年作『Blues With A Feeling』) など様々な分野に手を広げてきた。とはいえ彼の最大の強みが、1978年作『Please Don’t Touch』のタイトル・トラックなどに聴ける壮大で映画的なサウンドにあることは変わらない。

キャリアを代表するトラック: 「Please Don’t Touch」

62位: ジ・エッジ (U2)

ディレイなどのエフェクターをうまく使用したことで、エッジはU2の最初期のシングルから独自のサウンドを確立していた。特に「I Will Follow」や「Gloria」で彼が弾いたリフはこの上なく印象的であり、グループが最盛期を迎えた80年代に独創的な演奏スタイルを作り上げてからも、その冒険心はまるで薄らいでいない。

キャリアを代表するトラック: 「Gloria」

 

61位: リッチー・ブラックモア (ディープ・パープル、レインボー)

“パンク・メタル”というジャンルがもし存在するとすれば、それを発明したのはディープ・パープルの名ギタリストであるはずだ。パープルで活動したあとレインボーを結成したリッチー・ブラックモアは、それぞれのグループに混じり気のない攻撃性を持ち込んだのである。例えば『Made In Japan』における「Space Truckin’」や「Lazy」のソロを聴いてみてほしい。そこでの彼の演奏は、まるで観客全員の命を狙っているかのように思えるのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Space Truckin’」

 

60位: レオ・ノセンテリ (ミーターズ)

ミーターズの名ギタリストであるレオ・ノセンテリは、ニューオリンズ式のファンク・サウンドを完成させた。それはつまり、少ない音数の中で官能的なリズム・パートを際立たせ、リズムを身体全体で感じられるようにしたサウンドだ。実際、「Cissy Strut」などの名ファンク・ナンバーで彼は、聴く者を焦らすように記憶に残るリフを弾き続ける。そうすることで、長尺のソロを披露していなくても強い存在感を放つのだ。

彼もミーターズの後年の作品ではもっと自由にソロを取るようになったが、それでも演奏は効率重視だった。例えば、大曲「It Ain’t No Use」ではワウのエフェクターを駆使し、一切無駄のないソロを披露している。

キャリアを代表するトラック: 「Cissy Strut」

 

59位: エイドリアン・ブリュー (キング・クリムゾン)

エイドリアン・ブリューはアヴァンギャルドな音楽と、ザ・ビートルズの影響を受けたポップな音楽の両方に力を入れてきた。そして時にはまったく予想もつかない形で、その対照的なスタイルを融合させてきたのである。史上もっとも多才で偉大なギタリストの一人であるブリューは、ソロとしても多くの作品を発表しながら、ザッパ、ボウイ、トーキング・ヘッズなど様々なアーティストのツアーにも参加。

その上、彼はポール・サイモンの『Graceland』やナイン・インチ・ネイルズの『The Downward Spiral』などの作品でもゲストとして名演を残している。それと、彼が動物の鳴き声の再現を得意としていることも忘れてはならない。

キャリアを代表するトラック: 「Mr. Self Destruct」

 

58位: ジョン・フォガティ (クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)

ジョン・フォガティはクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルを率いていたころ、時代の流行に反する短い楽曲群に、ワクワクするようなギターのフレーズを詰め込むことが多かった。例えば「Proud Mary」におけるソロはシンプルながら完璧な仕上がりだし、「Commotion」の冒頭のギターよりも引き込まれるイントロは滅多にない。

また、そんな彼が長尺のソロを弾けば、心躍るような演奏が生まれた。濃密な演奏が長く展開される「Ramble Tamble」のブレイクは、のちに登場するクランプスの作品を思わせるほど先鋭的である。

キャリアを代表するトラック: 「Ramble Tamble」

 

57位: サーストン・ムーア (ソニック・ユース、ソロ)

サーストン・ムーアはソニック・ユースの一員として、独自のトーンやチューニングを数多く駆使することでロック・ギターのサウンドに変化をもたらした。彼はまた、代名詞ともいえるジャズマスターのギターを使用し、パンクの影響を受けたエネルギッシュなサウンドの中にフリー・ジャズのような感覚を持ち込んだ。

ソニック・ユースのメンバーとしてもソロ・アーティストとしても、彼はオルタナティヴ・ロック界のギター・ヒーローであり続けているのだ。

キャリアを代表するトラック: 「100%」

 

56位: ハンク・マーヴィン (シャドウズ)

この男はクリフ・リチャードのバックとして、またインストゥルメンタル・バンドのシャドウズの一員として、英国にロック・ギターを浸透させた。それゆえ、いまなお愛される英国のギター・ヒーローたちが生まれたのはハンク・マーヴィンのおかげだといえる。なぜならそうしたギタリストたちは全員、彼のサウンドを聴いて育ってきたからだ。

キャリアを代表するトラック: 「Apache」

 

55位: アレックス・ライフソン (ラッシュ)

ほかの二人のメンバーよりリード・ギタリストの影が薄くなり得るスリー・ピース・バンドは、ラッシュくらいのものだろう。特に、グループにおけるギターの役割が小さくなった80年代はその傾向が顕著だった。だがアレックス・ライフソンは、自由にギターを弾く機会を与えられさえすれば、必ずやギター・ヒーローの称号に相応しい演奏を聴かせてくれた。

