空耳・勘違いされる歌詞:英米の英語ネイティブの人々が間違って覚えている楽曲たち

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我々はみんな信頼できない語り手だ。だから先週の火曜日に何をしたか思い出して欲しいとか、マンフレッド・マンズ・アース・バンドの「Blinded By The Light」の歌詞のことを聞かれたら、過誤記憶をかき集めた断片的なものや、それからこんな感じの支離滅裂な歌詞を伝えることになるだろう。

 Blinded by the light, wrapped up like a douche when you’re rollin’ in the night”
光で目がくらみ、膣洗浄器具のように忙しく、夕闇を突き進む

この曲を最初にレコーディングしたのはブルース・スプリングスティーンだが、初めてビルボード・ホット100のトップまで駆け上がったのは、マンがカヴァーした時であり、女性生理用品についての滑稽な歌の誕生となった。

本来の歌詞:Blinded by the light…wrapped up like a douche when you’re rollin’ in the night
聞き違い:Blinded by the light,  revved up like a deuce, another runner in the night

 

我々は誰もが音楽史上最大のヒット作の歌詞を聴き違え、誤ったものを長く記憶に留めるという罪を犯している。実際、それは非常によく起こることであり、モンデグリーン/mondegreenといった専門用語すら存在する。(訳注 : 聴き間違って解釈してしまった言葉の意味)

シャワーを浴びながら古期英語詩を大声で歌う人は殆どいないが、一方で人々はジミ・ヘンドリックスの伝説的ヒット作「Purple Haze」の歌詞、「Excuse me while I kiss the sky」と「Excuse me while I kiss this guy」を聞き間違えており、この曲は“このオトコにキスさせてもらうぜ”と、ジミヘンの性的指向について歌った曲だという誤った解釈をしている人が多い。

 

Spotifyのデータによると、歌詞の聞き間違いはアメリカでもイギリスでも起きている。アメリカで最も挙げられるのは、既に紹介したマンとヘンドリックスの聞き違いだが、UKの回答者28人にとっては、ユーリズミックスの名曲「Sweet Dreams」での

Sweet Dreams are made of… cheese
甘い夢は…チーズで出来ている

という「This」を「Cheese」と聞き間違えることが最も印象に残っているようだ。

 

僅差で2位に付けているのは、常連のエルトン・ジョン。エルトンの1971年発表アルバム『Madman Across the Water』のオープニング・トラック「Tiny Dancer」を、連続ホームコメディ・スターのトニー・ダンザに寄せた歌だと信じ込んでいたというものだ。この僅か数年後の1973年ヒット作「Bennie And The Jets」中の、歌詞

“彼女は刺激的なブーツと、モヘアのスーツを…”

“彼女は刺激的なオッパイと、どんぶり一杯のスープを…”

と、彼の服装に関する見解を勘違いしてしまった(boots をBoobsに、mohair suit をbowl of soupに勘違い)

一般大衆が誤って覚えてしまったり、台なしにしたり、さもなければ曲解してしまった曲を他にも幾つか挙げてみよう。

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テイラー・スウィフト「Blank Space」

聴き間違い
All the lonely Starbucks lovers
孤独なスターバックス愛好者達

実際の歌詞
Got a long list of ex-lovers
手元にある元カレ達の長いリスト

テイラー・スウィフトは、ラテに片思いしていた頃を懐かしく思い出しているのではなく、昔の恋人について話しているのである。

 

ザ・ローリング・ストーンズ「Beast Of Burden」

聴き間違い
I’ll never leave your pizza burning
きみのピザを焦がしたまま放置するなんてことはしない

実際の歌詞
I’ll never be your beast of burden
きみの荷物を持つ動物になんてならない

悲しいかな、ミックはあなたのピザ・クラストを絶対に焦がしたりはしない、と宣言しているのではなく、言いなりになる人には絶対にならない、と宣言しているのである。

 

イーグルス「Hotel California」

聴き間違い
On a dark desert highway, cool whip in my hair
暗い砂漠の道で、髪にはひんやりしたホイップ・クリームが

実際の歌詞
On a dark desert highway, cool wind in my hair
暗い砂漠の道で、髪にはひんやりした風が

これはドン・ヘンリーの、砂漠かデザートに寄せた歌なのか?

