史上最高の映画音楽ランキングBEST50【全曲動画付き】
映画に音が付くようになってからというもの、映画体験には無限の力を持った映画音楽が不可欠なものになった。曲のヒットまでに何年もかかったものもあれば、その瞬間にヒットとなった曲もあるが、最高の映画音楽すべてには幾つかの共通点がある。それは映画が伝えようとしていることをセリフなしで伝え、最も輝いているセリフでさえも出来なかったような感情的な反応を呼び起こすことが出来ることだ。中には寄り添った映画そのものよりも、息の長い楽曲もある。
さあこの辺で速やかに本題に入ろう。みんなで討論したり、口論したり、同意したりするのにうってつけの、史上最高の映画音楽50選をここにリストアップした。
50: 『トロン:レガシー(原題:Tron: Legacy)』(2010)
典型的なオーケストラ映画音楽の教義と、フランス出身のエレクトロニック・デュオ、ダフト・パンクのエレクトロニックの妙技を結びつけたら、それぞれの総和よりも遥かに凄い音楽が出来た。アメリカ人作曲家、アレンジャー、プロデューサーのジョセフ・トラパニーズの助けを借り、ダフト・パンクはウェンディ・カルロスの1982年のオリジナル作品にきちんと敬意を表しつつ、映画音楽に取り組んだ。
49: 『恐怖の報酬(原題:Sorcerer)』(1984)
数多くの作品を生み続けているタンジェリン・ドリームは、自分達のアルバム・ディスコグラフィーに迫る数の映画音楽を生み出しているが、『恐怖の報酬』はそんな彼等の初作品だった。1977年に発表され、80年代にホラーのトレードマークとなる、不気味な、シンセに溢れたキューの青写真を作るのに一役買い、NETFLIXの『Stranger Things』を始めとする、今日のサウンドトラックのリバイバルの極めて重要なインスピレーションの源であり続けている。
48: 『フラッシュ・ゴードン(原題:Flash Gordon)』(1980)
アレックス・レイモンドの伝説的新聞連載漫画が基になっている、わざとらしく滑稽なスペース・オペラが『フラッシュ・ゴードン』だ。しかしそのサウンドトラックは、大成功を収めた。ロックの神様クイーンは、『スター・ウォーズ』に挑戦するつもりで制作されたこの映画に対し、手を抜くことなく見事な演奏を行なった。結局、この音楽は映画よりも遥かに優れており、ロック・バンドが書いた映画音楽の傑作として今日でも知られる。
47: 『E.T.(原題:ET: The Extra-Terrestrial)』(1982)
ジョン・ウィリアムズはその見事な腕前で、極めてキャッチ―な映画テーマ曲というだけでなく、何世代にも渡る鑑賞者及び映画製作者に影響を与えることになる心に響く音楽作品を生み出した。音楽それ自体が幼年時代に感じる思いを表現している。つまり、無邪気さ、ワクワク感、それから死とは無縁の危険の匂いで一杯で、劇中に現れE.T.を連れ去ろうとしている化学防護服を着た男達の恐ろしさを我々に伝えてくれる。
46: 『死刑台のエレベーター(原題:Ascenseur Pour L’Échafaud)』(1958)
完全にインプロヴァイズされた音楽ほど、フランスのニュー・ウェイヴ・シネマの特徴だった、新しく緩く、即興演技スタイルに合ったものはないだろう。マイルス・デイヴィスがフランス人監督ルイ・マルとどのようにして出会ったか、それには諸説あるが、その結果、マイルス・デイヴィスと多数のフランス人セッション・ミュージシャンがこの独創性に富んだクールなジャズ・スコアを、映し出される映画場面に合わせてナマでインプロヴァイズするという、これぞ純粋に宇宙の運命としか言いようのないことが起こった。デイヴィスが音楽的発展を遂げた頃の代表作であり、ジャズ界を代表する名映画音楽であり続けている。これは彼が初めて手掛けたモード・ジャズで、彼はこの後大きな影響力を与えた『Kind Of Blue』をレコーディングしている。
45: 『ミッション(原題:The Mission)』(1986)
これは我々の知っているエンニオ・モリコーネではない。巨匠の名映画音楽は西洋人向けだと多くの人は感じているだろう。しかしこの作品でエンニオ・モリコーネは、ハーモニカやキャッチ―なマカロニ・ウェスタンものを繰り返し奏でているわけではないことを、世界中にはっきりと知らせたかったようだ。作曲家エンニオ・モリコーネの作品を知っている者にとっては、決して馴染みのないようなものではないが、彼がこれまで手掛けた中でベストなノン・アクション映画音楽だ。
44: 『ジュラシック・パーク(原題:Jurassic Park)』(1993)
