スティーヴィー・ワンダー『Talking Book』解説:最初の傑作アルバム

Published on

1972年はスティーヴィー・ワンダーのクリエイティヴな躍進が本当に止まらない年だった。それまでも『Where I’m Coming From(青春の軌跡)』や『Music Of My Mind(心の詞)』などのアルバムでアーティスティックな創造のレベルを上げてきていたが、同年10月には多くの人が彼の最初の傑作と称す『Talking Book』を発表した。

<関連記事>
スティーヴィー・ワンダーのベスト・ソング20曲
スティーヴィー・ワンダーが社会に向けたメッセージソング5選


このアルバムは『Music Of My Mind』同様に、ボブ・マーグーレフとマルコム・セシルとともにスティーヴィー・ワンダーが共同プロデュースし、その圧倒的なファースト・シングル「Superstition(迷信)」とほぼ同時にリリースされた。まだ22歳のアーティストにしては驚くほど完成した作品で、たまらなくファンキーで素晴らしいホーンや、ホーナーのクラヴィネットとモーグのシンセサイザーの革新的な使い方、またイギリスのギター・ヒーロー、ジェフ・ベックも参加している。

シングル「Superstition」は瞬く間に全米のポップとR&Bチャートのトップに駆け上がり、7作目のソウルのベストセラーとなり、ポップチャートでも頂点に立った。ポップチャートでの1位獲得は1963年の「Fingertips (Part 2)」以来であり、1998年にグラミーの殿堂入りを果たしている。当時のシングルの勢いとともに、それを収録したアルバムも頭角を現し、同じように名曲揃いだった。

『Talking Book』に貢献した輝かしい人々には、デニース・ウィリアムス、デヴィッド・サンボーン、レイ・パーカー・Jr.とジム・ギルストラップなど、将来のスターたちが揃っている。ジム・ギルストラップはアルバムの2枚目のシングル「You Are The Sunshine Of My Life」のもう1人のヴォーカルで、この曲は不朽のイージー・リスニングの定番となり、スティーヴィー・ワンダーに初めてのグラミー賞をもたらした。

当時キャッシュ・ボックスはこう語っている。

「スティーヴィーの頭脳は、単なるグルーヴよりももっと深いサウンドを生み出している。例えばシングルの’Superstition’では、スライ&ザ・ファミリー・ストーンようなリズムに、中東/バルチック・ホーンのリフが組み合わされる。繊細で優しいバラードもいくつかある。彼が話すとき、人々は耳を傾ける。そして彼らが聞いたものに感動するのだ」

この印象深いLPの他のハイライトといえば、感動的なバラード「You And I」と「Blame It On The Sun」、そして気持ちの高まるクロージング曲「I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)」がある。これらの曲も、「Tuesday Heartbreak」、「You’ve Got It Bad Girl」やその他のアルバムに収録されている宝石も、どれもシングルとしてリリースされなかったが、現代の評判が高まるにつれ、あらゆる人にカヴァーされた。『Talking Book』は全米チャートで3位を記録した。元12歳の天才は今や大人の天才へと成長したのだ。

Written by Paul Sexton



スティーヴィー・ワンダー『Talking Book』
1972年10月28日発売
CD&LP / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music




スティーヴィー・ワンダー新曲2曲同時配信
2020年10月13日配信

「Can’t Put It in the Hands of Fate feat. Rapsody, Cordae, Chika & Busta Rhymes」
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music

「Where Is Our Love Song feat. Gary Clark Jr」
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music



Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了