ザ・フー史上たった1週間のチャート1位:1971年発売のアルバム『Who’s Next』
ザ・フーがデビュー以来、全英チャートの1位の座に着いた期間は何週間あったと思われるだろうか? その答えは驚くなかれ、わずかに1週間である。その1週間とは、1971年9月18日、ピート、ロジャー、ジョン、そしてキースの4名の傑作アルバム『Who’s Next』によって1位を飾った時だ。
長らく1位の座を独占していたサイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water(邦題:明日に架ける橋)』のすぐ下にチャート・インした『Who’s Next』は、2週目に入って彼らに取って代わり、その1週間後にディープ・パープルの『Fireball』にその座を明け渡したのだった。
グリン・ジョンズとバンドとの共同プロデュースによる『Who’s Next』は、アメリカでも彼らにとって最も成功を収めたアルバムになった。全米チャートにランキングされていた41週間の中で、前作の『Tommy』と同じく最高4位を記録し、トリプル・プラチナム(300万枚)を獲得している。ちなみに、1973年リリースの『Quadrophenia(邦題:四重人格)』は、最高2位にまで上昇したもののシングル・プラチナム認定(100万枚)しか獲得していない。
「Baba O’Riley」で始まり、ザ・フー不朽のクラシックと呼べる「Bargain」や「Behind Blue Eyes」、そして威厳に満ちたスケール感のある「The Song Is Over」などを挟み「Won’t Get Fooled Again(邦題:無法の世界)」で幕を下ろすこの『Who’s Next』を、ザ・フー史上最高の時間だと言う者は多い。
1971年12月のBeat Instrumental誌上でのスティーヴ・ターナーとのインタビューで、ピートは次のように語っている。「ロックには3分15秒以上の何かができるはずだっていう思いがいつもあったんだ。とは言っても、じゃあ尺が伸びたところで具体的に何ができるかとなるとそれが疑問なんだけどね」。彼はこう続ける「アルバムにしてもライヴにしてもそうだけど、流れが読めてしまうのが今のザ・フーの悩みどころなんだ。ロックの定番化した形式とは違う、新しい切り口を見つけたいという思いがある。しかもロックの根源にあるシンプルさというのは失くさずに。自分の今の原動力になっているのは、そういう自分達の足枷からグループをどう自由にできるかという点だね」
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