これまたジョン・ウィリアムズとスティーヴン・スピルバーグのふたりによる傑作。ジョン・ウィリアムズの典型的な名作にあるもの全てが入っている…。高揚するメロディ、ドラマティックなブラス、そして子供のような遊び心、そしてその全てのその根底にあるのは、ファンタジー・アドベンチャー物語だ。ジョン・ウィリアムズはその手腕を発揮し、パーク内に潜む危険に合った不吉なトーンを表現した。僅かな音だけで、希望、逆境、そして壮大な冒険を呼び起こす、『ジュラシック・パーク』シリーズの特徴的な音楽を生み出した。
43: 『七人の侍(原題:The Seven Samurai)』(1954)
太鼓と差し迫った悲運で知られる黒澤明の先駆的な傑作映画は、知っての通り独力で世に広まっていったが、その音楽の現代映画に対する貢献は殆ど知られることはなかった。現代映画のベスト映画音楽である早坂文雄の作品が、なぜもっと多くの注目を集めないのか。それは誰にも分からないが、しかしこれは間違いなく黒沢の熱狂的ファンの一番のお気に入りだ。
42: 『007ゴールドフィンガー(原題:Goldfinger)』(1964)
作曲家ジョン・バリーは、ジェームズ・ボンド映画作品で、007と同義語として受け継がれるであろう音楽表現を作り出した。彼のボンド音楽からどれを選ぶか迷ったが、『007ゴールドフィンガー』の大胆で派手なテーマ曲で、バリーは見事なサウンドを完成させた。
41: 『めまい(原題:Vertigo)』(1958)
これぞこの時代を代表するような映画音楽。このテーマに合った、少々鼻に突くが、ぐるぐる回る熱狂的なこの作品は、これ自体が見事なナンバーだ。アルフレッド・ヒッチコックとバーナード・ハーマンは何度も組んでいるが、これはそんな彼等の代表的作品。
40: 『ソーシャル・ネットワーク(原題:The Social Network)』(2010)
“Facebookの映画化”というアイディアには、首を傾げてしまうかも知れないが、技術を盗み汚名を着せるシーンは、あの不気味な心に残る(そしてオスカーを受賞した)サウンドなくしては想像し難い。監督のデヴィッド・フィンチャーの歪んだ欲とエゴの物語に音楽を提供したのは、ナイン・インチ・ネイルズのフロントマン、トレント・レズナーとアッティカス・ロスだ。
39: 『タイタニック(原題:Titanic)』(1997)
ジェームズ・ホーナーのスコアは、この映画そのものだ。大きく、漂い、衝突し、浮かび上がり、海の真ん中で凍え死ぬ。待てよ…ネタバレだ…今の最後の一言は消そう。ジェームズ・ホーナーはなかなか大したものだ、この傑作映画の音楽を誰に頼めば良いか、しっかり把握していたジェームズ・キャメロン然り。
38: 『未知との遭遇(原題:Close Encounters Of The Third Kind)』(1977)
人間とエイリアンがコミュニケーションを取る時の奇妙な音だけでも、この映画の希望に満ちたワクワクするようなスコアはリストに入れる価値あり。ジョン・ウィリアムズが楽しんでいるのが分かる作品。
37: 『ゴッドファーザー PartⅡ(原題:The Godfather Part II)』(1974)
オリジナルの『ゴッドファーザー』の延長線上にあるが、しかし単なる繰り返しではない素敵な物語と音楽だ。ニーノ・ロータが作曲し、カーマイン・コッポラが指揮した『ゴッドファーザー PartⅡ』のスコアは前作同様、聴き手を世紀の変わり目頃のイタリアとニューヨークへと上手く誘うことに成功している。ハリウッドを代表する他の映画音楽と肩を並べる、ひとつの作品としても実にお見事だ(特にPart1のアイコニックなサウンドトラックの後に発表された作品であることを考えると…)。
36: 『シャフト(原題:Shaft)」(1971)
アイザック・ヘイズが手掛けた唯一のスコアではないが、間違いなく最も良く知られた作品だ。ワウ・ペダルの効いたギター・グルーヴから自身のバリトン・ヴォーカルまでを通して、アイザック・ヘイズは現代アメリカ映画音楽の第一人者だということを証明した。
35: 『タクシードライバー(原題:Taxi Driver)』 (1976)
マーティン・スコセッシの画期的な映画と、バーナード・ハーマンによる音楽ほど、70年代のニューヨークに忍び寄っていた幻想感とモラルの退廃を、見事に具体化した美術作品を探すのは困難だろう。ハーマンは当時を象徴するクラシカル・オーケストレーションを控え、代わりに不協和音と楽器を盛り合わせ、エンドロールが終わった後もしばらく残る強い不快感を観る側に与えた。
