【動画付】1970年に発売されたアルバム・ベスト71:55年前の名盤たち
1970年は新たな10年の幕が上がる年だったが、アーティストたちの関心は依然として、1960年代後半の社会的・政治的な混乱に集まっていた。歌の力で世の中を変えようとしたミュージシャンは数多く存在し、実際、ジョン・レノン、カーティス・メイフィールド、スティーヴィー・ワンダーをはじめとするアーティストが平和や平等を訴えたのである。
ザ・ビートルズが解散した1970年は、一時代の終焉を象徴する年だった。しかしながら、裏を返せば、それは4人の素晴らしいソロ・キャリアを歩み始めた一年でもある。
また、この年には実験的な作品も数多く生まれている。クラフトワーク、アリス・コルトレーン、ピンク・フロイド、フランク・ザッパといった面々がジャンルの限界に挑み、新進気鋭のシンガー・ソングライターやフォーク・グループは時流に合った内省的な作品を作り上げている。他方、この年には優れたライヴ・アルバムも生まれ、それらの作品がこの時代を代表する大物アーティストたちが世界中で名を知られるきっかけとなったのだった。
ここでは下のリストを通して、1970年の名作アルバムを振り返っていこう。その中にはジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニー、ジョン・レノン、リンゴ・スターがそれぞれソロとして放った傑作のほか、ブラック・サバス、タンジェリン・ドリーム、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングらの先駆的な作品まで、多種多様なアルバムが揃っている。
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71位: アイザック・ヘイズ『The Isaac Hayes Movement』
このアルバムでは、アレンジャーとしてのヘイズの比類ない能力が存分に発揮されている。彼はジョージ・ハリスンやバート・バカラックらの楽曲を取り上げ、そうした作品群をソウルフルな名演に生まれ変わらせたのだった。
70位: ブルース・ハーク『The Electric Lucifer』
電子音楽のパイオニアであるハークの1970年のアルバムは、同じハークが制作していた子ども向けの音楽とはまったく異なる内容だ。しかしその点さえ理解しておけば、アシッド・ロックやサイケデリアからの影響を取り入れ、善悪のせめぎ合いに思いを巡らせた刺激的な作品を堪能できることだろう。
69位: チャーリー・プライド『Just Plain Charley』
当時、チャーリー・プライドは成功を手にしつつあったが、彼のカントリー・ミュージックが素朴なルーツから逸脱することはなかった。彼は自らのカリスマ性と素晴らしいメロディーを活かして、自身のルーツを賛美する一作を作り上げたのだった。
68位: コンウェイ・トゥイッティ『Hello Darlin’』
カントリー・シンガーのコンウェイ・トゥイッティによるコンピレーション・アルバム。R&Bとロックとポップの要素を取り込んだ折衷的なサウンドの集大成といえる一作だ。
67位: エヴァン・パーカー、デレク・ベイリー&ハン・ベニンク『The Topography Of The Lungs』
ジャズの即興演奏に興味がある人であれば聴かない手はない一作。パーカーがバンドリーダーとして発表した初めてのレコードであり、彼が興したインカス・レーベルの第1弾アルバムとなった『The Topography Of The Lungs』は実験的なこのジャンルの方向性を決定づけた。
66位: ジャン=ジャック・ペリー『Moog Indigo』
電子音楽のアーティストであるペリーがモーグ・シンセサイザーを中心に作り上げたアルバム。革新的な同楽器によるファンキーで陽気な演奏が展開される本作では、ポップ・ミュージックと実験音楽の完璧な融合を楽しむことができる。
65位: ムタンチス『A Divina Comédia ou Ando Meio Desligado (神曲)』
極めてユニークなブラジルのバンドによる3作目のスタジオ・アルバム。彼らはサイケデリック・ロック、フォーク、ドゥーワップなどの音楽から影響を受けつつも、それらをまったく新しいかたちに作り変えることで、個々のジャンルよりはるかに優れたサウンドを作り上げた。
64位: マウンテン『Climbing! (勝利への登攀)』
ハード・ロック・バンド、マウンテンのデビュー・アルバム。「Mississippi Queen」、「Never In My Life (君がすべて)」といったヒット曲を含む本作には、ブルースやサイケデリック・ロックの影響が色濃い70年代初頭のサウンドが見事に凝縮されている。
