名曲が散りばめられたウィングスの『London Town』
1977年にポール・マッカートニー&ウイングスが発売して前例のない大ヒットを記録したシングル「Mull Of Kintyre(邦題:夢の旅人)」に続く作品となれば、たとえポール・マッカートニー&ウイングスが何を繰り出したとしても影が薄くなってしまうのは仕方のない話だったかもしれない。しかし、晩年期のウイングスが70年代の締めくくろうとリリースしたアルバム『London Town』には実は優れた作品が散りばめられており、その中の1曲は1978年9月9日に全米シングル・チャートに登場している。
ウイングスのアルバムとして最後から2番目に当たるアルバム『London Town』がリリースされた時点で、バンドはポール・マッカートニーとリンダ、そして長年行動を共にしてきたデニー・レインという中心メンバーだけの編成になっていた。ギタリストのジミー・マッカロックとドラムのジョー・イングリッシュの二人はレコーディングには参加していたものの、リリース前に脱退していたのだ。それでもアルバム『London Town』はアメリカとオランダでプラチナム・ディスクを、そしてイギリス、ドイツ、フランスではゴールド・ディスクを獲得している。
アルバムのリリースは1978年3月で、アルバムを代表するシングル、「With A Little Luck(邦題:しあわせの予感)」がリリースされた直後だった。このシングルは1位を記録したアメリカをはじめとして各国で大ヒットした。続いてリリースされたものの「With A Little Luck」には及ばなかった「I’ve Had Enough(邦題:別れの時)」の後を受けて出されたのが、アルバム・タイトル・トラック「London Town」だ。ポール・マッカートニーとデニー・レインの共作になる、イギリスの首都ロンドンをテーマにしたレイドバックした1曲で、ハーモニーが実に素晴らしい。
この曲はイギリスではわずかに60位止まりであったが、アメリカでは1978年9月9日に75位でチャート入りして以降順調に推移、数週間後の10月に39位にまで上昇した。ウイングス晩年の名曲と言っていいだろう。バンドはこの翌年にラスト・アルバムとなる『Back To The Egg』をリリースすることになる。
Written by Paul Sexton
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ポール・マッカートニー&ウイングス『London Town』
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