34: 『明日に向かって撃て!(原題:Butch Cassidy And The Sundance Kid)』(1969)
西部開拓時代に人々を震撼させた最も悪名高きふたりのアウトローを描いた映画の音楽を、バート・バカラックが担当するというのは、意外な選択に感じられるかも知れないが、彼はその任務を見事に果たした。バート・バカラックは映画のスコアを提供しただけではなく、この後アカデミー賞最優秀歌曲賞を受賞した「雨にぬれても(原題:Raindrops Keep Fallin’ On My Head)」をも世界にもたらした。
33: 『アンタッチャブル(原題:The Untouchables)』(1987)
名作ギャング映画で使用されたブライアン・デ・パルマの音楽は、古い鉄道駅に足を踏み入れるたび、頭の中を響き渡るだろう。不安な気持ちにさせられる冒険に満ち溢れた作品で、アル・カポネがヒーローに映って見えるほど。斬新であり古典的でもあるエンニオ・モリコーネのスコアは、映画の登場人物達に命を吹き込んでいる。
32: 『ドクトル・ジバゴ(原題:Doctor Zhivago)』 (1965)
この映画は、流れの速い物語と、非常に分かり易い生い立ちの登場人物に慣れている現代の鑑賞者の心には響かないかも知れないが、デヴィッド・リンとモーリス・ジャールの忘れられない見事なスコアは長く記憶に残り、この最高級の古典的芸術作品を恋しく思いまた観たくなるだろう。
31: 『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯(原題:Pat Garrett And Billy The Kid)』(1973)
ボブ・ディランはこの逸品映画のウエスタンなサウンドトラックに、ユニークな曲を提供しただけではなく、ビリーのギャング・メンバーのひとりという、殆ど台詞のない小さな役で出演もしている。映画の為に書き下ろされたボブ・ディランの曲は、これ以上はないというほど、このポストモダン・ウェスタンに最高にマッチしている。
30: 『ビートルジュース(原題:Beetlejuice)』(1988)
ゆっくり寛ぎながら、この不気味で面白くてスリリングなスコアを聴いていると、カリプソに乗ってジャンプ、ボップ、ダンスしながら、幼い頃の想い出の中へと引き戻されるだろう。ティム・バートン監督とダニー・エルフマン初期のコラボレーション『ビートルジュース』は、彼等の作品の多くを彩る滑稽で不吉なトーンを捉えており、ふたりの代表作になった。
29: 『ダークナイト(原題:The Dark Knight)』(2008)
有名なバットマン・シリーズに新しい生命を吹き込もうという時、クリストファー・ノーランはケープを羽織った戦士を、思い悩むアンチ・ヒーローにイメージ・チェンジし、それに見合ったスコアを作る必要があった。最初の『バットマン ビギニング』でクリストファー・ノーランは、唸るベースと甲高いストリングスに溢れたダークなサウンドスケープを作り出す為に、ハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワードを指名した。じっくり聴いていると、ヒース・レジャー演じるジョーカーの、何かこう…クレイジーなことをやるよう迫ってくる声が、頭の中で聴こえてくるような気になる。
28: 『さすらいのカウボーイ(邦題:The Hired Hand)』(1971)
「Mr. Tambourine Man」のインスピレーションになったフォーク・ミュージシャンのブルース・ラングホーンは、ピーター・フォンダの家庭的な話を絡めたウエスタン映画のスコアを提供後、再びボブ・ディランがすぐ後ろについて来ているのに気づく。ボブ・ディランは1973年の『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』のサウンドトラックで先例に倣った。ふたつの内でブルース・-ラングホーンの完全にアメリカーナなスコアの方が、ほぼ間違いなくより独特の雰囲気を放っており、そのサウンドトラックは2004年に漸く発売されるまで、何十年にも渡りカルト的支持を得ていた。
27: 『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(原題:The Empire Strikes Back)』(1980)
シスの暗黒卿、ダーク・ベイダーを思うたび、聴こえてくるテーマ「The Imperial March(邦題:帝国のマーチ)」を、ジョン・ウィリアムズがファンに贈ったのは、意外なことに、『スター・ウォーズ』のオリジナル三部作の第二弾の時だった。『スターウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』で、ウィリアムズはオリジナル映画音楽のテーマを発展させ、その過程で更に多くのものを生み出した。