63位: マール・ハガード『A Tribute To The Best Damn Fiddle Player In The World (Or, My Salute To Bob Wills) [ボブ・ウィルスに捧げる]』
カントリー・シンガー、マール・ハガードが、”キング・オブ・ウエスタン・スウィング”と呼ばれるボブ・ウィルスに捧げたトリビュート・アルバム。感動的であると同時に聴く者を楽しませるこの作品は、ウエスタン・スウィングというニッチなジャンルへの関心が再び高まる契機となった。
62位: ファラオ・サンダース『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』
ジャズ界の巨匠による、エネルギーに満ちた一作。アフリカ音楽、ラテン音楽、R&B、スピリチュアル・ジャズといったジャンルの要素を取り込んだ本作では、素晴らしいパーカッションとメロディーを堪能することができる。
61位: リンゴ・スター『Sentimental Journey (スタンダード・コレクション)』
ビートルズの元メンバーによるソロ・デビュー作。幼少期にリンゴが家で耳にしていた音楽に着想を得たという本作は、家族や故郷、子ども時代といったものへの想いがぎししり詰まった温もりのある作品だ。
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60位: スタンリー・タレンタイン『Sugar』
ジョージ・ベンソン、ロニー・リストン・スミス、ロン・カーターなどスターたちが顔を揃えた、ジャズ・サックス奏者の1970年作。ソウルフルで、ファンキーで、非常に生き生きとしたアルバムである。
59位: タミー・ワイネット『Tammy’s Touch』
カントリー界の女王による7作目のスタジオ・アルバム。「He Loves Me All The Way」や「I’ll See Him Through」等のヒット曲を収めた本作には、飾り気のないサウンドのバラードと華やかなカントリー・ポップ・ナンバーが絶妙なバランスで配されている。
58位: オノ・ヨーコ『Yoko Ono / Plastic Ono Band (ヨーコの心/プラスティック・オノ・バンド)』
前衛芸術家のオノ・ヨーコによるデビュー・アルバム。長尺の即興演奏で構成されるこの作品は、勇気溢れる後進のアーティストたちに影響を与えた。
57位: タンジェリン・ドリーム『Electronic Meditation (瞑想の河に伏して)』
電子音楽の草分け的グループのデビュー作。エドガー・フローゼがテープを用いて行った実験やミュージック・コンクレートの手法によって、当時としてはほかに類を見ない音世界を構築したアルバムである。
56位: クラフトワーク『Kraftwerk』
伝説的なグループのデビュー作である『Kraftwerk』は、のちに彼らの名を広めることとなる未来的なサウンドとは大きく異なる内容だった。ともあれ本作が、電子音楽とサイケデリック・ロックとノイズを巧みに組み合わせた秀作であることに変わりはない。
55位: ムーディー・ブルース『A Question Of Balance』
イギリス出身のムーディー・ブルースは本作で、ライヴでの演奏に適したサウンドを追求。結果として彼らはそれまでのサイケデリック路線を捨て、よりシンプルなサウンドを志向した。そしてこの方針転換は見事に成功し、グループはスタジオの魔術師からハード・ロック界の旗手へと変貌を遂げたのである。
54位: マザーズ・オブ・インヴェンション『Burnt Weeny Sandwich』
終始一貫して冒険心に満ち溢れていたフランク・ザッパが、マザーズの面々を率いて制作した1970年作。50年代のポップからクラシックまでさまざまな音楽をユーモアたっぷりに再解釈した本作は、ジャンルの垣根を越えた型破りなアルバムである。
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53位: フランク・シナトラ『Watertown (A Love Story)』
シナトラ史上もっとも野心的な作品といえるであろう1970年のコンセプト・アルバム。ここでは、失恋による苦しみや戸惑いが恋人に捨てられた男の視点から描かれている。
52位: レッド・ツェッペリン『Led Zeppelin III』
イギリス出身のレッド・ツェッペリンはヘヴィなブルース・ロックを鳴らすことで知られていたが、このアルバムではフォーク・ロック路線に転換。結果的に本作は、彼らが激しさを抑えたとしても素晴らしい音楽を作り出せることを明らかにしている。
51位: キング・クリムゾン『In The Wake Of Poseidon (ポセイドンのめざめ)』