 

ABBA「Take A Chance On Me」

聴き間違い
If you change your mind Jackie Chan, I’m the first in line Jackie Chan
もし気が変わったらジャッキー・チェン、わたし真っ先に立候補するからジャッキー・チェン

実際の歌詞
If you change your mind take a chance, I’m the first in line, take a chance
もし気が変わったら賭けてみて、わたし真っ先に立候補するから、どうか賭けてみて

映画『レッド・ブロンクス』(ジャッキー・チェン主演、日本は1995年公開)は1996年に公開されたが、それでも人々はABBAの一連のアカペラ・ヴォーカルはこのマーシャル・アート・スターについて歌われているものだと信じ続けた。

 

ザ・ビーチ・ボーイズ「Good Vibrations」

聴き間違い
I’m pickin’ up good vibrations, she’s giving me her citations
良い雰囲気を感じている、彼女から引用文を貰う

実際の歌詞
I’m pickin’ up good vibrations, she’s giving me excitations
良い雰囲気を感じている、彼女は俺を興奮させる

ザ・ビーチ・ボーイズは女と良い感じになって興奮しているのか、それともそれは要約された素材を差し出す女性の献身に対してか?

 

 UB40「Food for Thought」

聴き間違い
I’m a prima dona, dying in the dust. Waiting for the manna coming from the west
わたしは砂漠で生涯を終えようとする、プリマドンナ。西から来る恵みの食糧マンナを待つ

実際の歌詞
Ivory Madonna, dying in the dust. Waiting for the manna coming from the west
悲しみの中で生涯を終えようとする、聖母マリア。西から来る恵みの食糧マンナを待つ

UB40は、輸出品のモイスチャークリームに思い焦がれる気難しい国外住居者について話しているのか、あるいはアフリカの飢饉を救済することを拒否する政治家を非難したものか?

 

メイシー・グレイ「I Try」

聴き間違い
I blow bubbles when you are not here
あなたがここにいない時、僕は空想に耽る

実際の歌詞
My world crumbles when you are not near
あなたがそばにいない時、僕の世界は崩れる

メイシーは愛する人がそばにいない時、単に退屈しているだけではなく、ひどく落胆しているのである。

 

ボン・ジョヴィ「Livin’ On A Prayer」

聴き間違い
It doesn’t make a difference if we’re naked or not
裸か否か、そんなに違いはない

実際の歌詞
It doesn’t make a difference if we make it or not
成功するか否か、そんなに違いはない

この力強い80年代ヘア・メタル・アンセムは、己の目標を達成する為にヌードではなく自己発心を挙げている。

 

ジム・ギルストラップとブリンキー・ウィリアムス「Good Times」

聴き間違い
Good Times, hangin’ in a chow line
楽しい時代、食べ物の配給を待つ人々の列でたむろする

実際の歌詞
Good times, hanging in and jiving
楽しい時代、ふらつきながら馬鹿げたことをする

非常に肥えた耳の持ち主でも、この歌詞はトリッキーかもしれないし、デヴィッド・チャペルはこれを冠TVショウの寸劇のアイディアにしたほど。クイズ番組参加者の、黒人文化に対する知識を確認したテスト後、このキャッチ―な70年代TV連続ホームコメディーの主題歌の歌詞に、彼等は面食らってしまう。

 

ザ・スミス「Ask」

聴き間違い
Because if it’s not love, then it’s the bum, the bum, the bum, the bum,
the bum, the bum, the bum, that will bring us together
だって俺達を結びつけるのが、愛でないというのなら
それは尻、尻、尻、尻、尻、尻、尻に違いない”

実際の歌詞
Because if it’s not love, then it’s the bomb, the bomb, the bomb, the bomb
the bomb, the bomb, the bomb, that will bring us together
だって俺達を結びつけるのが、愛でないというのなら
それは爆弾、爆弾、爆弾、爆弾、爆弾、爆弾、爆弾に違いない”

モリッシーは自分のセクシュアリティについて沈黙を守り続けてきたが、それでも人々はその話題に思い巡らせるのを止めず、この聴き間違えられた歌詞は、それに火に油を注ぐこととなる。


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