26: 『Mad Max: Fury Road(邦題:マッドマックス 怒りのデス・ロード)』(2015)
オリジナルだと感じるような現代映画音楽を見つけるのは難しいが、ジョージ・ミラーはオランダ人マルチ・プレイヤー/作曲家トム・ホーケンバーグ(別名ジャンキーXL。ハンス・ジマーの親しいコラボレーター)を雇った時、自分のやっていることを心得ていた。ジャンキーXLの、人を夢中にさせる迫力あるスコアは、『マッドマックス』シリーズの混沌とした世界にぴったりの音響攻撃だ。
25: 『コナン・ザ・バーバリアン(原題:Conan The Barbarian)』(1982)
映画自体がどこかのリストに入ることはあまりないが、ベイジル・ポールドゥリスのスコアを聴いたら、どんな人でも血管が脈打つのを感じ、尊敬の念を抱くだろう(特にファンタジーB級映画ジャンル内では)。
24: 『ウエスタン(邦題:Once Upon A Time In The West)』(1969)
美しくもあり残忍でもある、エンニオ・モリコーネの作品中最高のものかも知れない。言うまでもなく、彼はウエスタンのジャンルで『続・夕陽のガンマン』のスコアも手掛けている。そう、モリコーネ唯一のライバルは彼自身だろう。
23: 『シザーハンズ(原題:Edward Scissorhands)』(1990)
ダニー・エルフマンが最高に悪戯っぽく、通りの真ん中でダンスし、深く謎めいた森の中へと手招きする。彼の最も陽気な作品では決してないが、ダニー・エルフマンはこの作品でロマンスとゴシック系お伽話へと路線を少し広げ、次のプロジェクト『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』への道を開いた。
22: 『ターミネーター2(原題:Terminator 2: Judgement Day)』(1991)
今後起こるかも知れない、激しく不吉な予感のするダークで恐ろしい様子が描かれた、このスコアには平凡な瞬間は一瞬もなく、一息入れるところもない。出だしから終わりまで、ブラッド・フィーデルは聴き手を、避けることの出来ない善と悪の衝突へと導いてくれる。
21: 『2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey)』(1968)
スタンリー・キューブリックは当初、この星間の傑作物語のスコアを著名ハリウッド作曲家アレックス・ノースに依頼したが、結局ノースの作品を没にし、もともと仮の曲として使用していた作品を起用した。ヨハン・シュトラウスのワルツ「The Blue Danube(邦題:美しく青きドナウ)」から前衛的芸術家のリゲティ・ジェルジュまで、そして更に最も有名なリチャード・シュトラウスの交響詩「Also Sprach Zarathustra(邦題:ツァラトゥストラはこう語った)」と、スタンリー・キューブリックはこの作曲家達を再びスポットライトへと押し出し、その名曲等は彼のアイコニックな映画の永遠の代名詞となった。
20: 『ハロウィン(原題:Halloween)』(1978)
ジョン・カーペンターは侮れない男だ。この音楽を聴くと、みんな隅々まできょろきょろ見ながら、ステーキ・ナイフを隠し出すだろう。威嚇的でキャッチ―で、映画に登場する悪党のように、まるで終わることがないような感じの音楽。
19: 『ブレードランナー(原題:Blade Runner)』(1982)
カルト的名作映画の素晴らしいエフェクトとダークなムード同様、このスコアは映画中のあらゆるものと共に、濡れた路面に沿って流れ出るような感じがする。リドリー・スコット監督が熱に浮かされて作ったものなのだろうか? いや、これまた不思議なヴァンゲリスの最高映画音楽の成せる業だ。
18: 『荒野の七人(原題:The Magnificent Seven)』(1960)
ユル・ブリンナー、スティーヴ・マックイーン、チャールズ・ブロンソンと、銀幕を飾ったウエスタン映画音楽の最高傑作のひとつ。聴いていると、馬に飛び乗り夕日に向かって走りたくなる。ひとつのメロディで、有名作曲家エルマー・バーンスタインが創作したスコアは、その後アメリカ西部の概念を象徴するようになる。タイトル曲は「Marlboro Cigarette Theme」になったほどだ。
17: 『炎のランナー(原題:Chariots Of Fire)』(1981)
