ザ・ジャム初の公式ベスト盤である『Snap!』、リイシュー盤には貴重音源も収録
ザ・ジャムは、今なお語り継がれているそのバンド偉業をおよそ5年間で築き上げた。そして1983年10月22日、彼らは初の公式ベスト盤である『Snap!』の大ヒットで、UKアルバム・チャートに再登場した。ポール・ウェラーがロックシーンの牽引役を務めていたモダン・ロック・トリオの解散を発表し、ファンが予感していた「最悪の事態」が現実のものとなった数カ月後のことである。
このアルバムでは、彼らの最重要作品を大まかに捉えることができるとともにディスク2では興味深いB面曲やレア音源を押さえることができる。その2枚組LPの初回プレス分には、ザ・ジャムのフォロワー達にとって現在非常に価値ある音源になっている、1982年秋の彼らのフェアウェル・ツアー時にウェンブリー・アリーナで行われたステージからの4曲を収録したボーナスEPが同梱されていたからだ。
このEPに収録された音源は、現在はポリドールからリリースされている『Snap!』のリイシュー盤で聴くことができる。カーティス・メイフィールドの「Move On Up」のカヴァー、「Get Yourself Together」「The Great Depression」、そして「But I’m Different Now」のライヴ・テイクがその音源。これらのトラックに加え、「Funeral Pyre」のリミックス・ヴァージョン、「That’s Entertainment」のデモ、その他の別ミックス・ヴァージョンなどが聴けることで、『Snap!』はきわめて価値のあるパッケージになっている。
ザ・ジャムの最後のスタジオ・アルバムになった1982年3月に発売した『The Gift』は、皮肉なことに、彼らのアルバムとしては初めて、そして唯一英チャート首位を獲得した。その後、リリースされたライヴ盤『Dig The New Breed』の最高位は2位、『Snap!』もまた、カルチャー・クラブの『Colour By Numbers』に阻まれて惜しくも2位止まりだった。『Snap!』と『Colour By Numbers』はともにチャート初登場で1位と2位に登場してその翌週も同じポジションをキープしたが、さらにその翌週、『Snap!』はチャートを下降し始めている。
それでも同作は、トップ100圏内に30週に亘ってランクインし、ジャムは、1983年の春に至るまでアルバム・チャートにその名を留めた。なお、このアルバムから一部のトラックをカットしたコンピレーション『Compact Snap!』は、2013年にゴールド・ディスクに認定されている。
Written By Paul Sexton
『Snap!』
【ヨーベス(洋楽ベスト)~アンコール・プレス~】
2016年に期間限定盤として発売したヨーベスキャンペーンから、71タイトルをアンコール・プレス!2018.12.05 RELEASE
『ザ・サウンド・オブ・ザ・ジャム』
- ザ・ジャム アーティスト・ページ
- ヨーベス(洋楽ベスト)~アンコール・プレス~
- 解散後もチャートに何度も再浮上したジャム
- ザ・ジャムが解散から10年後に発売した『Extra』がチャート入り
- ザ・ジャムの解散発表とラスト・シングル「Beat Surrender」
- ポール・ウェラーの20曲:最もクリエイティブであり続ける男
- ザ・ジャム関連記事
♪ 『The Jam Best Of』