ロック・バンド、キング・クリムゾンの2ndアルバム。「The Devil’s Triangle」、「Cadence And Cascade (ケイデンスとカスケイド)」などの楽曲が収録された本作では、メロトロンが効果的に使用されている。
50位: ジョアン・ドナート『A Bad Donato』
ブラジル出身のドナートがロサンゼルスでレコーディングした1970年のアルバム。ブラジリアン・ポップとジャズ、ファンク、ロックを融合させた本作は、刺激的な音楽体験を提供してくれる。
49位: ジョルジ・ベン『Fôrça Bruta』
こちらもブラジル人アーティストによる1970年作。そのタイトルは”暴力”や”力づく”といった意味だが、蓋を開けてみるとサンバの柔らかな側面を引き出す繊細なサウンドが繰り広げられる。
48位: ニック・ドレイク『Bryter Layter』
ドレイクの2ndアルバムにして、流麗な演奏やソフトな歌声をフィーチャーした明るく温かな作品。そのサウンドが、しばしば悲しい現実を突き付けてくる歌詞をうまく中和してくれるのだ。
47位: ピンク・フロイド『Atom Heart Mother (原子心母)』
英国のロック・バンドであるピンク・フロイドは、本作であらゆる固定観念を打ち破ってみせた。彼らは風変わりで驚きに満ちたサイケデリック・サウンドに傾倒し、23分間のオープニング・ナンバーをはじめとする長尺の演奏に耽溺したのである。
46位: ランディ・ニューマン『12 Songs』
「Have You Seen My Baby?」や「Mama Told Me Not To Come」など、ファンのあいだでの人気が高い楽曲を収録したニューマンの1970年のアルバム。痛烈な皮肉と楽曲の完成度の高さを堪能できる作品だ。
45位: スティーヴィー・ワンダー『Signed, Sealed & Delivered (涙をとどけて)』
このアルバムは確かに、彼がのちに社会意識の高い楽曲を数多く発表することを予感させる作品でもある。だが何より、スティーヴィーがモータウンから発表した本作には、象徴的な同レーベルの美点が凝縮されている――つまりこのアルバムは、最高にキャッチーでソウルフルなポップ・ミュージックが満載の一作なのである。
*関連記事:「Signed, Sealed, Delivered I’m Yours(涙をとどけて)」解説
44位: シド・バレット『The Madcap Laughs (帽子が笑う…不気味に)』
バレットがピンク・フロイドを脱退して初めて発表したソロ・アルバムは、彼が精神的に不安定であるという評判を逆手に取った一作だった。本作はリスナーの予想を見事に覆し、彼がシンガー・ソングライターとして最高の状態にあることを示したのである。
43位: チン・マイア『Tim Maia』
マイアによるセルフ・タイトルのデビュー作は、ブラジルで大ヒットを記録している。それがこの『Tim Maia』で、ここには「Azul da Cor do Mar」、「Coroné Antônio Bento」、「Primavera」などの人気ナンバーも収められている。
42位: U・ロイ『Version Galore』
ジャマイカの伝説的なレゲエDJによる1970年のアルバム。彼がロックステディの名曲に合わせてトースティングを披露する本作は、のちのヒップホップにおけるラップの基礎を築いた。
41位: ディープ・パープル『Deep Purple In Rock』
不朽の名曲「Child In Time」を含む、ディープ・パープルの1970年作。グループ黄金期のメンバーが顔を揃え、彼ら独自の壮大なヘヴィ・メタル・サウンドを完成させたアルバムである。
40位: ビーチ・ボーイズ『Sunflower』
数多くの作品を生み出してきたビーチ・ボーイズの面々は、このアルバムで初期の諸作を思わせる優美なメロディーや劇的なアレンジに回帰した。そんな本作はまた、彼らが一人一人の力を結集させて作り上げた作品としても知られている。
*関連記事:商業的に最も失敗するも再評価著しい『Sunflower』
39位: ドアーズ『Morrison Hotel』
ロック・バンドのドアーズが1970年に発表したアルバム。ファンに愛される名曲「Roadhouse Blues」を含む本作は、彼らが初期のようなR&B/ブルースに立ち返った作品であり、今なおグループ屈指の人気作の一つに数えらえれている。
38位: ゲス・フー『American Woman』
カナダのロック・バンドであるゲス・フーの1970年作は、ヒットを記録したタイトル・トラックを収録していることもあり、グループ最大のヒット作となった。また、ハード・ロック、プログレ、バラードなどさまざまなサウンドを内包した本作には、彼らの音楽的な幅の広さが表れている。