『ブレードランナー』の先駆的な作品以前より、このギリシャ人作曲家ヴァンゲリスは、そのシンセサイザーの腕前を1924年のオリンピックが舞台の歴史映画『炎のランナー』で発揮している。『炎のランナー』を息苦しい遺産的な映画にはしたくなかったであろうヒュー・ハドソン監督は、賭けに出てヴァンゲリスに現代的なスコアの創作を依頼。その結果これまで何度もパロディ化された、80年代初期で最も有名なテーマ曲が誕生した。
16: 『ピンク・パンサー(原題:The Pink Panther)』(1963)
ピーター・セラーズを知らない人がいたら、彼を紹介するのにこの映画シリーズが最適だ。ピーター・セラーズはヘンリー・マンシーニのスコアと同様に素晴らしかった(これはもう断言しても良い)。大胆で、そしてマンガっぽいテーマ曲は、この傑作スラップスティック・コメディ映画を完璧に引き立てている。
15: 『サイコ(原題:Psycho)』(1960)
シャワーを浴びながら驚いたことはあるだろうか? それはすべてストリングスの甲高い音だけで、恐怖の究極的文化的現象を作り出したバーナード・ハーマンのせいだ。このヒッチコックの名作映画を観てもいないのに、音楽を知っている人が多いのはどういうわけだ? まさに真の天才バーナード・ハーマンの成せる業。
14: 『バットマン(原題:Batman)』(1989)
多くの人にとり、このジャンルを代表する主要映画作曲家は2人いる。ジョン・ウィリアムズとダニー・エルフマン。そしてこれはダニー・エルフマンの最高の業績だ。メイン・テーマは、架空の街の何千フィートも上空にそびえる屋根の上に、座っているような感覚にさせる。
13: 『スーパーマン(原題:Superman)」(1978)
鑑賞者に語りかけてくるスコアは、どれくらいあるだろうか? 感情的にだけでなく、文字通りに…。例えば、メイン・テーマがピークを迎えた時、聴き手に“スーパーマン”という言葉が聞こえてきたりと。実際にはそこになくても。ジョン・ウィリアムズの傑作映画スコアは、それ自体が人格を持つが、そんな彼の70年代の大ヒット作中でも、この作品は際立っている。
12: 『ブレイブハート(原題:Braveheart)』(1995)
美しく豪華なオーケストレーションで知られるジェームズ・ホーナーは、ケルティックなテクスチャーを駆使しながら、荘厳でありメランコリックなスコアを生み出し、感情に訴える作品でウィリアム・ウォレスの旅の精神を捉えた。聴き手はベテランの見事な手腕により、スコットランドの青く緩やかな丘陵地帯から、その後突然に伝説で名高い血まみれの戦場へと誘われる。
11: 『アラビアのロレンス(原題:Lawrence Of Arabia)』(1962)
多くの人はモーリス・ジャールの監督作品というと、ジョン・ウィリアムズの大胆なスコアを連想させられるが、1962年に公開されたーター・オトゥール主演の砂漠を舞台にした叙事詩で、映画史最大の冒険ものの音楽を書いたのはモーリス・ジャールだった。壮大なテーマとエキゾチックなインストゥルメンテーションに満ちた、この感情に訴えるサウンドトラックは、驚異的な職人技による史上最も優れた映画音楽のひとつだ。
10: 『バック・トゥ・ザ・フューチャー(原題:Back To The Future)』(1985)
史上最高の映画スコアと、肩を並べるに相応しいサウンドトラックか否かを知るには、この簡単なセリフを思い出すだけで良い…。“道? 今から行くところに道などいらない”。さあ聴こえてきたかな? 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のスコアで、アラン・シルヴェストリはジャズ・パーカッショニストからオーケストラ音楽の偉人になり、そのキャリアが一変した。
9: 『ジョーズ(原題:Jaws)』(1975)
誰もが知っていて、泳いでいる時に絶対に聴きたくない、この代表作でジョン・ウィリアムズが成し遂げたことは素晴らし過ぎるとしか言いようがない。音ふたつ、繰り返される。近づいているかのように、それがどんどん大きくなっていき、そして…そう、サメに食われてしまう。比喩的に言うとだが。
8: 『ロード・オブ・ザ・リング(原題:The Lord Of The Rings: The Fellowship Of The Ring)』(2001)
この映画の中のエルフほど、この世のものとは思えないものは他にあるだろうか? はい、あります。それはハワード・ショアのスコアだ。その楽曲は、J.R.R.トールキンが騒々しい此の世から逃れて以来ずっと、宇宙を旅し続けてきた創造力の詰まった天空の泡から孵ったような感じだ。
