ジェイ・Zによるベスト・コラボ14曲:ヒップホップの支配者による最高の客演と歌詞のハイライト

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Photo: Larry Busacca/Getty Images for NARAS

20年以上もの間ヒップホップ・シーンの支配者であったジェイ・Zは、他者にスポットライトを当てるべきタイミングもよくわかっていた。たとえば、若かりし頃のカニエ・ウェストのような、将来有望な才能の持ち主を早く成功させるべきか、あるいはリアーナやマライア・キャリーのようなアーティストの楽曲に、彼の太鼓判を押す意味でゲストとして参加するのか。彼の52歳の誕生日(12月4日)を記念して、ジェイ・Zとその共同制作者たちによる14の理由を探っていく。

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1. ノトーリアス・BIG feat. ジェイ・Z & アンジェラ・ウィンブッシュ「I Love The Dough」(1997年)

ジェイ・Zは、同じブルックリン出身の仲間であるビギー・スモールズ (ノトーリアス・BIG) の1997年の楽曲「I Love The Dough」のオープニングを務める名誉にあずかった。ビギーの死後に発表されたラスト・アルバム『Life After Death』に収録されたこの曲によって、ジェイ・Zは最高のラッパーの地位を受け継ぐ準備を整えたといえるだろう。

Through the city, play Monopoly with real cash
町を使って、本物の金でモノポリーを楽しんでいる

 

2. マライア・キャリー feat. ジェイ・Z「Heartbreaker」(1999年)

トラックの半ばで彼がバースを歌い始めるまで、ジェイ・Zの合いの手やコール&レスポンスは古臭く感じられる (「こんな風にのってみな」とDJ・クルーに向かって熱心に叫んでいる) が、アメリカのチャート1位も取ったこの曲「Heartbreaker」に彼が参加したことは、主流のポップ・ソングにとって大きな一歩だった。世紀の終わりに、またマライアに対してストリートの信頼の印を与えたといってもいいだろう。

She want love in the Jacuzzi, rub up in the movies
Access to the old crib, keys to the newbie
彼女はジャグジーの中で愛し合いたい、映画のようにくっつきたい
古い家に出入りしたいし、新しいものへの鍵が欲しい

 

3. ジェイ・Z feat. ビヨンセ「03 Bonnie & Clyde」(2002年)

ビヨンセとのコラボレーションを初めて試みて、ジェイ・Zは彼女との関係を大恐慌時代の有名な犯罪者カップル、クライド・バロウとボニー・パーカーに、またはR&B界の大御所カップルであるボビー・ブラウンとホイットニー・ヒューストンになぞらえている。15年の時を経て、この曲は予言的なものだったといえるだろう。今やジェイ・Zとビヨンセのカーター夫妻の勢いはとどまるところを知らず、世界中で影響力を持っている。

Cause mami’s a rider and I’m a roller
Put us together, how they gon’ stop both us?
Whatever she lacks, I’m right over her shoulder
When I’m off track, mami is keeping me focused
彼女がライダーだったから 俺が車になった
俺たちは一緒になった どうやって止めるつもりだ?
彼女にないものは何でも 俺がすぐに補う
俺が道を見失ったときは 彼女がいつも教えてくれる

 

4. ビヨンセ feat. ジェイ・Z「Crazy In Love」(2003年)

シャイ・ライツの「Are You My Woman (Tell Me So)」をサンプリングして作られたこの中毒性の高い曲は、2003年夏に大ヒットとなった。同年ジェイ・Zもビヨンセもリリースしたアルバムがチャートで1位を記録している。この曲からも、ジェイ・Zがゲストで参加したバースの中でも特に素晴らしい一節をチェックしてもらいたい。

Yes sir, I’m cut from a different cloth
My texture is the best fur : chinchilla
イエッサー 俺は他のやつらとはまったく違っている
俺は最高の毛皮でできている チンチラのね

 

5. ファレル feat. ジェイ・Z「Frontin」(2003年)