例えば「La Villa Strangiato」では、ほとんどのギタリストが生涯で弾くより多くの妙技を、たった一曲の中に詰め込んでいるのだ。そしてラッシュの作品の路線が変化すると、彼は「Subdivisions」での特徴的なトーンのソロのように、いっそう凝ったプレイを聴かせるようになった。

キャリアを代表するトラック: 「Subdivisions」

 

54位: マーク・ノップラー (ダイアー・ストレイツ、ソロ)

ニュー・ウェーヴ時代の人びとは華麗なギター・プレイに興味を示さなかったが、それもダイアー・ストレイツの最初の2作のアルバムが出るまでの話だった。マーク・ノップラーは特にそれらのレコードにおいて、無駄がなく、肩の力の抜けた魅力的なソロをクリーンなトーンで弾いてみせたのだ。ソロに転向してから彼はリード・ギターをあまり弾かなくなったが、それでも随所には素晴らしいフレーズが盛り込まれている。

キャリアを代表するトラック: 「Sultans Of Swing (悲しきサルタン) 」

 

53位: デヴィッド・ギルモア (ピンク・フロイド)

ピンク・フロイドは元来、安っぽさや分かりやすさを嫌うタイプのバンドだった。だがデヴィッド・ギルモアはグループのリード・ギタリストとして、そうした魅力を備えたプレイを作品に取り入れた。例えば『The Wall』の収録曲をライヴで披露する際、ロジャー・ウォーターズの作り上げた心理劇のクライマックスに待ち受けているのが、あまりに壮大な「Comfortably Numb」のソロなのである。

他方、ギルモアは軽快なタッチの演奏も得意としていた。軽やかで煌めくようなギターが冒頭から5分間に亘って続くプログレの大曲は「Shine On You Crazy Diamond」くらいしかないはずだ。

キャリアを代表するトラック: 「Shine On You Crazy Diamond」

 

52位: ジェームズ・バートン (レッキング・クルー)

二人のエルヴィス (プレスリーとコステロ) と共演した唯一のギタリストであるジェームズ・バートンは、素朴で泥臭いプレイ・スタイルを開発した張本人だ。そしてそのスタイルはのちに、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのジョン・フォガティをはじめ多くのギタリストの模範となった。

ロックの殿堂入りも果たしたバートンは、リッキー・ネルソンの「Hello Mary Lou, Goodbye Heart」で象徴的なソロを弾いて名を上げた。そうして60年代以降、カリフォルニアに所在するほとんどすべてのレコード・レーベルから一番頼られるギタリストになった彼は、ビーチ・ボーイズやエヴァリー・ブラザーズの作品にも参加。さらには伝説的なセッション・ミュージシャン集団であるレッキング・クルーにも加わった。

キャリアを代表するトラック: 「Hello Mary Lou, Goodbye Heart」

 

51位: ボブ・モールド (ハスカー・ドゥ)

ポスト・パンクの時代に登場したギタリストの中で、もっとも独創的なプレイヤーであるボブ・モールド。彼はハスカー・ドゥの一員としてバーズの「Eight Miles High (霧の8マイル)」をカヴァーしたことで、サイケデリアをモッシュ・ピットに持ち込んでみせた。モールドはすべてのソロを猛烈なエネルギーで弾いたが、その衝撃は録音から40年後のいまも薄れていない。

キャリアを代表するトラック: 「Broken Home, Broken Heart」

 

50位: リック・ニールセン (チープ・トリック)

リック・ニールセンは、ハード・ロック界でもっとも過小評価されたリード・ギタリストといえるだろう。5本のネックを持つギターを使用することもよく知られる彼は、楽曲の魅力を引き立たせるためだけに巧みなフレーズを弾きこなしたのだ。そうして生まれる優れた楽曲 (彼は作曲も自ら手がけた) は、チープ・トリックの最大の武器であり続けている。

キャリアを代表するトラック: 「The Ballad Of TV Violence」

 

49位: ロジャー・マッギン&クラレンス・ホワイト (バーズ)

スタジオ・アルバムを聴いただけでは伝わらないかもしれないが、”第二期バーズ”には史上屈指のギタリスト・コンビが揃っていた。一人は12弦エレキ・ギターで象徴的なサウンドを作り出したグループの創始者で、もう一人はロック界に足を踏み入れたばかりだった世界的なピック弾きギタリストである。まずは「Eight Miles High」の後期のライヴ・ヴァージョンをチェックして、火花が散るような競演を堪能してほしい。

キャリアを代表するトラック: 「Eight Miles High」

 

48位: カート・コバーン (ニルヴァーナ)

カート・コバーンがギター・ヒーローの役割を演じたことはなかった。それは、彼がロックンロール界の大物たちを嫌っていたからなのだろう。だからこそ彼は、名声を軽視する内容の「Serve The Servants」で彼史上もっともギター・ヒーロー的でスケールの大きいソロを弾いたのだろうし、ジョージ・ハリスンやベックが気に入りそうな東洋風のソロが入った曲を「Sappy」(間抜け、の意) と名付けたのだろう。