7: 『ロッキー(原題:Rocky)』(1976)
非常識なほど高い階段を上ろうという欲求は、なかなか抱かないかも知れない。しかし、瞼を半分垂れ、口が歪んだ、頭が鈍いが心の強いヒーローが登場するこの映画のスコアを掛けたら、誰もが階段の一番上で踊っている自分に気づくだろう。拍動するホルンと轟くドラムスのコンビによって生まれた、トレーニングの場面で流れる「Training Montage」は、その後至る場所でアスリートの究極のアンセムになった。
6: 『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(原題:Raiders Of The Lost Ark)』(1981)
この欄にジョン・ウィリアムズが他の作曲家よりも多く登場するのは(計8回)、偶然のことではない。インディアナ・ジョーンズ博士初の冒険に寄せられた、彼のワクワクするようなスコアを聴いていると、フェルト製の中折れ帽を被り、鞭を手に取りナチスをやっつけたくなるだろう。ジョン・ウィリアムズは彼のミューズであるジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグと再び組み、映画界を代表するアイコニックなヒーロー達の永遠のテーマ曲を創作する任務に就いた。その結果、一瞬にして惹きつけられ、次の瞬間ゾッとさせられるような大胆なサウンドトラックが誕生したのだ。
5: 『カサブランカ(原題:Casablanca)』(1942)
マックス・スタイナーのような人は、僅か6つの音のリフレインで音楽の傑作を作り出すことが出来るが、史上最も有名な映画テーマ曲の基になっているのは、他から借りてきたメロディだ。当時流行っていた曲「As Time Goes By」を使用する任務を課せられたスタイナーは、シンプルな30年代ナンバーを巧みに崩し、ドラマティックな一品に変え、史上屈指のロマンティック映画を飾った。
4: 『風と共に去りぬ(原題:Gone With The Wind)』(1939)
映画黄金期を代表するスコアといったら、これ以外にはないだろう。この映画のメイン・テーマが、これほど胸張り裂けそうな壮大で抒情詩的スケールで悲壮感漂うのは、登場人物の個性を引き出す為に、音楽を道具として使用した伝説的作曲家マックス・スタイナーのお陰だ。彼はハリウッドを代表する映画音楽を、目の前で起きていること同様に重要なものにするのに尽力し、この後に続く全ての映画の青写真を作った。
3: 『続・夕陽のガンマン(原題:The Good, The Bad And The Ugly)』(1966)
エンニオ・モリコーネはウェスタン・ゴシックの達人だが、特にこの作品の音楽は並外れており、彼のレガシーを代表する作品だ。セルジオ・レオーネ監督との先駆的な作品は、史上屈指の映画音楽であるだけではなく、『続・夕陽のガンマン』は間違いなく史上最高のウエスタン映画音楽でもある。西部開拓時代を思い浮かべた瞬間、危険が間近に迫っているのを知らせてくれる、オープニングの笛の音とそれに続くギターの音3つが聴こえてくるだろう。
2: 『ゴッドファーザー(原題:The Godfather)』(1972)
これほどまでに、映画の景色、音、そしてトーンを思い起こさせるスコアはあっただろうか? 間違いなくない。多作のイタリア人作曲家ニーノ・ロータが手掛けたこのスコアは、非常にパワフルで、本物のギャングでさえも、これを聴いたら目が涙で溢れるだろう。
1: 『Star Wars: Episode IV: A New Hope(邦題:スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望)』(1977)
史上最高の映画音楽ということになると、ジョン・ウィリアムズが手掛けた映画『スター・ウォーズ』オリジナル版のシンフォニック・サウンドトラックほど、インパクトの強い作品はそうそうないだろう。ジョージ・ルーカスが考案した壮大なスペース・オペラは、ジョン・ウィリアムズの斬新なスコアがなかったとしたら、今日のような感情に訴えかけてくる文化の巨大な力にはなっていなかっただろう。彼のスコアは、やや小さくなっていたストーリーテリングの中で失われていた抒情詩的な水準を取り戻し、現在でも銀幕を飾るほぼ全ての映画にその影響が感じられる。
Written By Jason Zumwalt
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