ディズニー映画『ピノキオ』の名曲「星に願いを」はいかにして世界を繋ぐ架け橋となったのか
ディズニーの名曲といえば、「星に願いを」(原題:When You Wish Upon a Star)が真っ先に思い浮かぶ方も多いはずだ。1940年に公開されたディズニーのアニメーション映画『ピノキオ』のために、リー・ハーラインが作曲を、ネッド・ワシントンが作詞を担当し生み出された名曲である。この曲を最初のレコーディングしたのは、同映画の中でジミニー・クリケット(旅人のコオロギ)の声を演じたクリフ・エドワーズだった。
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その後も、1950年代から60年代にかけては、ウォルト・ディズニー・アンソロジー・テレビシリーズのオープニングに起用されるなど、ディズニーの歴史を通して様々な場面で使われてきたこの曲のレガシーは測り知れない。現在では、世界中のディズニー・テーマパークで、パレードや花火大会、特別イベントなどで使用されている他、ディズニー・クルーズラインの船でも、この曲の最初の7音が出港時の汽笛で再現されるなど、今やディズニーの非公式テーマソングと言っても過言ではないだろう。
比較的シンプルな曲調で、子供が初めて夜空に見た流れ星に願いをかけるという有名な習わしについて歌っているこの曲は、映画『ピノキオ』の中で、本物の人間になることを夢見る木製のあやつり人形の物語に生き生きとした描写をもたらしている。一方で、ネット・ワシントンが書いたこの曲の有名な歌詞、「星に願いをかけるとき/君が誰かは関係ない/君が心から願えば/きっと叶うだろう」に込められたメッセージには、誰もが共感できるはずだ。
映画『ピノキオ』は、ディズニーにとって2作目の長編アニメーション作品だったが、予想に反して興行成績は振るわなかった(第二次世界大戦の影響で、ヨーロッパでの配給が行き届かなかったことが要因とも言われている)。ただ、当時から批評家や業界内での評価は高く、1940年のアカデミー賞では、「星に願いを」が“歌曲賞”を受賞し、曲を手掛けたリー・ハーラインとネッド・ワシントンも“作曲賞”に輝いた。その後、1945年にディズニーがこの映画を再公開すると、たちまちディズニー・ファンの間で不動の人気を獲得する。
「星に願いを」は、文字どおり歴史に名を刻んだ作品でもある。2009年、米国議会図書館は、この曲を“文化的、歴史的、美学的に重要”な録音物とみなし、国家保存重要録音物登録簿に登録した。さらに、オリジナルの楽譜は現在、国立アメリカ歴史博物館に展示されており、アメリカ映画協会が2004年に発表した“映画史に残る名曲100選”では7位にランクインしている。
メアリー・J. ブライジ、バーブラ・ストライサンド、ルイ・アームストロング、エディ・フィッシャー、リンダ・ロンシュタット、ダイアナ・ロス、オリビア・ニュートン=ジョン、イディナ・メンゼルなど、これまで数えきれないほどのアーティストによってカヴァーされてきた「星に願いを」は、世代と国境を超えたリスナーに親しまれてきた。イスラエルで生まれ育ったKISSのジーン・シモンズは、過去のケラング!誌のインタビューの中でこう語っていた。
「(当時)英語はほとんど話せなかったが…(この曲の)歌詞が真実であることはわかっていた。誰だって自分が望むものを手に入れられるし、世界と人生は誰にでもその報いを与えてくれるんだ」
ユタ歴史季刊誌は、かつてニール・ダイアモンドの言葉を引用し、「この映画は、子供の頃の私に本当に深い印象を残した。私にとって、それは私自身の物語であり、自分自身を見つけ、大人の人間、本物の男になろうとするひとりの少年の物語だったのだ」と記した。さらに、「星に願いを」について尋ねられた彼は、「誰もジミニー・クリケットのヴァージョンは超えられないだろう…昆虫(それもアニメの昆虫)の二番煎じは遠慮しておくよ」と答えている。
多くのアーティストたちが独自のアレンジでカヴァーしてきた「星に願いを」だが、スウェーデン、ノルウェー、デンマークは、真の意味でこの曲に新たな生命を吹き込んだ。これらの国々では、曲のメロディやコンセプトはそのままに、それぞれの言語で“ベツレヘムの星(クリスマスツリーのいちばん上に輝く、ひときわ大きな星のオーナメント)”にちなんだ歌詞をつけたクリスマス・ソングへと生まれ変わらせたのだ。こうして「星に願いを」は歴史を刻み、世代、言語、そして世界を繋ぐ架け橋となっていった。
Written By Jacklyn Krol
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