カーペンターズ『Christmas Portrait』解説:ホリデー・シーズンを彩る不朽の名作

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クリスマス・アルバムは音楽業界における伝統として古くから作られてきたが、すべてのアーティストがその大役を果たせるわけではない。だがカーペンターズによる『Christmas Portrait』は、年を追うごとに味わいが増す不朽の名作に仕上がった。それは、リチャード・カーペンターのもつ楽曲制作のノウハウや、大編成のオーケストラとコーラス隊、素晴らしいアレンジ、そして何より、カレン・カーペンターの神々しいほどの歌声のおかげであった。

『Christmas Portrait』はカーペンターズにとって初めて、そしてカレン・カーペンターの存命中に発表された唯一のクリスマス・アルバムだ。1978年10月13日にリリースされた同アルバムは、同年の12月9日にチャート・インを果たし、その年のクリスマス・アルバムとして最高のセールス成績を収めた。

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限界まで詰め込んたアルバム

兄弟デュオである二人は、1977年12月9日に放送されたテレビの特別番組『The Carpenters At Christmas』への出演をきっかけに、クリスマス・アルバムの制作を決めたのだという。そして彼らは宗教色の有無にかかわらず、クリスマス・シーズンの定番曲を片っ端からレコーディングした。結果としてアルバム1作には十分すぎるほどのトラックが完成し、アナログ盤の収録可能時間の限界まで楽曲をこれでもかと詰め込むことになった。

そんな同アルバムは、いかにもアメリカらしい作品だった。そのことは、ノーマン・ロックウェルの有名な自画像を模したジャケットにもよく表れている。収録曲に目を向けると、ピーター・ナイト、ビリー・メイ、リチャード・カーペンターの3人が編曲したスタンダード・ナンバーの数々が並んでいる。

そもそも優れたクリスマス・アルバムとは、耳にするだけで温かな灯りに包まれた心地良い時間を思い出すものだ。一方で出来が悪いと、ショッピング・モールに囚われているような居心地の悪い気分になってしまう。幸いカーペンターズの『Christmas Portrait』は前者であった。このアルバムは、ストリングスや金管楽器、ベル、そして天使のような愛らしいバック・ヴォーカルで、リスナーを優しく包み込んでくれるのだ。

このアルバムにはクリスマスの定番曲がほぼ網羅されているが、冒頭にアカペラの「O Come, O Come, Emmanuel(久しく待ちにし)」を、最後にバッハ/グノー作の「Ave Maria」を配したその構成は、一編の物語のような纏まりを感じさせる。

だがその中でも特に印象深い1曲といえば、ほろ苦い名曲「Merry Christmas Darling」だろう。この曲はリチャードが1966年に作曲したもので、歌詞は2人の通っていた大学で聖歌隊を指揮していたフランク・プーラーが、そのまた20年前に書いたものである。

同曲はもともと1970年にシングルとしてリリースされていたが、『Christmas Portrait』に収録されたヴァージョンには、カレンが新たに録り直したヴォーカル・トラックが使用されている(彼女はオリジナル版の歌唱に満足していなかったのだという)。このアルバムはリリースからしばらくしてプラチナ・ディスクに認定され、現在でも不朽の名作として愛され続けている。

Written By Laura Stavropoulos



カーペンターズ『Christmas Portrait』
1978年10月13日発売
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