37位: ジャクソン5『ABC』
言わずと知れたファミリー・グループの2ndアルバム。「ABC」、「La-La (Means I Love You) [ララは愛の言葉]」、「The Love You Save (小さな経験)」といった不朽の名曲が収録された本作で、彼らは全国的な人気アーティストになったのである。
36位: ソフト・マシーン『Third (3)』
ロック・バンドのソフト・マシーンによる3作目のスタジオ・アルバムにして、電子音楽やジャズの要素を取り入れることでロックというジャンルの可能性を広げた一作。1970年代の諸作にあっても指折りの、きわめて刺激的なアルバムである。
35位: ポール・マッカートニー『McCartney』
ザ・ビートルズの解散発表と同時にリリースされた (本作が解散のきっかけになったともいえる) ことで、マッカートニーのソロ・デビュー作は物議を醸すこととなった。他方、そうした騒動はあったものの、アルバムそのものは宅録の音源や小品を纏めた素晴らしい一作だった。『McCartney』は、彼がこののちにソロとして大成功を収めることを予感させる作品となったのである。
*関連記事:ソロデビュー『McCartney』の内容とビートルズの解散
34位: ブッカー・T&ザ・MG’s『McLemore Avenue』
ブッカー・Tがザ・ビートルズの『Abbey Road』にオマージュを捧げたアルバム。彼らはビートルズの音楽をテネシー州メンフィス流にアレンジし、本家のメロディーを思いがけないほどファンキーで刺激的な領域へと持ち込んだのである。
*関連記事:『Abbey Road』への究極のトリビュート作
33位: キャット・スティーヴンス『Mona Bone Jakon』
かつて10代のポップ・スターだった彼は、1970年に発表した本作でその音楽性を転換。抑制の効いた内省的な作風を志向するようになった。その結果、自分の進むべき道を模索する青年の胸の内を表現した、新鮮で人間味溢れるこのアルバムが完成したのである。
32位: ジミ・ヘンドリックス『Band Of Gypsys』
ヘンドリックスが自身のグループであるエクスペリエンスの解散後に初めて発表したライヴ・アルバム。彼が聴いたこともないような音をギターから繰り出す衝撃的な一曲「Machine Gun」を含む本作の演奏は、テープに収められた彼のパフォーマンスの中でも屈指の仕上がりである。
31位: クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング『Déjà Vu』
ニール・ヤングがグループに加わってから初めて制作されたアルバム。もともと前評判は高かったが、記憶に残るメロディーや驚異的なギター・ワークを堪能できる本作は、あらゆる期待を超える傑作だった。
30位: クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル『Cosmo’s Factory』
「Lookin’ Out My Back Door」や「Run Through The Jungle (ジャングルを越えて)」といったヒット曲を含む、スワンプ・ロックの名作。11分に及ぶ「I Heard It Through The Grapevine (悲しいうわさ) 」をはじめとする素晴らしいカヴァー曲の数々については敢えて説明するまでもないだろう。
29位: ジョー・マクフィー『Nation Time』
サックス奏者のジョー・マクフィーによるライヴ・アルバム。フリー・ジャズの歴史を見せつけるような長大な演奏が繰り広げられるこの『Nation Time』で、マクフィーは同ジャンルの最前線に躍り出た。
28位: ザ・キンクス『Lola Versus Powerman And The Moneygoround, Part One (ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組第一回戦)』
レイ・デイヴィスが音楽産業を痛烈に批判した本作は、強い情熱と卓越した技術をもって制作されている。それでいて、制御できない怒りやサウンドの過剰な作り込みによって作品を台無しにするような事態にも陥っていないのだ。
27位: ヴァン・モリソン『Moondance』
北アイルランド出身のシンガーが1970年に発表した傑作アルバム。抑制の効いた美しい演奏を全編に亘って堪能できる本作は、彼に商業面な成功をもたらす一作にもなっている。
26位: グレイトフル・デッド『Workingman’s Dead』
