ザ・フーのあまり知られていない全英No.1とは?

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輝かしい歩みを続けるザ・フーが未だに手にしていないもののひとつとしてよく知られているのが全英シングル・チャート1位だ。だが、一部の比較的新しい彼らのファンは知らないかもしれないが、実は1位になった作品がひとつあるのだ。1966年12月17日、彼らは『Ready Steady Who』と題する5曲入り作品で、自国イギリスの”EP”チャートの1位に輝いていたのだ。

11月にリリースされたこのEPは、彼らのセカンド・アルバム『A Quick One』とこのアルバム未収録のシングル「Happy Jack」の発売に先行して発売されたものだ。リアクション・レコードからリリースされた『Ready Steady Who』は、当時ザ・フーが人気音楽番組『Ready Steady Go』の特番に出演した際の宣伝効果を最大限活用するために制作されたもので、実際に収録された音源は出演時のものではなく、直後にスタジオで再録音されたヴァージョンだった。

シングルやアルバム制作時の制約を受けずに済むEP盤は、バンドが実験的なことや息抜きに楽しむのに都合がよかった。ザ・フーにとってもそれは全く同じことで、彼らはテレビ番組のテーマ曲のリメイクやビーチ・ボーイズ作品のカヴァーなどを披露している。

A面にはピート・タウンゼントに手による新曲「Disguises」と「Circles」の2曲が収められ、B面には当時人気だったアメリカのテレビ・シリーズ『Batman』のニール・ヘフティ作のテーマ曲や、ジャン&ディーンの「Bucket T」、そしてザ・リージェンツがオリジナルの「Barbara Ann」等のカヴァーが収録されていた。「Barbara Ann」はオリジナルのものよりもビーチ・ボーイズのヴァージョンがザ・フーやイギリスでの彼らのファン達に知られていた楽曲だ。

ザ・フーのレコードは11月終盤にトップ・テン・リストだったEPチャートの7位にエントリーした。ちなみにその時、ビーチ・ボーイズが『Hits』で1位、そして『God Only Knows』で3位にもランクインしていたのが面白い。ザ・フーはその後3位、2位と順位を上げていき、そして49年前の今日、興味深い作品が並ぶチャートの1位を飾ったのだった。

チャートには、その死後にリリースされたジム・リーヴスの『A Christmas Card From Jim』や変り種一発屋のシンギング・ポストマンの『First Delivery』、そしてイギリスのきわめて有名インストゥルメンタル・グループ、ザ・シャドウズの『Thunderbirds Are Go』等が並んでいる。ザ・シャドウズの作品は、ジェリー・アンダーソンが手がけるアドベンチャー人形劇シリーズ『Thunderbirds』にグループのマリオネットがフィーチャーされたことを受けて制作されたものだが、それにしてもザ・シャドウズのパペットといいザ・フーのバットマンといい、1966年のイギリスのポップ・シーンはなんでもありだ。

廃盤になってしまったザ・フーのEP『Ready Steady Who』に収録の5曲のうち4曲は、リマスター・ヴァージョンの『A Quick One』に収録されており、現在ではSpotifyでも聴くことができる。

Written by Paul Sexton



ザ・フー『A Quick One』

   


ザ・フー『WHO』
2019年12月6日発売
CD / iTunes


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