ザ・フーの欠かせないライヴ・アンセム「Won’t Get Fooled Again」
ザ・フーの最高傑作との呼び声も高いアルバム『Who’s Next』だが、その先行シングルとして「Won’t Get Fooled Again(邦題:無法の世界)」がイギリスでリリースされた日である1971年6月25日は、ザ・フーにとって忘れ難い最高の一日になった。ロック界屈指のアンセムの一つであるこの曲の魅力は、今なお全く色褪せていない。
曲はもちろんピート・タウンゼントが担当。そしてプロデュースをバンドとグリン・ジョンズが共同で手がけたこのシングルはアルバム『Who’s Next』のラストに収録されている8分半に及ぶアルバム・ヴァージョンをラジオ向けに3分35秒にエディットしたもので、イギリスのシングル・チャートで9位を記録した。これは彼らがイギリスでトップ10に送り込んだ合計14曲の中うちの10曲目のヒット曲に当たり、アメリカの『ビルボード』のHOT100でも最高位15位をマークした。
ロック評論家のデイヴ・マーシュは、アルバムがリリースされた際、音楽雑誌”Cream”に以下のような論評を寄せている。「これはザ・フーによる久方ぶりの超弩級のロック・ナンバーだ。彼らの固有の魅力を伝える楽曲としては“Pinball Wizard(ピンボールの魔術師)”以来、もしくは“Magic Bus”以来の1曲かもしれない」。
この曲が初めてステージで披露されたのは、ザ・フーが、ヤング・ヴィク・シアターで”ワークショップ”的なステージを披露した時で、当時、ピート・タウンゼントは未完に終わったプロジェクト『Lifehouse』に取り組んでいた。その後、「Won’t Get Fooled Again」はザ・フーを代表するロック・アンセムの一つになり、”Live Aid”や”Live 8″といったイベント、アメリカ同時多発テロ事件を受けて開催された”Concert For New York City”のステージでも演奏。現在もなおグループのセット・リストに欠かせない極め付きの1曲になっている。『The Who Hits 50!』のリリースに際して行われたツアーの最後のステージを締め括ったのもこの曲。また2017年春に行われた短期ツアー『Tommy & More』のセット・リストの終盤で満を持して演奏されたのも、この「Won’t Get Fooled Again」である。
Written By Paul Sexton
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「Won’t Get Fooled Again」(『Who’s Next』)
ザ・フー『WHO』
2019年12月6日発売
CD / iTunes