スティーヴィー・ワンダーのシングルの中で最も長くR&Bチャートのトップにいつづけた曲とは?
「That Girl」は、スティーヴィー・ワンダーの歴史の中で特に過小評価されているシングル曲のひとつである。1982年2月20日にR&Bチャートの首位に輝いたこの曲は。2枚組コンピレーション『Musiquarium 1』に収められた4つの新曲のひとつだった。
「That Girl」は緩やかなミッド・テンポの曲で、素晴らしいアレンジとスティーヴィー・ワンダーならではのハーモニカ・ソロが特徴となっている。スカイの「Call Me」からR&Bチャートの1位を奪ったあと、この曲は実に9週間連続で首位に留まっていた。これはスティーヴィー・ワンダーのシングルの中で最も長くR&Bチャートの首位を維持した作品となっており、それは1980年の「Masterblaster (Jammin’)」の記録(7週間連続首位)をも上回っている。
この曲は、1982年5月発売の『Musiquarium 1』から先行シングルとして発表された。この2枚組のコンピレーションの大部分は1970年代にスティーヴィー・ワンダーが放ったヒット曲で構成されていたが、LP2枚のAB面の最後に新曲が収められていたため、ファンにとっては大変魅力的な内容になっていた。
「That Girl」以外の新曲は、The Crown」をヒットさせたゲイリー・バードとの共作曲の「Front Line」、ゴージャスなバラード「Ribbon In The Sky」、ジャズの偉人ディジー・ガレスピーが参加していて明るい雰囲気にあふれた「Do I Do」の3曲だ。同ベスト盤ではもちろん「Superstition(邦題:迷信)」「Living For The City(邦題:汚れた街)」「You Are The Sunshine Of My Life」「Sir Duke(邦題:愛するデューク)」といった名曲も収録されている。
アルバム『Musiquarium 1』も、同年6月にR&Bチャートで3週連続首位に立ち、ゴールドディスクの認定を受けた。また全英アルバム・チャートでもトップ10入りのヒットとなっている。不思議なことに、しかし、イギリスのシングル・チャートにおける「That Girl」の最高位は39位という低いものだった。
Written by Paul Sexton
スティーヴィー・ワンダー『Musiquarium 1』