キャリアを代表するトラック: 「Serve The Servants」

 

47位: ジャンゴ・ラインハルト

ベルギーで生まれフランスで活躍したこの名ギタリストは、マヌーシュ・ジャズを世に広めるとともに、レコード史上屈指の楽しさを誇るソロをいくつも残した。1961年に発表された編集盤『Djangology』は、ラインハルトがヴァイオリニストのステファン・グラッペリと共演した数多くの作品の一つで、スウィング・ジャズの真髄を堪能できる一作だ。

ロマの家庭で育った彼は、ジャズ界に多大な影響を与えた。そしてヨーロッパを代表するギタリストである彼が作り出したスタイルは、のちに”マヌーシュ・ジャズ”と呼ばれるようになったのである。

キャリアを代表するトラック: 「Minor Swing」

 

46位: プリンス

プリンスは多作なパフォーマー/ソングライターとしての側面が注目されがちなため、史上屈指のギタリストとしての才能は危うく見過ごされてしまう。だが、「Purple Rain」と、2004年のロックの殿堂授賞式でトム・ペティらと共演したオールスター・ヴァージョンでのジョージ・ハリスンの「While My Guitar Gently Weeps」が彼のキャリアでももっとも語り継がれたパフォーマンスになっているのには確かな理由がある。二つの演奏に共通するその理由とは、彼が弾いた壮大なギター・ソロである。

キャリアを代表するトラック: 「While My Guitar Gently Weeps」

 

45位: ライ・クーダー

ライ・クーダーはまさしく唯一無二の素晴らしいギタリストだ。彼は音楽の歴史を深く理解した上で、実に奇抜なスタイルのギターを弾くのである (実際、彼はソロになる前、キャプテン・ビーフハートの作品にも参加していた) 。それに彼はストーンズの面々とも何度か一緒に演奏しているし (「Sister Morphine」の不気味なスライド・ギターは彼によるもの) 、ジョン・ハイアットの人気作『Bring The Family』ではロック調のプレイを披露している。

しかしクーダーのキャリアにおける最高の名演は、ジェイムス・カーの名ソウル・ナンバーをアレンジした70年代前半の「Dark End Of The Street」であろう。彼のヴァージョンは、聴く者の心を揺さぶるインストゥルメンタル・ナンバーに仕上がっている。

キャリアを代表するトラック: 「Dark End Of The Street」

 

44位: ロバート・フリップ (キング・クリムゾン)

プログレ界のレジェンドであるロバート・フリップは、最高のプログレッシヴ・ロックには欠かすことのできない冒険心をすべてのギター・ソロに注ぎ込んだ。キング・クリムゾンの作品を除いても、ブライアン・イーノの「Baby’s On Fire」における激烈な演奏や、ピーター・ガブリエルの「White Shadow」の美しいエンディングなどにその好例を見つけることができる。

そんな彼は、60年代後半の結成時から現在まで、キング・クリムゾンに一貫して在籍し続ける唯一のメンバーでもある。

キャリアを代表するトラック: 「Baby’s On Fire」

 

43位: フランク・ザッパ

フランク・ザッパのライヴをその目で見る機会に恵まれた人は、狂乱のパフォーマンスの最中に彼が繰り出すソロに驚嘆したことだろう。つまり、聴く者は彼の演奏の叙情性の高さに驚かされるのである。まずは、『Joe’s Garage』に収録されている美しい一曲「Watermelon In Easter Hay (イースターのスイカ) 」をチェックしてみてほしい。

それでさらに深く知りたくなったら、『Shut Up ‘n Play Yer Guitar (黙ってギターを弾いてくれ) 』のシリーズを聴いてみるといい。このシリーズでは、アルバム3作分のギター・インストゥルメンタルや即興演奏を堪能することができる。

キャリアを代表するトラック: 「Watermelon In Easter Hay」

 

42位: パット・メセニー

パット・メセニーは主にジャズ・ギタリストに分類されるが、あらゆるジャンルのプレイヤーの中でもっとも柔軟な適応力を持った名手といえる。実際、彼はニュー・エイジ・ミュージックに接近したアコースティック・トラックや、アルバム一作に亘ってアヴァンギャルドなノイズを鳴らし続ける作品まで残しているのだ。

とはいえ彼が最高の演奏を披露するのは、そうした対極的なサウンドのあいだの領域を行き来しているときだろう。ジャズ界でいち早くシンセを使用した彼は、グラミー賞で10の部門に輝いた唯一の人物でもあるのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Last Train Home」

 

41位: ピーター・グリーン (フリートウッド・マック)

どんな大物たちと比較してもいいが、それでもピーター・グリーンは英国ブルース・ロック界でもっとも表現力豊かなギタリストといえるはずだ。彼の武器は、演奏のスピードや派手さではなく (かといってそうした資質を備えていないわけでもない) 、溢れんばかりの感情を注ぎ込んだソロなのである。そんな彼の演奏は荒々しく俗っぽかったり、あるいは何かに取り憑かれたようだったりする。