N*E*R*Dの創設者であるファレル・ウィリアムスは、2000年代初期にチャートを総なめにしていたジェイ・Zに対抗しうる数少ない内の一人だった。自身の最初のソロ・シングル「Frontin」で、彼はファンクを取り入れたスロー・ジャムのスタイルを完成させた。ジェイ・Zのバースのための余白は十分に残されていて、彼はそこで感情的に、ジェイ・Zの誠実な人格ともいえる部分をさらけ出している。

Truth be told, you threw me for a loop, this HOV
I’m too old to be frontin’ what I’m feeling
正直に言うよ お前には面食らわされた、このHOV(Jay-Z)がだ
俺は自分の気持ちを隠して格好つけられるほど若くはないんだ

 

6. ジェイ・Z & リンキン・パーク「Numb / Encore」(2004年)

ポップ・ソングでいともたやすく頂点に立ったジェイ・Zは、次にはロックの世界に目を向けた。ラップとメタルを掛け合わせたグループ、リンキン・パークと組み、すべてのトラックを共同で制作したEP『Collision Course』をリリースしたのだ。そして同作からのシングル「Numb / Encore」は、ターゲット層の心を簡単に射抜いた。

ジェイ・Zが、LAのロキシー・シアターでリンキン・パークと共にこの曲をパフォーマンスしている様子を見てほしい。ヒップホップ界の顔ともいえる男が、普段はロックやメタルのアーティストたちが立っているステージを我がものにしていることがわかるだろう。

I’m in Boeing Jets, Grobal Express
Out in the country but the BlueBerry still connect
俺はボーイング・ジェットやグローバル・エクスプレスに乗っている
国外に出ても俺のブルーベリーは繋がったままだ

*ブルーベリーとは携帯電話「ブラックベリー」の青いモデルのこと

 

7. カニエ・ウェスト feat. ジェイ・Z「Diamonds From Sierra Leone (Remix)」(2005年)

ジェイ・Zは2001年の彼のアルバム『The Blueprint』のレコーディングに当時まだ若かったカニエ・ウェストをプロデューサーとして招き、5曲提供させたことで、カニエに最初のブレイクへのきっかけを与えた。

それから4年後、カニエは友情の証として、ジェイ・Zに「Diamonds From Sierra Leone (Remix)」のリミックス・ヴァージョンを委ねることにした。この曲のジェイ・Zのバースは最も優れたもののひとつであり、彼ら二人のキャリアの中でも特別な瞬間でもある。

I sold kilos of coke, I’m guessin’ I can sell CDs
I’m not a businessman, I’m a business, man
俺はコカインを売りさばいてたんだ  だからCDも売れる
俺はビジネスマンじゃない  俺自身がビジネスなんだ

 

8. ルーペ・フィアスコ feat. ジェイ・Z「Pressure」(2006年)

2000年代の半ばまでに、ジェイ・Zは非常に多くの作品にゲストとして参加し、新人のルーペ・フィアスコには、彼の“お墨付き”として45秒のバースを与えた。同時に、20年かけてジェイ・Zの「ストリートから成り上がる」という物語が完結したことを人々に思い出させた。

My first picture was a line-up
now I’m on the Forbes
俺の最初の写真は容疑者としてのものだった
だけど今はフォーブス誌に載ってる

 

9. ナズ feat. ジェイ・Z「Black Republican」(2006年)

1994年のアルバム『Illmatic』でNASがソウルやファンク風ラップのひとつの系統を完成させたとしたら、その10年ばかり後、2006年のNASのアルバム『Hip-hop Is Dead』でその名の通り「ヒップホップは死んだ」と宣言する準備を整えたといえる。これにふさわしい葬儀のようなビート上で、二人は以前の収入が少ない時代と後の裕福な時代を並べて、彼らのルーツへの愛を宣言している。

I feel like a black republican, money I got comin’ in
Can’t turn my back on the hood, I got love for them)
黒人の共和党員みたいな気分だ 金が入ってくる
昔みたいに地元には戻れない 愛してはいるけれど