ベイエリア出身のグレイトフル・デッドは、1970年にリリースしたこのアルバムで以前の実験的な作風から距離を置き、原点に回帰。装飾を排したアレンジでルーツ・ミュージック、アメリカーナ、フォークなどのジャンルの可能性を探求したのである。
25位: エディ・パルミエリ『Superimposition』
ピアニスト/バンドリーダーのパルミエリによる12作目のスタジオ・アルバムにして、ラテン系のダンス・ミュージックを実験的な新次元へと到達させた一作。彼は対位法や和声法を駆使することで、考えさせられると同時に踊りたくもなるような音楽を作り上げた。
24位: エルトン・ジョン『Tumbleweed Connection (エルトン・ジョン3)』
多作なシンガーである彼が1970年に発表したのは、アメリカーナやザ・バンドのカントリー・ロック・サウンドに影響を受けたアルバムだった。それぞれが作曲と作詞を担うチームであるエルトン・ジョンとバーニー・トーピンは、本作でようやく全国的な成功を手にした。
*関連記事:エルトン・ジョンによる見事なまでに圧倒的なアルバム
23位: フレディ・ハバード『Red Clay』
ジャズ・トランペッターのフレディ・ハバードによる1970年のアルバム。ハード・バップ特有のエッジと、フュージョン特有のグルーヴ、そしてジャズ特有のソウルの融合により、分類不能な素晴らしいサウンドの傑作が完成した。
22位: ジェームス・テイラー『Sweet Baby James』
紛れも無い名曲である「Fire And Rain」を含む、テイラーの2作目のスタジオ・アルバム。そこには、彼がこれほどまでに愛されるアーティストとなった理由――抑制の効いたヴォーカル、率直かつ内省的な歌詞、庶民たちの代弁者に求められる魂――がすべて詰まっているのである。
21位: ジェームス・ブラウン『Sex Machine』
ブーツィー・コリンズ、クライド・スタブルフィールド、メイシオ・パーカーなど目を見張るような顔ぶれがバックを務めたブラウンのライヴ・アルバム。彼が史上屈指の偉大なパフォーマーであることは本作からも明らかである。
20位: ニール・ヤング『After The Gold Rush』
このアルバムでヤングはカントリー・ロックへと路線変更し、以前からのファンを驚かせた。だがその試みは大きな成功に繋がり、本作からは「Southern Man」など彼のキャリア屈指に長く愛され続ける楽曲も生まれた。
19位: サンタナ『Abraxas (天の守護神)』
ラテン・ロック界の象徴といえるアーティストが、初めて全米チャートの首位を獲得した一作。ジャンルの純粋性よりも実験性を優先する賢明な判断をしたことで、ロック、ジャズ、ラテン系のダンス・ミュージックが完璧に融合したアルバムが出来上がった。
18位: サイモン&ガーファンクル『Bridge Over Troubled Water (明日に架ける橋)』
大物フォーク・デュオのラスト・アルバム。いまなお愛されるタイトル・トラックを収めた本作は、数年ものあいだチャートにとどまり続けるほどの大ヒットを記録した。
17位: アリス・コルトレーン『Journey In Satchidananda』
スピリチュアル・ジャズ界の巨匠が、ヒンドゥー教の教えからコンセプト面での着想を、モード・ジャズやアヴァンギャルド・ジャズからサウンド面での着想を得た一作。それらのニッチなジャンルにおける重要作と評価されている。
16位: グレイトフル・デッド『American Beauty』
謎めいたこのグループは、ライヴ・ステージで発揮する並外れたエネルギーをアルバムになかなか落とし込めないと言われてきた。本作はその数少ない例外であり、彼らのスタジオ・アルバムの中でも屈指の完成度を誇る傑作と広く認められている。
15位: テンプテーションズ『Psychedelic Shack』
ソウル界のスーパースターである彼らは、1970年にファンキーなサイケデリック・ロック・アルバムを発表してファンを驚かせた。だがリスクを負った甲斐は十分にあった。本作は、モータウンの功労者である彼らの驚くべき多才ぶりを示す一作となったのである。
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14位: ヴェルヴェット・アンダーグラウンド『Loaded』
ルー・リード率いるこのグループは、4作目のスタジオ・アルバムとなる本作で敢えてポップ・ミュージック寄りの音楽を披露し、”売れ線”を意識した路線へと転換した。だが1970年発表の『Loaded』はメインストリーム嫌いのファンに敬遠されるどころか、グループ屈指の名盤と評価されているのである。
13位: ザ・ビートルズ『Let It Be』