その両方の特徴が表れている曲といえば、二つのパートから成る「Oh Well」であろう。その前半では素晴らしいリフを、後半では不気味なムードに満ちた演奏を堪能することができるのである。

キャリアを代表するトラック: 「Oh Well」

 

40位: アルバート・コリンズ

“マスター・オブ・ザ・テレキャスター”の異名を持つ彼は、”氷”のように鋭いギターのトーンで知られる。レコード史上屈指の影響力と腕前を持つアルバート・コリンズは90年代に入っても作品を作り続けたが、60 年代のアルバムにはブルース界最高峰のインストゥルメンタル・ナンバーがいくつも収められている。

キャリアを代表するトラック: 「Frosty」

 

39位: ビッグ・ジム・サリヴァン

60年代のロンドンでもっとも多くのレコーディングに参加していたギタリストはジミー・ペイジではない。ビッグ・ジム・サリヴァンである。彼は実に700ものヒット・レコード (その中には不朽の名曲も数多く含まれる) で演奏したあと、ラスヴェガス時代のトム・ジョーンズのバンドで長らくギターを弾いた。

そんなサリヴァンの代名詞ともいえるのが、クリス・ファーロウの「Out Of Time」やシーカーズの「I’ll Never Find Another You」などを見事に彩った12弦アコースティック・ギターの演奏だ。また、カルト的な人気を誇る彼の1968年作『Lord Sitar』は、インドの楽器であるシタールをロックの文脈にいち早く持ち込んだアルバムとして知られる。

キャリアを代表するトラック: 「Blues For Norma」

38位: リチャード・トンプソン (フェアポート・コンヴェンション)

存命のギタリストの中でもっとも偉大な名手の一人といえるリチャード・トンプソン。彼がこれまでに残してきた作品は、フォークやロックといったジャンルを超越している。彼は現役のギタリストの中でもっとも個性的なスタイルを持ち、もっとも感情豊かなソロを弾く。それに、「Tear Stained Letter」のライヴ・ヴァージョンからも明らかな通り、彼は誰よりスリリングな演奏を聴かせてくれるのである。

キャリアを代表するトラック: 「1952 Vincent Black Lightning」

 

37位: レス・ポール

レス・ポールは革新的なレコーディング手法やマルチトラック録音を開発したことで永遠に語り継がれるべき存在である。だが、そのギター・プレイも同様に素晴らしいものだった。特に、公私にわたるパートナーだったメアリー・フォードとのデュオとしてのシングル曲では、彼女の歌声に合わせて華麗な演奏を繰り広げてみせた。

キャリアを代表するトラック: 「How High The Moon」

 

36位: エリザベス・コットン

フォーク/ブルース界の先駆的なミュージシャンであるコットンの独特のスタイルは、意図して生まれたものではなかった。彼女は左利きだったことから、もともと兄の右利き用のバンジョーを逆さにしてその弾き方を学んでいた。その後ギターに転向したあとも、バンジョーでの弾き方に慣れていたため、ギターを同じく逆さにして弾いた。そのため、親指でメロディーを奏でながら低音の弦をほかの指で弾くという奏法になったのだ。

“コットン・ピッキング”と呼ばれるこのスタイルは、特に習得が難しいことで知られる。代表曲である「Freight Train」の演奏がその時々で違った印象なのも、そのせいなのだろう。

キャリアを代表するトラック: 「Freight Train」

 

35位: ロバート・ジョンソン

彼自身がエレキ・ギターを弾いたことはなかったが、ロバート・ジョンソンのデルタ・ブルースには、のちに登場したブルース・ロックのギタリストたちが楽曲の中で表現しようとした要素がすべて詰まっている。

「Sweet Home Chicago」における軽やかなスウィング感や、「Cross Road Blues」のスライド・ギターに感じられる混じり気のない攻撃性はその好例である。悪魔と契約したと言われる彼だが、そうだとしても私たちはその恩恵をしっかり享受しているのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Cross Road Blues」

 

34位: カルロス・サンタナ

カルロス・サンタナは、過去50年の音楽界でも指折りの影響力と腕前を持つ名ギタリストだ。そのキャリアには、世間を驚かせたウッドストックでのステージや、誰にも真似できない70年代の快進撃、そして「Smooth」での見事な復活など、いくつものハイライトがある。

サンタナはロックとジャズとラテン音楽をあらゆる方法で組み合わせてきたが、その作風は楽曲の一音目を聴いただけで彼のものと分かるほど特徴的だ。そんな彼の情熱やアイデアはまだまだ尽きる様子がなく、2019年6月には実に25作目のスタジオ・アルバムとなる『Africa Speaks』を発表している。

キャリアを代表するトラック: 「Oye Coma Va」

 

33位: バディ・ガイ

B.B.キングのブルース・ギターを優雅と形容するとしたら、バディ・ガイのそれは低俗と表現できるだろう。80代になったいまも熱烈なソロを弾き続けている彼は、数え切れないほどのロックのリスナーをブルースの世界へと引き込み、ジミ・ヘンドリックスからエリック・クラプトンまであらゆるプレイヤーに影響を与えてきた。ガイのようなチョーキングができるギタリストは滅多にいないし、彼は現在のブルース界をたった一人で背負っていると言っても過言ではないのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Stone Crazy」