 

10. リアーナ feat. ジェイ・Z「Umbrella」(2007年)

3rdアルバム『Good Girl Gone Bad』をリリースするころには、リアーナは紹介するには及ばないほど既に有名だった。しかし、彼女が初めて世界中のチャートでトップを取った曲「Umbrella」のイントロに、彼女の大成功を予兆するかのようにジェイ・Zが参加している。

In anticipation for precipitation
Stack chips for the rainy day
Jay – Rain Man is back
With Little Miss Sunshine
雨が降ることを予測して
万一のために金を積み上げてたんだ
ジェイ 雨男が帰ってきた
リトル・ミス・サンシャインと一緒に

 

11. ジェイ・Z feat. アリシア・キーズ「Empire State Of Mind」(2009年)

フランク・シナトラの「New York, New York」の21世紀版ともいえる「Empire State Of Mind」は、世界中の人々にヒップホップがビッグ・アップルで生まれたことを思い出させた。彼らを生んだ町への長いラブレターであり、ジェイ・Zとアリシア・キーズはシナトラのオリジナルが持っていたすべての可能性を捕らえた新しいアンセムを、ニューヨークに与えたといえるだろう。

I’m the new Sinatra, and since I made it here
I can make it anywhere, yeah, they love me everywhere
俺が新しいシナトラだ 俺はここで成功してきた
だから俺はどこでも成功できるんだ どこへ行っても俺は愛されるんだ

 

12. ジェイ・Z feat. カニエ・ウェスト&リアーナ「Run This Town」(2009年)

“9.11”から始まったこの10年間で、ジェイ・Zは攻撃的な気持ちになっていた。「Empire State Of Mind」をラブレターとするなら、「Run This Town」はマニフェストだといえるだろう。この曲は、ジェイ・Zがカニエ・ウェストとリアーナの支持を得て発表した、独立宣言ならぬ「支配宣言」である。

This is Roc Nation, pledge your allegiance
Get your fatigues on, all black everything
Black cards, black cars, all black everything
ここはロック・ネイション、忠誠を誓え
お前の仕事につけ、すべて黒に染めるんだ
黒いカード、黒い車、すべて真っ黒だ

 

13. ジェイ・Z & カニエ・ウェスト「Ni__as In Paris」(2011年)

ジェイ・Zのアルバム『The Blueprint』で共に働いてから10年経って、ジェイ・Zとカニエ・ウェストは彼らの快楽主義的なアルバム『Watch The Throne』でバースの応酬をみせた。

「Ni__as In Paris」を通して彼らはお互いに煽り合って、フランスの首都の路上を疾走しているようだ。この曲は、聴く人を無理やり服従させ、それが当然だというような響きを持っている。

What’s 50 grand to a motherf__ker like me?
Can you please remind me?
俺に5万ドルだって?
また後で思い出させてくれ

 

14. カニエ・ウェスト feat. ジェイ・Z、リック・ロス、ボン・イヴェール、ニッキー・ミナージュ「Monster」(2011年)

アルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』でカニエ・ウェストは彼のダークな衝動の解放を試みたが、「Monster」では協力的な仲間に恵まれた。彼の優れた功績のひとつであるこの曲において、当時の新人ニッキー・ミナージュの変化に富んだ素晴らしいパフォーマンスを世界に紹介し、ジェイ・Zには彼の鬱積したホラーコアのような激しさのはけ口を与えた。

None of you ni__as have seen the carnage that I’ve seen
I still hear fiends scream in my dreams
Murder, murder in black convertibles
I kill the block, I murder the avenues
お前らの中に、俺が見たような大虐殺を見たことがあるやつはいないだろう
今でも夢の中で悪魔の叫び声が聞こえるくらいだ
殺人だ、黒いオープンカーの殺人だ
俺はブロックを殺し、アベニューを殺す

 

Written By Jason Draper



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