9年ぶり7枚目、ロバート・プラント2002年の隠れた名作『Dreamland』
ロバート・プラントのアルバム『Dreamland』は、2002年7月6日に全英チャートに初登場した。これはロバート・プラントの通算7枚目のソロ・アルバムにあたり、前の6枚目から9年ぶりとなる久々のソロ作だった。またこのアルバムは彼の新バンド、ストレンジ・センセーションのデビュー作にもなっていた。
1993年の『Fate Of Nations』から2002年の『Dreamland』までの間に、ロバート・プラントはレッド・ツェッペリン時代の仲間ジミー・ペイジと組んでスタジオ・アルバムを録音していた。そのアルバム『Walking Into Clarksdale』はイギリスでアルバム・チャートのトップ3に入り、アメリカではゴールド・ディスクに認定されている。しかしプラントは『Dreamland』でソロ活動を再開。新たに組んだバンド、ストレンジ・センセーションには、ジャスティン・アダムス(元ザ・キュアーのギタリスト。ジャー・ウォブルやポール・トンプソンとの共演で有名)も参加していた。
ここでロバート・プラントはブルースやフォークといったルーツ・サウンドを再び取り上げると共に、自ら手がけた新曲も披露している。彼の新曲は『Dreamland』の通常盤には3曲、またイギリス盤と日本盤にはさらに1曲ボーナス・トラックとして収められていた。その他の収録曲の多くは、ロバート・プラントのお気に入りアーティストのカヴァーとなっている。
そうしたカヴァーの中には、ブルース歌手ブッカ・ホワイトの「Funny In My Mind (I Believe I’m Fixin’ To Die)」やボブ・ディランの「One More Cup of Coffee」が含まれていた。また、ロバート・プラントがレッド・ツェッペリンで頭角を現したのと同じ1960年代末に活躍したアーティストの曲もたくさん取り上げられている。たとえば、ティム・ローズの「Morning Dew」、ティム・バックリィの「Song To The Siren」、ジェシ・コリン・ヤングのヤングブラッズ時代の曲「Darkness, Darkness」、モビー・グレープの「Skip’s Song」(創設メンバーであるスキップ・スペンスの作品)といった具合に。これらはみな、ロバート・プラントならではの独特なカヴァーに仕上がっている。
この『Dreamland』は、ほとんどのレコード評で絶賛されていた。雑誌Qでは、このアルバムを「今でも古びていないことを重ねて主張している驚くべき作品」と評価している。また雑誌Uncutは、「素晴らしいアルバムであり、堂々たる円熟期の教訓である。かつてのロックの神様たちは、みなここから何かを学べるだろう」と表現していた。
意外なことに、レコード購買層はそこまで熱烈な反応は示してくれなかった。『Fate Of Nations』も『Walking Into Clarksdale』も全英チャートのトップ10入りを果たしていたが、『Dreamland』は最高20位止まり。チャート在位期間も4週間に留まった。全米チャートでも在位期間はやはり4週間で、最高順位は40位だった。