 

32位: ピート・タウンゼント (ザ・フー)

ピート・タウンゼントは自身について、単なるリズム・ギタリストだと主張することがある。だがザ・フーの過去作品における不朽の名ギター・ソロを聴けば、その言葉を鵜呑みにしてはならないと分かる。もちろん、彼が激しくかき鳴らすアコースティック・ギターの音はグループのサウンドの肝となっている。だがその点では、彼が曲のクライマックスで放つ、暴力的なほどの猛烈なソロも同じだ。

そしてそのことは、彼自身の懺悔が歌われた「However Much I Booze」や、フィードバックを派手に取り入れた『Live at Leeds』収録の「Young Man Blues」などに顕著である。

キャリアを代表するトラック: 「However Much I Booze」

 

31位: ニール・ヤング

どのギタリストにも特徴となるスタイルがあるものだが、ニール・ヤングにはそれが二つもある――ロック界のギタリストの中で、柔らかなサウンドと荒々しいサウンドを彼ほど自在に行き来して、それでも説得力のある作品を作り続けている人物はほかにいないだろう。マーシャルのアンプを使った特定の爆音サウンドがいまも”ニールとクレイジー・ホースの例のサウンド”と形容されるのには、それ相応の理由があるのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Like A Hurricane」

 

30位: ロリー・ギャラガー

ブルース・ロック界でロリー・ギャラガーより熱のこもったソロを弾くギタリストは存在しないだろう。彼にスライド・バーを持たせれば、聴く者は流れるように繰り出されるリフと目が眩むような演奏スピードに魅了されるのだ。そのため、ギャラガーが昔ながらのロック・ミュージシャンでありながらパンク・ファンに好まれたことも不思議ではない。そんな彼は、ジミ・ヘンドリックスのお気に入りのギタリストでもあったのだという。

キャリアを代表するトラック: 「Philby」

 

29位: エディ・ヘイゼル (パーラメント/ファンカデリック)

ジョージ・クリントン率いるPファンク・バンドを草創期から支えたギタリストのエディ・ヘイゼル。彼はロックやファンクの文脈の中でも特に型破りなソロを弾いた (「Maggot Brain」のいずれかのライヴ・ヴァージョンを聴けば、そのことがよく分かるだろう) 。だが、それでも彼の演奏には思わず耳を奪われるような魅力があるのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Maggot Brain」

 

28位: スコティ・ムーア

ロカビリーをパンク的な姿勢で演奏した最初の人物は、エルヴィスのバンドの初代ギタリストであるスコティ・ムーアだった。実際、彼が「Hound Dog」の後半で弾いたソロほど主張の強いギター・ソロは珍しいはずだ。

しかし彼のキャリアにおける最高のソロにして、一時代を代表する名演といえば、「Shake, Rattle & Roll」のエルヴィスのヴァージョンにおけるそれであろう。ムーアが曲の後半で同じソロを繰り返していることも、その出来の良さを物語っている。

キャリアを代表するトラック: 「Shake, Rattle & Roll」

 

27位: ディック・デイル

ディック・デイルは、思いもよらないような経緯でサーフ・ロック界での成功を手にした。野心に燃える若者だった彼は、子どものころに親しんだレバノンの音楽を思い出しながら、大音量のアンプとリヴァーブのエフェクトを使用し、さらには高波を乗りこなすスリルに想いを馳せることで、南カリフォルニアを象徴するインストゥルメンタル・サウンドを作り出したのである。そうしてロック史に残る偉大なギタリストになったのだから、マサチューセッツ州クインシーから西海岸に移り住んだ甲斐はあっただろう。

キャリアを代表するトラック: 「Miserlou」

 

26位: ジョージ・ベンソン

ジョージ・ベンソンは「Breezin’」でスムース・ジャズというジャンルの確立に一役買った。だがそれは、彼がそれまでの15年ものあいだ、忍耐強く独創的なジャズ・ギタリストとして作品を作り続けてきたからこそ為し得たことだった。つまりジャズ界での自身のルーツを忘れなかったから、ベンソンの作品はスムース・ジャズにもっとも傾倒していたときでも味わい深いのである。

まずは、彼の作風がもっともポップ寄りだったころに発表されたスティーヴィー・ワンダー作の「We All Remember Wes」を聴いてみてほしい。彼は50年以上の芸歴を重ねたあとで自身初のロックンロール・アルバム (『Walking To New Orleans』) を発表するなど、現在でも新たな挑戦を続けている。

キャリアを代表するトラック: 「We All Remember Wes」

 

25位: グレン・キャンベル

グレン・キャンベルはレッキング・クルーの一員として数百ものセッションを経験したあと、ソロ・キャリアをスタートさせた。そして自身のレコードでは必ず自らギターを弾いたのだった。「Galveston」や「Wichita Lineman」での低音弦を多用したソロは、無駄がない演奏のお手本といえるものだが、もっと感銘を受けたいなら「MacArthur Park」のライヴ・ヴァージョンをチェックするといい。それを聴けば、史上最高のギタリストのランキングに彼が入るのも当然のことだと思えるはずだ。

