スティーヴィー・ワンダー『Songs In The Key Of Life』解説:14週全米1位記録、正真正銘の最高傑作
引用が過剰に使用されるようになったこの世の中で、『Songs In The Key Of Life』は正真正銘の最高傑作である。スティーヴィー・ワンダーの18枚目となるアルバムは、モータウン・レコードから1976年9月28日にリリースされ、10月中旬から断続的ではあるが14週間1位にランクインした。
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我々uDiscoverは『Songs In The Key Of Life』を史上最も素晴らしいアルバムの1枚であると考えている。そしてそう思っているのは我々だけではない。2020年版のローリング・ストーン誌のオールタイム・グレイテスト・アルバム500では4位に選ばれ、マイケル・ジャクソンもジョージ・マイケルも、スティーヴィー・ワンダーの最も好きなアルバムとして名を挙げている。最近では数多くのヒップ・ホップ・アーティストたちがサンプリングをしており、ウィル・スミス(*訳注:フレッシュ・プリンス名義でラッパーとして活動している)は「I Wish」をナンバー・ワン・シングル「Wild Wild West」で使用している。
2枚組のアルバムは絶対的な最高傑作であり、スティーヴィー・ワンダーの“クラシック時代”と呼ばれている。ハリウッドにあるレコード・プラントのサウサリート・ミュージック・ファクトリー、そしてニューヨーク市のヒット・ファクトリーにて部分的にレコーディングが行われたが、殆どがハリウッドのクリスタル・サウンズ・スタジオにてレコーディングされた。収録曲は1974年から1976年の間に録音された。
2枚組LPの他に、オリジナル作品には4曲入りのボーナスEPが含まれ、スティーヴィー・ワンダーのヴィジョンの広さと限りないクリエイティビティを象徴している。大抵の2枚組アルバムは、内容を引き伸ばしている感じを受けるが、この作品に収録されているトラックはどれも素晴らしい曲となっている。
『Songs In The Key Of Life』の制作に関わった人の数は130人近くになるが、すべてのトラックで輝いているのはスティーヴィー・ワンダー自身で、パフォーマーとプロデューサーの両方、そしてすべての面で引き立っている。その優れた技巧はすべてのグルーヴに存在している。
アルバムに参加したのは、「As(邦題:永遠の誓い)」でフェンダーのローズを弾いたハービー・ハンコック、「Another Star」でエレキ・ギターを弾いたジョージ・ベンソン、そして「Ordinary Pain(邦題:出会いと別れの間に)」でバック・ヴォーカルを歌ったミニー・リパートンとデニース・ウィリアムスなどがいる。22歳のマイケル・センベロは数曲でギターを弾き、スティーヴィー・ワンダーと一緒に「Saturn(邦題:土星)」を共作した。
アルバムには「Village Ghetto Land」や「Black Man」(ゲイリー・バードと共作)、「Pastime Paradise(邦題:楽園の彼方へ)」、そして美しい「Have a Talk With God(邦題:神とお話し)」(カルヴィン・ハーダウェイと共作)など、社会意識の高いトラックが多く収められている。その他にもオープニング・トラック「Love’s In Need Of Love Today(邦題:ある愛の伝説)」、前述した「As」、上品な「If It’s Magic」、そして喜びに満ちた「Isn’t She Lovely(邦題:可愛いアイシャ)」などのスティーヴィー・ワンダーらしいラヴ・ソングも含まれている。
『Songs In The Key Of Life』は1977年にアメリカで2番目に最も売れたアルバムとなり、米国内だけで1,000万枚の売り上げを果たしている。全米アルバム・チャートの年間チャートでは、最も売れたR&B/ソウル・アルバムとなり、UKでは2位を獲得した。
1977年2月にスティーヴィー・ワンダーはグラミー賞にて7部門にノミネートされた。そのひとつが年間最優秀アルバム賞で、それまですでに1974年と1975年に『Innervisions』と『Fulfillingness’ First Finale』で二度受賞している。受賞式では最優秀アルバム賞、最優秀男性ポップ・ヴォーカル賞、最優秀男性R&Bヴォーカル賞、年間最優秀プロデューサーの4部門を受賞した。
Written by Richard Havers
スティーヴィー・ワンダー 『Songs In The Key Of Life』
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