ティアーズ・フォー・フィアーズが「Everybody Wants To Rule The World」と「Shout」で全米1位に
1964年の全米チャートにおけるブリティッシュ・インヴェイジョンを思い出すことのできる人からすれば、その21年後に起きた全米の売上ランキングはまさにブリティッシュ・インヴェイジョンを再度映し出したかのような状況であった。無数のイギリスのアーティスト、ワム!からフィル・コリンズ、ダイアー・ストレイツ、そしてシンプル・マインズまで、まさに、驚異の年であった。そしてそこには、ティアーズ・フォー・フィアーズがいた。
ローランド・オーザバルとカート・スミスによるこのデュオは、この2度目のブリティッシュ・インヴェンジョンにおいて大きな位置を占めている。ティアーズ・フォー・フィアーズが1985年の3月に「Everybody Wants To Rule The World」で全米シングル・チャート入りを果たしたとき、それまでの彼らの本国イギリスでの成功はこのたったひとつの全米1位獲得曲にとってかわられた。そのうえこのデュオは、1983年のシングル「Change」では最高位は73位であり、アルバム『The Hurting』も同じ位置までしか届いてはいなかったにも関わらずだ。
そして状況は大きく変わろうとしていた。収録元であるアルバム『Songs From The Big Chair(邦題:シャウト)』も同時にチャートを上っていたことがあおりとなり、「Everybody Wants To Rule The World」は非常に早くアメリカのシングル・チャートを上って行き、故郷イギリスでも4月に最高位の2位を記録。ローランド・オーザバルとイアン・スタンリーとプロデューサーのクリス・ヒューズによって作曲されたこの曲は、その曲の持つアップビートさで、全米のラジオ番組製作者の心をとらえ、同じようにMTVのプレイリストやファンの心もつかんだ。
1985年の6月8日、「Everybody Wants To Rule The World」はワム!の「Everything She Wants(邦題:恋のかけひき)」にとってかわり、2週連続全米シングル・チャートに君臨した。ワム!のシングル自体は、シンプル・マインズの「Don’t You (Forget About Me)」に代わって1位を獲得しており、イギリスのアーティストが5週にわたり猛威をふるったことになる。それから5週間後には、ティアーズ・フォー・フィアーズが『Songs From The Big Chair』でアルバム・チャートで1位を獲得。このアルバムは連続ではないが5週1位を記録している。
「Everybody Wants To Rule The World」がまさにアメリカを支配していたとき、ティアーズ・フォー・フィアーズの次のシングル「Shout」がトップ・スピードで投下された。「Shout」は6月15日に全米シングル・チャート入りし、8月初頭までに、このデュオにとってもうひとつの1位獲得曲になった。これがアメリカがイギリスのポップとロックををもっと欲しがっていた真夏の出来事だ。
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