キャリアを代表するトラック: 「MacArthur Park」

 

24位: ジュニア・マーヴィン

ジャマイカ生まれの名ギタリストであるマーヴィンは、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの傑作『Exodus』に参加。ロックの影響を滲ませたリード・ギターをレゲエの文脈で弾くことで、バンドのパワーをいっそう高めてみせた。彼が「Concrete Jungle」 (同時期に録音されたライヴ・アルバム『Babylon By Bus』に収録) で披露した素晴らしいソロを聴けば、そのことがよく分かるはずだ。

またレコード収集が趣味なら、ウェイラーズに参加する以前に、彼がジュニア・ハンソンというかつてのステージ・ネームで制作した二つのアルバムもチェックしてみるといい。彼はヘンドリックスのバンドを思わせる3人組を率いて、ロック・サウンドの作品を残していたのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Concrete Jungle」

 

23位: キース・リチャーズ (ザ・ローリング・ストーンズ)

世の中には派手なソロを弾くギタリストもいるが (ザ・ローリング・ストーンズにも何人か在籍したことがある) 、キース・リチャーズがリズム・ギターのリフを弾き始める瞬間にこそロックンロールの真髄がある。そしてそのときの彼の姿は、何よりもロックンロールを体現しているのだ。ロック史に残る印象的なリフをいくつも作ったということだけでみても、彼はこのランキングに入るに相応しい人物なのである。

キャリアを代表するトラック: 「Jumpin’ Jack Flash」

 

22位: スティーヴィー・レイ・ヴォーン

スティーヴィー・レイ・ヴォーンは双方のジャンルに新鮮な刺激が求められていたときに、アリーナ・ロックの華やかさとテキサス・ブルースの本質にある魂とを融合させた (「Texas Flood」のライヴ・ヴァージョンは、人の心に訴えるブルースの力を手っ取り早く教えてくれる) 。彼が1990年に35歳の若さでこの世を去ったとき、世界は歴史に残る偉大なギタリストを失ったのである。

キャリアを代表するトラック: 「Texas Flood」

 

21位: アルバート・リー

英国を代表するギタリストであるアルバート・リーは、流れるような指弾きのプレイに70年代ロックの特徴であるディストーション (歪み) のエフェクトを組み合わせた。そうすることで彼は、最初に率いたバンドであるヘッズ・ハンズ&フィートで画期的な演奏を残したのである。のちにディストーションの使用をやめ、一流のカントリー・ロック・ギタリストとなった彼は、エヴァリー・ブラザーズの再結成時のバンドなどを支えた。

キャリアを代表するトラック: 「Country Boy」

 

20位: ロバート・ホワイト (ファンク・ブラザーズ)

伝説的なモータウン・レコードのハウス・バンドであるファンク・ブラザーズの一角を担ったロバート・ホワイト。彼を含むセッション・プレイヤーたちは、ザ・ビートルズとビーチ・ボーイズとザ・ローリング・ストーンズのそれを合計したより多くのヒット・レコードで演奏した。だが、ドキュメンタリー作品『Standing In The Shadows Of Motown (永遠のモータウン)』での彼の登場シーンは、胸が締め付けられるものだった。

そこで彼は、レストランにいるときにテンプテーションズの「My Girl」のあまりに印象的なイントロが流れても、それを弾いているのが彼だと誰にも気づかれないという経験を明かすのだ。同作では触れられていないが、同曲以上に素晴らしい彼の名演といえばスプリームスの「You Keep Me Hanging On」におけるワン・コードのイントロだろう。

キャリアを代表するトラック: 「You Keep Me Hanging On」

 

19位: リンク・レイ

レイは、インストゥルメンタル・ナンバーで放送禁止処分を受けた最初のロックンローラーとして有名だ。50年代当時の親世代は、「Rumble」での彼の鋭いギター・サウンドがギャングの暴力を助長することを恐れたのである。そして興味深いことに、その懸念は正しかった。パワー・コードを開発したとも言われるレイは、後進の名ギタリストたちが完成させた現代のロック・ギター・サウンドの基礎を築いた人物なのである。

キャリアを代表するトラック: 「Rumble」

 

18位: チェット・アトキンス

カントリー・ミュージック界随一のギタリストにして”ミスター・ギター”の異名を取ったアトキンス。キャリアを歩み出して間もないころの彼は、誰にも劣らぬ猛烈なプレイを披露していた。だがそうした経験を積んだのちに彼が弾くようになった優雅で上品なスタイルのギターは、彼自身の作品の特徴になっただけでなく、60年代中盤以降の”ナッシュヴィル・サウンド”の特徴にもなった。

キャリアを代表するトラック: 「Windy And Warm」

 

17位: エディ・ヴァン・ヘイレン (ヴァン・ヘイレン)

このギター・ヒーローは、革新的なタッピング奏法と有名な”フランケンストラト”の使用により、ハード・ロックを優れた芸術へと昇華させた。エディ・ヴァン・ヘイレンは80年代ギター・ロックのサウンドとスタイルを一変させるとともに、「Eruption (暗闇の爆撃)」や「Unchained」などでロック史に残る卓越したリフを作り出した。

