マーク・ノップラーの2ndソロ作『Sailing To Philadelphia』:表題曲はトマス・ピンチョンの小説「メイスン&ディクスン」がテーマ
元ダイアー・ストレイツのフロントマン、マーク・ノップラーのソロ・アルバムにはイギリスとアメリカのルーツ・ミュージックを独自につなぎ合わせて優美に作られた曲のみが入っている。そしてマーク・ノップラーのファンの殆どは、2000年9月26日にリリースした彼のセカンド・ソロ・アルバム『Sailing To Philadelphia』の出来に対して、マークがその二つをうまくつなぎ合わせた成功作を創り上げたということに同意するだろう。
セカンド・ソロ・アルバム『Sailing To Philadelphia』は、マーク・ノップラーのソロ名義としてはデビュー作『Golden Heart』から4年間後に発売。その4年の間もマークは『Golden Heart』のプロモーションや映画『メトロランド』と『ワグ・ザ・ドッグ – ウワサの真相』のサントラの制作そしてツアーも行っていた。
アート、特に文学からイスピレーションを得ることにオープンだったマークだが、チャールズ・メイスンとジェレマイア・ディクソンの人生をベースに書かれたトマス・ピンチョンの小説「メイスン&ディクスン」を読み終えるといたく感動し、これをテーマにした楽曲の制作を決意。この小説「メイスン&ディクスン」は、アメリカ南北戦争が起こる約100年前に、天文学者のチャールズ・メイスンと測量技師のジェレマイア・ディクソンが作った「メイスン=ディクソン線」が登場する話で、この線は後にアメリカ合衆国の北部と南部を分ける線、自由の身と奴隷州を分けた象徴的な境界線となった。
「ジェイムスから、いつか自分をプロデュースしてくれないか、って依頼されてたことを思い出したんだ」とマーク・ノップラーは当時語っている。「何度か話をしているうちに、チャールズ・メイスンの役はジェイムスが演じるのが理想的だと感じたんだ。ジェイムスのフォークのバックグラウンドなら上手く演じられるとね」。
「僕が大学生だったころから、彼は僕の人生の一部だった」とヴァン・モリソンの参加についてマーク・ノップラーは語っている。「自分が書いた曲を彼が歌うんだよ。それを聞くのは興奮したね。長年にわたってヴァンの音楽は僕にとって意味のあるものだったからね」。
他に注目すべきところは彼の旧友だったスクイーズのグレン・ティルブルックとクリス・ディフォードが参加した「Silvertown Blues」、シングル曲の「What It Is」、そしてマーク・ノップラーのギターパフォーマンスが特に光る2曲「Speedway At Nazareth」と「Baloney Again」だ。
Written by Paul Sexton
*マーク・ノップラーの公式YouTubeチャンネルでは『Sailing To Philadelphia』を振り返り、当時影響を与えられた人や場所を訪れるドキュメンタリーが公開中。
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マーク・ノップラー『Sailing To Philadelphia』