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U2がApple Musicに語ったコンサートのために設計されたラスベガスの新会場“スフィア”でのライヴ

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YouTube : U2 Tour Sphere in Las Vegas | Apple Music

2023年3月に自身の過去の楽曲を今のアレンジで再録音した新作アルバム『Songs Of Surrender』を発売したU2。そんな彼らは今年秋に、ラスベガスのザ・ベネチアン・リゾート内にオープンする次世代型コンサート会場、“スフィア”のこけら落とし公演、そして自身約4年ぶりとなるコンサートを行うことを発表した。

360度全てがスクリーンになるというこの会場にて、Apple Musicの映像コンテンツ『U2: The Zane Lowe Interview Part2』としてゼイン・ロウがボノとジ・エッジにインタビューを実施。この模様はApple MusicとYouTubeのApple Music公式チャンネルにて公開された。この記事ではそのインタビューの模様の抜粋を公開。

また、新作『Songs Of Surrender』は、U2のアルバムとして初めてApple Musicで空間オーディオとして配信されている。加えてApple Music限定でアルバムのページにメンバーのコメント入りのアルバム解説が掲載されている(*アルバムのApple Musicのページはこちら)。

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【前編】ボノとジ・エッジがApple Musicに語った新作
【後編】ボノとジ・エッジがApple Musicに語った過去,現在,未来

U2 Tour Sphere in Las Vegas | Apple Music

 

コンサートのために設計された新会場

ボノ: これは口先だけの話じゃない。U2はいつだって会場で一番の“ハズレ席”も、一番の“当たり席”にしようと務めている。この会場はそうしたアプローチを一変させることになる。劇場で演奏することもあるけど、音楽イベントの会場はほとんどがスポーツの競技場だ。スタジアムであれアリーナであれ、その類の会場はスポーツ向けに造られている。音楽向け、芸術向けに造られているところは少ないんだ。そんなことを踏まえ、この会場は、観客が映画やパフォーマンスに没入できるように造られた。アイス・ホッケーの試合を観に来るための会場じゃないんだよ。

ジ・エッジ: だから、ここは初めから音響を最優先に設計されている。これまで聴いたことのないくらいすばらしい音響になるはずだ。本当に楽しみだよ。

ボノ: ふだん見るようなスピーカーがこの会場に並ぶことはない。建物全体がスピーカーになっているんだ。だからどの席にいても、完璧なサウンドを楽しめるというわけだ。

ジ・エッジ: こんな会場はこの世に一つだけだし、これに匹敵するものは、この先何年も造られることはないだろうね。

 

アトモス・ミックスをライヴの文脈で実現させる

ジ・エッジ: この会場は、この上なく没入感のある音響を実現させるべく設計されている。だから、メインのスピーカーは僕たちが今いる場所の上にあるけど、建物全体にスピーカーが備えられていて、観客が360度すべての方向から音で包まれるように配置されているんだ。みんなが (ドルビー・) アトモスのミックスを聴いているかどうかわからないけど、アトモスは音の立体感という意味で音響における大発明だった。この会場はある種、アトモス・ミックスをライヴの文脈で実現させるようなものなんだ。これまではそんなこと不可能だと思われていた。この会場はヴィジュアル的に革新的ってだけじゃなく、音響面でも最新鋭なんだ。

 

“スフィア”のコンサートがバンドの今後のツアーに与える影響

ボノ: コンサートを観に来てくれるみんなが気に入ってくれるか、反応を見てみないとね。きっと、僕たちはこの会場から離れられなくなるんじゃないかな。

ゼイン・ロウ: そうなるとツアーにはどんな影響があるでしょう?

ボノ: どのみち、各地をツアーで回って『Achtung Baby』を演奏するわけじゃないからね。『The Joshua Tree』は世界中で披露したけど、今回 (『Achtung Baby』を披露するステージ) はここでやるショーだけだよ。

ジ・エッジ: そうだね。でも、ツアー自体をやめるわけじゃないよ。(今回の)会場の収容人数が1万8千から2万人だってことを忘れちゃいけない。100公演近いツアーをやらなくなるってわけじゃない。

 

 

“スフィア”はバンドと観客との距離感を縮められる

ボノ: 1万人とか1万8千人規模のライヴではこれまであり得なかったほど、みんなとの距離感を縮めることができるだろうね。僕たちはアリーナでも距離感を縮めようと懸命に努力して、それを成し遂げてきたし、スタジアムやフェスでも、懸命な努力でそれを実現してきた。だけどここは観客にとって良い形で造られた会場だから、それはつまり僕らにとっても良い形で造られているってことだ。

ジ・エッジ: 実際のところはきっと、会場のどこで観るかよって、まったく違った自分だけの楽しみ方ができるはずだよ。

ボノ: 普段は会場に入ると不安みたいなものを感じるんだけど、ここではそんな気がしない。むしろ、楽しみな気持ちばかりが湧き上がるんだ。ザ・ビートルズがアメリカに来たときのことを考えると、彼らがニューヨークのシェイ・スタジアムで演奏したときは、ほんの小さな音響機材しかなかった。だから彼らの演奏は誰にも聞こえなくて、聞こえるのは観客の叫び声だけだった。言ってみれば、そうやって彼らがスタジアム・ロックというものを作り出したんだ。それから年代、世代を追うごとに、パフォーマンスのできる環境が整っていった。そのおかげで観客にも僕らの音楽が聴こえて、僕らの姿が見えるようになった。この会場は、その歴史をもう一つ先のレベル、もう一つ先の段階へ進化させるものになる。すべてはザ・ビートルズのシェイ・スタジアム公演から始まったんだ。

 

80年代、シナトラのコンサートでの思い出

ボノ: ラスベガスでの思い出といえば ―― ハリウッドの思い出ともいえるかもしれないけど ―― みんなでシナトラのコンサートに行ったんだ。観客はテーブルごとに1,000ドルとかそれ以上の大金を払っているのに、僕らはタダで入らせてもらった。そのくせ僕らは ―― 80年代のそれがどんなものだったかわからないけど ―― “U2らしい格好”で席に着いたのさ。

シナトラがステージ前方に歩いてくると、彼との距離はすごく近かった。シンガーにとって、シナトラは次元の違う存在だよ。そして彼は「さあ、ほかには誰が来ているかな?」と言い始めた。会場にはエリザベス・テイラーとか、スターたちがたくさん来ていた。そのあとで彼はこう言い出した。「さて、今夜はアメリカでナンバー・ワンになった彼らも来てくれている。タイム誌の表紙にもなった、アイルランド出身のU2というグループだ。ここに座っているよ」

すると、スポットライトが僕らに当たった。映画のシーンにあるような感じさ。それで僕らも立ち上がって手を振った。そういうときはそうするものだろう? そうしたらフランクが一歩身を引いて、「まるで服に金をかけてないな」と僕らに言ったんだ。ほとんどの人は、なぜ僕らが観にきているのかわからない様子だった。“インディー”とはほど遠い世界だからね。確かに、クルーナー歌手とつるみたがるロック・バンドなんておかしな話さ。でも彼は“会長 (the chairman of the board)”と呼ばれた人物だし、僕らはどこかで、そんな彼のことを知っておくべきだと感じていたんだ。



U2『Songs Of Surrender』
2023年3月17日発売
Apple MusiciTunes Store



 

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