キャリアを代表するトラック: 「Eruption (暗闇の爆撃) 」

 

16位: マーティン・カーシー

イングランドにおけるフォークの伝統を守り続けるマーティン・カーシーは、「Scarborough Fair」のアレンジをポール・サイモンに盗用されたことでも知られる。だが彼はそのエピソードだけで語られるべき人物では決してない。カーシーはフォーク・ダンスのリズムを基にした独特なプレイ・スタイルの持ち主であり、スティーライ・スパンに在籍した時期にはエレキ・ギターで魅力的な演奏を披露したのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Byker Hill」

 

15位: スティーヴ・ハウ (イエス)

スティーヴ・ハウの巧みな技術と豊かな発想力は、プログレッシヴ・ロックの魅力そのものを体現している。ワウを駆使した「Yours Is No Disgrace」での猛烈な演奏や、「The Clap」でのカントリー・スタイルのプレイ、「Wurm」でのスペイシーなサウンドはその好例だが、彼はイエス加入後の最初のアルバムのA面だけでこれほど多くの名演を残しているのだ。

キャリアを代表するトラック: 「Yours Is No Disgrace」

 

14位: チャーリー・クリスチャン

エレキ・ギターをソロ楽器に押し上げた張本人であるジャズ・ギタリストのチャーリー・クリスチャンがいなければ、この”史上最高のギタリスト・ランキング”はほとんど存在し得なかったと言ってもいい。そんな彼の代表曲といえるのが、1939年にベニー・グッドマンとともに録音した「Stardust」だ。そこでの彼のソロは、展開するにつれて自由で先進的な演奏になっていくのである。

キャリアを代表するトラック: 「Stardust」

 

13位: スラッシュ (ガンズ・アンド・ローゼズ)

けばけばしく派手な80年代のハード・ロック界にあって、スラッシュは原点に回帰したようなスタイルのギターを弾いた。彼はブルースで養った感性を活かしながら、昔ながらのロックンロールの精神をチャートのトップ40に再び持ち込んだのである。彼は「November Rain」のそれに代表される通り、壮大で華々しいソロを繰り出すことでよく知られる。

そして彼のギターは、ガンズ・アンド・ローゼズをサンセット・ストリップの人気バンドからスタジアム・ロックの大物へと成長させる一つ要因にもなった。そんな彼は、「Sweet Child O’ Mine」や「Paradise City」など、ロック史に残る印象的なギター・リフの数々も生み出してきた。

キャリアを代表するトラック: 「November Rain」

 

12位: デュアン・オールマン (オールマン・ブラザーズ・バンド)

“スカイドッグ”の愛称で知られたデュアン・オールマンは悲しいことに、ごく限られた数の作品だけを残してこの世を去った。それでも彼は、ゲストとして参加したデレク&ザ・ドミノスの「Layla (いとしのレイラ)」をはじめ、その後数十年に亘って語り継がれるスライド・ギターの名演を生み出した。

その彼の隠れた武器は、アトランティック・レコードのセッション・ミュージシャンとして働いていた数年のあいだに培ったソウルフルなタッチである。のちに弟のグレッグらとともに結成したオールマン・ブラザーズ・バンドでも彼はその武器を存分に発揮したが、1971年には悲劇的な事故で夭逝した。

キャリアを代表するトラック: 「Layla (いとしのレイラ) 」

 

11位: ブライアン・メイ (クイーン)

ブライアン・メイは、優れた知能を持つ天才がロック界にもいることを示す存在だ。彼は発明家/エンジニアとしての才能を活かして、多種多様なギター・サウンドをクイーンの音楽に盛り込んだ。そのおかげで彼らは、各地のアリーナを手中に収めながら、リード・シンガーたるフレディ・マーキュリーをきちんと引き立てることができたのである。

それに、グループが6作目まで”シンセサイザーを使わずに”あのサウンドを作り上げられたのも、彼のギターのおかげであった。

キャリアを代表するトラック: 「Bohemian Rhapsody」

 

10位: ジョージ・ハリスン

ザ・ビートルズの卓越したポップ・サウンドは、しばしばミュージシャンとしての彼らの力量を霞ませてしまう。そのことが特に顕著なのが、ジョージ・ハリスンである。”クワイエット・ビートル”とも呼ばれる彼は、ビートルズのサウンドには不可欠といえる無駄のないソロを弾いていた――彼は必要なときに、必要なフレーズだけを弾いたのだ。

だがバンドが分裂へと向かっていた『Abbey Road』のころから、ハリスンはソングライター/ギタリストとしての才能を開花。その後のソロ作では、その才能をさらに伸ばしていった。中でも彼のリード・ギターがフィーチャーされるようになった『Abbey Road』では、楽器を通じて存分に自己表現をする彼の演奏が堪能できる。

キャリアを代表するトラック: 「Something」

 

9位: ジェフ・ベック (ヤードバーズ etc.)