ロック界を代表するバンドの1970年のアルバムは、有名なタイトル・トラックを筆頭に、長い歳月を経たいまも魅力の薄れない楽曲揃いだ。また、グループとしての最後のリリースになった本作は、一時代の終焉を告げるアルバムでもあった。
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12位: デルフォニックス『The Delfonics』
フィラデルフィア・ソウルの大物グループによる4作目のスタジオ・アルバム。「Didn’t I (Blow Your Mind This Time) 」、「Over & Over」など5曲のヒット・シングルが生まれたこともあり、本作は大きな成功を収めた。
11位: ブラック・サバス『Paranoid』
ヘヴィ・メタル・バンドである彼らの2ndアルバム『Paranoid』では、全編に亘り緊張と緩和が繰り返される。同ジャンルの模範となった本作で、彼らはシーンの牽引役に躍り出たのである。
10位: ジョニ・ミッチェル『Ladies Of The Canyon』
ラジオで頻繁にプレイされた「Big Yellow Taxi」を含む本作で、ミッチェルは自らのサウンドの幅を広げた。そして彼女が本作に取り入れたジャズの要素や表現力豊かなヴォーカルには、のちの作品でさらに磨きがかかることとなる。
9位: ザ・フー『Live At Leeds』
英国の有名グループによるキャリア初のライヴ・アルバムは、リリースからの数十年で偉大な一作とみなされるようになった。エネルギー、ショーマンシップ、そして名状しがたい魔力に満ちた本作は、史上屈指の名作ライヴ・アルバムと呼ぶに相応しい。
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8位: デレク&ザ・ドミノス『Layla And Other Assorted Love Songs (いとしのレイラ)』
このグループはエリック・クラプトンのサイド・プロジェクトであったにもかかわらず、彼のキャリアの最高傑作と評されるアルバムを生んだ。ファンに愛され続ける「Layla (いとしのレイラ) 」を含む本作では、恋愛の浮き沈みについて非常に個人的で情熱的な考察が展開される。
7位: ファンカデリック『Funkadelic (ファースト・アルバム)』
R&Bやソウルを決まりきった型から解き放つことで音楽の新たな表現方法を生み出した、有名グループのデビュー作。本作はまた、愛を交わす際の音楽としてファンクが定着するきっかけにもなった。
6位: カーティス・メイフィールド『Curtis』
多大な影響力を誇るシンガーが濃密なソウル・サウンドを構築したデビュー作。メイフィールドは管弦楽からロックまで実に幅広いサウンドを、社会意識が高く統一感のある一つのアルバムに落とし込んだのである。
5位: ジョージ・ハリスン『All Things Must Pass』
ロック界の大物がビートルズの解散を経て初めてリリースしたソロ・アルバム。美しい名曲「My Sweet Lord」を含む本作は、彼の輝かしいソロ・キャリアの基礎を築いた。
4位: ジョン・レノン『Plastic Ono Band (ジョンの魂)』
レノンがビートルズの解散後最初にリリースしたこのソロ・アルバムは、ポップ・ミュージックのあり方を一変させた。口にするのも憚られるような現実を赤裸々に歌った本作は、どん底に落ちているときでも私たちの声が聞き入れられるべきであることを示したのだ。
3位: マイルス・デイヴィス『Bitches Brew』
マイルス・デイヴィスの音楽を一切聴いたことがない人でも、おそらくこのアルバムの存在は知っているだろう。そして、それには相応の理由がある。1970年の作品にもかかわらず現在も未来的な響きのする本作は、ジャズ界のみならずファンク界やロック界にも大きな影響を与えたのだ。
2位: ストゥージズ『Fun House』
ストゥージズの面々はこの2ndアルバムを録音する際、緻密さを捨ててありったけの力で演奏した。その結果、抑制の効かないイギー・ポップの魔力が見事に凝縮されたグループの代表作が誕生したのである。
1位: ザ・ローリング・ストーンズ『Get Yer Ya-Ya’s Out!』
ストーンズが世界屈指の偉大なロック・バンドという評価を確立するきっかけになった有名ライヴ・アルバム。スタジオ音源より粗削りではあるが、本作にこもった溢れんばかりのエネルギーはほかでは決して味わうことができない。
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Written By Sam Armstrong
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