スヌープ・ドッグ「Drop It Like It’s Hot」解説 : ファレルとのコラボで両者初の全米1位となったヒット曲
2004年は、R&Bとヒップホップがアメリカで猛威を振るった1年だった。アウトキャスト、トゥイスタ、アッシャー (彼とアリシア・キーズとの共演作も含む) 、シアラといったアーティスト/グループのシングルがヒット・チャートで首位に輝き、このジャンルはまさに向かうところ敵なしという勢いだった。
そして12月11日には、スヌープ・ドッグ&ファレルというドリーム・チームの「Drop It Like It’s Hot」がこの年最後の全米シングルチャート首位を獲得したのだ。
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スヌープとファレル、両者初の全米1位曲
それまで計6週にわたって首位のポジションに留まっていたのはアッシャー&アリシアの「My Boo」だったが、この曲に代わってスヌープとファレルの作品が1位に輝くことになった。
スヌープ・ドッグは1993年から既にヒット・チャートに作品を送り込んでいた。その年にリリースしたデビュー曲「Nuthin’ But A ‘G’ Thang」はプラチナ・ディスクに認定されるヒットになり、それに続く「Dre Day」(ドクター・ドレーとのコラボ)、「Who Am I (What’s My Name)?」そして「Gin And Juice」の3曲のシングルはいずれもゴールド・ディスクに認定された。
そして2004年に「Drop It Like It’s Hot」がリリースされるころ、スヌープは既にヒット・チャートのベテランといえる存在になっていた。ただし、彼にとって19枚目のヒット・シングルに当たる「Drop It Like It’s Hot」を発表した時点で、スヌープはまだ全米シングルチャート1位を獲得したことはなかった。
一方ファレルは、その前年の2003年に自らもアーティストとして初めてチャートにデビューを飾ったばかりだった。その曲「Frontin’」はジェイ・Zとのコラボレーションで、チャートのトップ5に入った。彼が再び全米シングルチャートにアーティストとして返り咲くのは、2005年にグウェン・ステファニーとのコラボレーションの成果「Can I Have It Like That」をリリースしたときのことだった。
しかしながら「Drop It Like It’s Hot」はそれらのヒット曲とはまったく違っていた。これは、世界のトップクラスのラッパーのひとりと現代のR&B界を代表する鋭敏なアーティスト/プロデューサーのひとりから成る完璧なチームの成果だったのである。
「Drop It Like It’s Hot」は世界中のファンに受け入れられ、アメリカでは売上枚数が200万枚におよび、R&Bチャートとラップ・チャートだけでなく、全米シングルチャートでも首位を獲得した。さらにヨーロッパとオーストラリアのチャートでもトップ10圏内にランクインするヒットになっている。
米ビルボード誌がまとめた2000年代を代表する50曲のリストで、この「Drop It Like It’s Hot」は48位に選ばれている。またこのトラックは、ザ・ドッグ・パウンド、ウィル・スミス、リル・Bほか、数え切れないほど多くのアーティストたちによってサンプリングのソースとして使用されている。
Written By Paul Sexton
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