エリック・クラプトンがヤードバーズに情熱を、ジミー・ペイジが巧みな演奏技術をもたらしたとすれば、ジェフ・ベックはそこに激しい攻撃性をもたらしたといえる。実際、彼のアルバム『Beck-Ola』に収録された名曲「Rice Pudding」のそれより荒々しいギター・プレイはどこにも見当たらない。

キャリアを代表するトラック: 「Goodbye Pork Pie Hat」

 

8位: スティーヴ・クロッパー (ブッカー・T&ザ・MG’s)

スティーヴ・クロッパーは、史上最高のリズム・ギタリストといえるかもしれない人物だ。彼はスタックス・レコードから発表された無数 (1963年から73年にかけてのほとんどすべて) のシングルで、寸分の狂いもないファンキーなリズムを刻んだ。彼が鋭いトーンのソロにも長けていたことや、オーティス・レディングの代表曲「(Sittin’ On) The Dock Of The Bay」の共作者であることはあえて語るまでもないだろう。

キャリアを代表するトラック: 「Melting Pot」

 

7位: ジミー・ペイジ (レッド・ツェッペリン)

ジミー・ペイジの素晴らしい才能を紐解く鍵は、彼がセッション・プレイヤーとして過ごした日々にある。ペイジはその中で、楽曲の魅力を高める方法を数え切れないほど考案していたのだ。だからこそレッド・ツェッペリンを結成したあとも、彼は溢れんばかりのアイデアを楽曲に注ぎ込むことができた――彼は楽曲を重層的にしたり、装飾で彩ったりすることの可能性を熟知していたのだ。同世代のアーティストの多くはすでにこの世を去ってしまったが、ギターの名手であるペイジはまさに”生ける伝説”と呼ぶべき存在である。

キャリアを代表するトラック: 「Heartbreaker」

 

6位: シスター・ロゼッタ・サープ

“優れた楽曲はすべて悪魔の仕業だ (宗教的に罰当たりだ) “というような表現があるが、それは必ずしも正しくないし、優れたギタリストがもれなく罰当たりなわけでもない。シスター・ロゼッタ・サープは草創期のゴスペル・アーティストでありながら、のちのブルースやロックのギタリストが取り入れたような歪んだトーンを次々に生み出したのだ。

だがそれ以前にも、彼女はレコード史上屈指に滑らかなアコースティック・ギターのリード・パートを録音していた。例えば1945年のヒット曲「Strange Things Happening Every Day」ではカントリーとジャズとゴスペルの中間に位置するような演奏を披露することで、聖なる教えを世に伝えたのだった。

キャリアを代表するトラック: 「Strange Things Happening Every Day」

 

5位: エリック・クラプトン (クリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ザ・ドミノス)

“クラプトンは神”と考えられていたのは、彼がクリームやデレク&ザ・ドミノスで活動していたころの話だ。そのころ、エリック・クラプトンは業界屈指に表現力豊かなプレイヤーだったのである。だが70年代に入って品のあるスタイルに移行したあとも、彼は随所でスリリングかつ猛烈な演奏を披露した。そして、彼の代名詞でもある”ウーマン・トーン”の魅力はいまなお薄れていない。

キャリアを代表するトラック: 「Crossroads」

 

4位: B.B.キング

B.B.キングはブルース史上最高のヴォーカル・デュオの片割れだったと言えるかもしれない。その相方は彼のギターである”ルシール”だ。心に訴えるようなその上品なトーンは、言葉では表現しきれないことを代わりに伝えていたのである。

キャリアを代表するトラック: 「Sweet Little Angel」

 

3位: ウェス・モンゴメリー

そのキャリアはあまりに短かったが、ジャズ界の巨匠であるウェス・モンゴメリーはオクターブ奏法 (1オクターブ離れた二つの弦を同時に弾くことで、明瞭かつ心地良いトーンを生み出す奏法) と、親指を使用した大胆なピッキング (ジェフ・ベックらがこれを模倣した) で正当な評価を得た。

だが彼の音楽を語る上でそれ以上に重要なのは、発想力豊かなメロディーと非の打ちどころのないスウィング感だ。そうした特徴は、60年代後半にヴァーヴから発表された諸作に顕著である。

キャリアを代表するトラック: 「No Blues」

 

2位: チャック・ベリー

ブルースはロックンロールという”子”を生んだが、チャック・ベリーがギターで弾いた「Maybelline」のイントロは、その”子”に命が宿った瞬間だったと言える。ベリーは短くも魅力的なソロ (彼による長尺のソロが聴きたいなら、『Concerto In B Goode』をはじめとする60年代のアルバムをチェックするといい) を得意とする名手であり、腕のあるロック・ギタリストは多かれ少なかれベリーのスタイルを吸収しているものだ。

キャリアを代表するトラック: 「Johnny B Goode」

 

1位: ジミ・ヘンドリックス

現実から目を背けるのはやめよう――彼以上に先見の明を持ったギタリストは、この先ロック界には二度と現れない。ジミ・ヘンドリックスはギター・サウンドの可能性を大きく広げただけでなく、ギターによって未知の音楽体験を作り出してもみせた。そして録音からどれだけの年月が経っていても、「Red House」の発掘音源が出るたびその完成度には驚かされる。

キャリアを代表するトラック: 「Voodoo Child (Slight Return)」

Written By Brett Milano



 

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