シュープリームスのサム・クックへの追悼盤『We Remember Sam Cook』
1960年代中盤、過去の人物が成し遂げたことの全てを塗り替えたシュープリームスに、彼女たちはどんなジャンルでも自分達のものにすることができた。
全てのジャンルのファンに対してその魅力が伝わるエンターテイナーになるというベリー・ゴーディの理想に3人は忠実であり、1964年から1965年にかけて6ヶ月の間に立て続けにリリースした3枚のアルバムはそれぞれにテーマがあり、『A Bit Of Liverpool』がビートル・マニアと初期のブリティッシュ・インベージョン、 『The Supremes Sing Country, Western & Pop』はナッシュヴィルの音楽シーン、そして『We Remember Sam Cook』ではそのタイトルが示す通り、1964年12月に亡くなったソウル・マンに捧げられた内容だった。
1964年12月11日にサム・クックが亡くなった後、シュープリームスは新年早々にスタジオに入り、サム・クックの最も愛されている楽曲たちのレコーディングを行った。「You Send Me」「Chain Gang」「Wonderful World」を含む楽曲を収録し、ダイアナ・ロスによるリード・ヴォーカルが締めるなか、締めの曲「(Ain’t That) Good News」ではフローレンス・バラードがステージのセンターに上がり、輝くチャンスも得ている。
可能な限り広い観客層へとグループが売り込まれ続ける中、『We Remember Sam Cooke』は1965年5月8日、139位に登場した。同じ週には、シュープリームスにとって5番目の全米シングル・チャート1位となる曲「Back In Your Arms Again」が、66位から38位へと一気にチャートを駆け上がっていた。それと同時に、1965年8月には、サム・クックのメドレーも歌われた、シュープリームスの『At The Copa』アルバムが発売された。
『We Remember Sam Cooke』は全米アルバムチャートで最高75位までしか達しなかったが、R&Bチャートでは5位まで食い込んだ。シュープリームスによるサム・クックへの敬意は、彼の作品に優れた解釈をもたらし、騒々しい「Chain Gang」から滑らかなリズムの「Only Sixteen」、そしてワイルドでロックなバージョンの「Shake」まで、彼女たちが次々と切れ目なく演奏することで多様性を見せつけていると雑誌はレビューで絶賛していた。
最初は無理だと思っていたレベルの大成功を求めていた彼女たちにとって、このトリビュート・アルバムは強烈な一枚だった。メアリー・ウィルソンは彼女の自伝『Dreamgirls』の中で、デトロイトの有名なフレーム・バー&グリルでサムを紹介され、彼が彼女たちの幸運を祈り、良い仕事を維持しなさいと言ってくれてとても興奮したことを記述している。
Written By Paul Sexton
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シュープリームス『We Remember Sam Cooke』