フォー・シーズンズの「The Night」が、発売から3年後にイギリスで急に人気になった理由

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このニュージャージー州出身のグループ、フォー・シーズンズは、60年代の全盛期には素晴らしい実績を挙げていた。彼らはミリオン・セラーをマークする大ヒットを連発し、アメリカのシングル・チャートに実に40回もランク入りしている。そんなように長いあいだヒット・グループとして活躍を続けきたフォー・シーズンズだったが、1970年代初頭に入るとその人気も陰りを見せ始めていた。その才能は依然として強く感じられたものの、世間の反応は冷淡なものになっていたのだ。そんなとき、びっくりするようなヒット曲が出た。その曲が「The Night」である。

これはフォー・シーズンズのメンバーであるボブ・ゴーディオがボブ・ルジカと共作した曲で、アルバム『Chameleon』用に録音されたものだ。このアルバムは、モータウンのレーベル、モーウェストから1972年に発売されている(このモーウェストとの契約内容は、フォー・シーズンズにとってかなり不本意なものだったが)。「The Night」は、心躍らせるキーボードやストリングス、病みつきになりそうなビート、すてきなハーモニー、例によって見事なフランキー・ヴァリのリード・ヴォーカルが入った名曲だった。しかし、当初この曲はアメリカではメディア向けに作られたプロモ用のシングルに収録されていただけで、一般向けのシングル・カットは行われていなかった。アルバムも全米チャート入りを逃している。


それから3年後の1975年、フランキー・ヴァリは、ソロ・アーティストとして「My Eyes Adored You(邦題: 瞳の面影)」などをヒットさせていたが、一方のフォー・シーズンズの方は、過去のグループと言ってもいい存在になっていた。しかしまさにそんなころ驚くべきことが起きた。イングランド北部のアンダーグラウンド・クラブを中心としたノーザン・ソウル・シーンで、「The Night」が大人気になっていたのだ。

「The Night」はこの1975年にイギリスでシングル化され、4月19日に全英チャート初登場で36位を記録。フォー・シーズンズがイギリスのチャートにヒット曲を送り込むのは8年振りのことだった。それから3週間のうちにこのシングルは7位にまで上昇。イギリスで彼らのレコードがここまで高い順位にまで上がるのは、10年前の「Let’s Hang On」以来のことである。そしてこのヒットがきっかけとなりフォー・シーズンズはその人気を回復させ、「Who Loves You」「December, 1963 (Oh What A Night)」「Silver Star」といった数々の名曲が生まれた。これら一連の楽曲は、のちにこのグループの物語を描いた大ヒット・ミュージカルであり後に映画化もされた『ジャージー・ボーイズ』にも盛り込まれている。

実のところ、フランキー・ヴァリにとってはノーザン・ソウル・シーンでの反響を追い風にイギリスでのヒットを手にするというのは、「The Night」のときが初めてではなかった。その数年前には、「You’re Ready Now」が同じようなかたちでヒットになっている。2008年の英レコード・コレクター誌に掲載されたインタビューで、「The Night」のヒットについてヴァリは以下のように語っている。「あれは皮肉な成り行きだった。モータウンで不遇だった時期の曲が、あのレーベルから離れたあとになって大ヒットになったんだからね」。

「イギリスのノーザン・ソウル・シーンは、いつだって僕らに好意的だった。世代が入れ替わっても、それは変わらない。去年なんか、初期の曲のひとつ「Beggin’」がクラブ・ミックスでリリースされて、かなりのヒットになった。これまでの活動は山あり谷ありだったけど、イギリスの人はいつも僕たちに好意的だった。イギリスという国やイギリスの人たちのことを本当に愛している。ずっと応援してくれてたからね。みんな、本当にすばらしい人たちだよ」。

Written by Paul Sexton



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