1966年春に発売となったスモール・フェイセスのデビュー盤
スモール・フェイセスのファンは、このバンドのデビュー・アルバムが出るのを今か今かと待ち構えていた。この小さいロンドンっ子4人組は、1965年9月に全英チャートに初登場し、「Whatcha Gonna Do About It」をトップ20圏内に送り込んだ。さらに翌年2月には「Sha La La La Lee」がトップ3入りの大ヒットとなる。そしてこの1966年の春、「Hey Girl」がニュー・シングルとしてラジオで流れていたころ、アルバム『Small Faces』がレコード店に並んだ。
このアルバムが1966年5月14日にチャートに初登場した時、シングル「Hey Girl」はたちまちトップ10に入った。その夏にはさらなる大ヒットが出る。「All Or Nothing」が全英チャートの1位に達したのである(スモール・フェイセス唯一の全英1位曲)。アルバムには「Whatcha Gonna Do About It」も「Sha La La La Lee」も収められていた。その他の収録曲はほとんどがメンバーが自ら作った曲だったが、冒頭1曲目はサム・クックの「Shake」のカヴァーだった。
このアルバムでは、コメディアン/エンタテイナーで1960年代のヒットメイカーでもあったケニー・リンチが共同プロデューサーを務めている。彼はさらに「Sha La La La Lee」と「You Better Believe It」を共作し、「Sorry She’s Mine」の曲作りを単独でこなし、これら3曲のバック・コーラスまで担当していた。またこのアルバムの別の曲「You Need Loving」は、題名は少し変更されていたものの、マディ・ウォーターズの「You Need Love」をほぼそのままカヴァーしたものだった。この「You Need Loving」を聴いたあとで、どうか考えてみてほしい。これから3年後にレッド・ツェッペリンは「Whole Lotta Love」という曲を録音している。さて、それを作るとき彼らは何をヒントにしたのだろうか?
アルバム『Small Faces』は全英チャートでいきなり28位に入ったあと、すぐに10位まで上昇した。そして6~7月には、5週連続で3位を記録。この時期、全英チャートの首位にはローリング・ストーンズの『Aftermath』が居座り、2位には不朽の名作『サウンド・オブ・ミュージック』のサントラが入っていた。このサントラ盤は、1965年4月に発売されてからずっと売れ続けていた。
2012年、ユニバーサルはアルバム『Small Faces』の2枚組デラックス・エディションを発売。ここにはオリジナル盤に収められていた12曲に加えて、ボーナストラックも18曲追加されていた。その中には、別ヴァージョンやステレオ・ヴァージョン、さらにはアルバムに未収録だったシングル曲も含まれている。
Written By Paul Sexton
スモール・フェイセス『Small Faces』
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