ザ・フーの唯一の全米トップ10ヒット「I Can See For Miles」は、大爆破の影響でうまれた

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ザ・フーは、ステージにおいてもスタジオにおいてもイギリスが最も誇るバンドのひとつなのだが、大西洋を渡ったアメリカのシングル・チャートではその魅力が十分に反映されていない。例を挙げれば、1960年代にイギリスでは、彼らのシングルは14曲がチャート入りしたが、アメリカではわずかに9曲、しかもトップ10圏内には1曲しか入っていない。では今から約50年前の1967年10月14日に全米トップ10の仲間入りを果たしたザ・フーの曲とは? 答は「I Can See For Miles(邦題:恋のマジック・アイ)」である。

この曲はアメリカのヒット・チャートに72位でランクインを果たし、本国イギリスでの10位を上回る9位で11月終盤から12月前半にかけての2週間を過ごした。アメリカでひとつ前にリリースされたシングル「Pictures Of Lily(邦題:リリーのおもかげ)」の51位からの大躍進だった。

1967年9月30日付のBillboard誌によれば、「I Can See For Miles」はデッカが発売前に大量の枚数をプレスしたレコードの中でも最大のものだったらしいということを伝えている。というのも。スマザーズ・ブラザーズによるCBSネットワークのテレビ番組にザ・フーが出演した際、ピートがギターを破壊し、ドラマーのキース・ムーンがドラムに仕込んだ火薬が大爆発し、大きな話題となったのだ。この話題に乗る機会を逃してなるものかと、猛ラッシュでシングルがリリースされたのだ。

ザ・フーの「I Can See For Mile」は全米シングル・チャート72位に登場し、その後はチャートの順位を上げ、11月18日にはトップ10入りを果たし、その翌週もトップ10内にとどまり、2週間9位をキープした。そして、Billboardの年末号では、その年のヒット・シングルの96位にチャート・イン。また、2004年のローリング・ストーン誌、史上最高の楽曲500リストで、「I Can See For Mile」は258位を獲得している。

この物語のもっとも注目すべき点は、その後ザ・フーが全米シングル・チャートでトップ10入りを果たすことがなかったことである。トップ10に一番近づいたのは、イギリスではチャート・レコードとならなかった「See Me Feel Me」で、1970年に獲得した12位である。「I Can See For Mile」が唯一の全米トップ10ヒットだったのだ。

Written by Paul Sexton



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